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親不孝高校 3年D組のデアテーチャー【Forever Yong (追憶の彼方)】  作者: 野松 彦秋


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28.降って湧いたような話

その日の放課後、クラスメート達の姿が無くなるのを確認して、良太は職員室へ向かった。


職員室のドアを開け、丸井先生の席に向か良太に先に声をかけてくれたのは英語担任の清本先生だった。


『オツ、野末、どうしたんだ・・』


『丸井先生な、今、生徒指導部部長の佐川先生に呼ばれ、校長先生や教頭先生が居る中央(大)職員室に行ってるんだ』


『何か、急ぎの様か、言伝(ことづて)があるならオレが聞いておいてもいいけど』


『・・・イエ、急ぎの用事ではなくて、・・・』


『又にします、明日、丸井先生が教室に来た時でも・・』


『そうか、進路の事か??・・まあ、オレが聞くより、丸井先生に聞いてもらえるのが一番良いよな』


『分った、とにかく丸井先生が戻ったら、野末が来てたって伝えとくよ・・・』


清本先生は、人柄の良さそうな笑顔で、そう言い余計な詮索もしなかった。


職員室を出て、カバンのある教室へ向かって歩いていた良太を、後ろから呼ぶような声がした。


『野末ぇ~』


良太が振り返ると、其処には巨体の丸井先生が手招きをしていた。


慌てて良太は、丸井先生に走り寄ると、先生はこう言った。


『オメェが未だ居て良かった、今な・・・、イヤ、オメエ、中央(大)職員室に行った事あるか?』


『・・・ありません。』


『場所は知ってるか?』


『・・・・。』


良太は、入った事は無かったが、その前を通った事があるので、無言で頷いた。


それを確認すると、丸井先生は話は早いという様に、早口でこう言った。


『今から直ぐに、中央職員室に行って、進路指導部の佐川先生に会って来い!』


『お前に話があるって、呼んでたからよ・・』


丸井先生は、特に何の説明もせず、ただ良太にそう告げ、自分は自分の席のある職員室に戻って行ってしまった。


(何だろう・・・もしかして、石井君たちの車にオレが乗っていた事がバレたのかも・・・)


自分とは、関係無いと思っていた場所に、突然呼び出された良太はその理由が分らず、不安な思いで向かった。


良太が中央職員室のドアを開け、自分が会うべき先生は誰かと探していると、良太の様子に気づいた若い女性の先生が気を使ってくれて声をかけて来た。


『君、誰か、探してるの?』


『ハイ、生徒指導部の佐川先生から、呼ばれておりまして・・』


『君のクラスと名前は?』


『3年D組の、野末良太です。担任の丸井先生から、佐川先生が呼んでいると言われまして・・』


『3-Dの野末君ね、分かったわ・・私が呼んでくるから、其処で待っていて』


彼女は直ぐに職員室の奥に入って行って、又直ぐに戻って来た。


『談話室に来て下さいって、言われたので、私の後に付いて来て下さい。』


『ハイ、有難うございます。』


彼女に言われるまま、後ろについて行くと、其処は、普通の家にもありそうな、足が短い居間用のテーブルが真ん中にあり、その両端に長椅子が二つ置いてある場所へ通された。


其処は談話室と言うには、ちょっと粗末であった。1m50cmmくらいの敷居が3つあり、一応、職員室に居る先生達の目からは見えないスペースであった。


『佐川先生、野末君を連れてきました。』


『オウッ、早かったな、未だ帰ってなかったのか??』


痩せた初老の先生が一人其処には座っていた。


『まあ、其処に座って、リラックスしてくれ、若山先生、連れて来てくれてありがとう、もう良いから・・』


案内していくれた先生は、そう言われ、会釈をして自分の席に戻って行った。


良太は言われるまま、佐川先生の指さした席に座ると、先生は穏やかな声で語り出した。


『野末君だっけ、◎×大学に合格したんだって、良かったなぁ・・・。』


『んだけどぉ・・・、君、確か双子だべぇ、親御さん大変でねぇ~が?』


『確か、君の双子の弟さんも、東京の大学ダベェ??』


『・・・・、ハイ、』


『ンでなぁ、どうして、今日、オレが君を呼んだかというとな・・』


『・・・君、政治とか興味あるか??』


『イエ、特に・・・有りません』


『イヤ、オレな、君が生徒会長立候補した時の演説聞いて、感心してたんだ。』


『今どき、居ない、勇気のある子だって・・・』


『・・・・。』


『・・うちの高校のOBでな・・・代議士・・・衆議院議員の先生の秘書をやってる人がいるんだけどな』


『●×党の●×先生って、君知ってるか??』


良太は首をふる。


『もう衆議院議員を、20年以上やってるベテランの先生だ。』


『その先生がな、付き人を探してるんだ。』


『君が初めてじゃない、今迄10年ぐらい、うちから卒業する生徒で、東京へ行く子で良い子がいたら紹介していたんだ』


『君がもし、なったら4代目になるのかな・・・』


『・・・それで、前に紹介した子が今年の春で学校を卒業するから、後任になれそうな子がいたら・・』


『野末君・・・、君やってみないか??●×先生の付き人?』


『そうすれば、大学4年間、3食付きで、住む場所も提供される・・・』


『昼間は、大学に行けて、夜19時から朝の8時迄、その先生の処で先生と一緒に生活する』


『秘書さん達が帰った後、秘書さんの代わりに電話番や、新聞記者の方が家に着たりしたら秘書さんの代わりに応対するんだと・・』


『君が大学に行ってから遊びたいというのであれば、難しい話だけど、良い社会勉強にもなると思うし・・・、どうだ?』


『・・・親の承認も、必要なので・・・一度、持ち帰らせてください』


突然降って湧いた様な話に、良太は困惑し、その言葉しか出なかった。


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