27.最後の説教
その日が何曜日だったかは忘れてしまったが、その週はその4名がクラスに顔を出す事は無かった。
その為良太を含め、3年D組のメンバーが問題を起こした3名の処分を知ったのは、次の週だった。
『石井、下柳、佐藤のバカケ共は、無期停学になっちまった・・・。』
『・・・まあ、・・・アイツラが起こした問題を考えたら、温情的処分だけどな・・』
『石井のヤロー、最後の最後で、オレの心臓が止まる様な事しやがって)
丸井先生は、そんな語り口でクラスメート3人の状況をクラスのメンバーに教えてくれた。
『卒業式まで、あと1ヶ月だぞ、普通、やるか??』
『無免許で、警察の検問を突破・・・・、パトカーに追跡され、スピード違反・・しかも盗難車とは・・・』
『オレの教師生活の中でも、初めての経験だぜ・・』
丸井先生は、そう言いながら、自分のスッキリした頭を、自分で数回なでた。
その姿は、罰を受けた子供が、自分の仲間に自身の失敗を話す様な感じであった。
『オラア(オレの意)、警察から最初の連絡を受けた時、血圧が上がり過ぎて、クラクラしちゃったぜ・・・』
丸井先生は、愚痴を溢す様にいった。
『母ちゃ(自分の奥さんの意)に言って、オレは直ぐに頭丸めて、頭丸めてから、警察に謝りに行ったよ・・』
『ンで、警察署さ着いて、もうずっと土下座よ・・・』
『警察の人から、頭上げてくれって言われても、上げれるわけワケねえべ・・』
『後から、奴らの親御さん達も来て、もう、揃って土下座よ・・・』
『オマエラナ・・・高卒、高校中退では社会に出たら、全然違うぞ・・』
『お前らの親御さんたちは、そう思って、苦労しても高い授業料払ってくれて、オマエラを3年間も高校に入れてくれてるんだ』
『それを分かっていねぇから・・・石井、下柳、佐藤は・・3年のこの時期に来て、最後の最後でダイナシになる様な事・・・』
『オマェら、何度も言ってるけど、バカケっていうのは、頭の良し悪しじゃあねえよ』
『人の気持ちを、苦労が解らねぇ奴の事を言うんだ・・・』
『高校卒業しても、そういう大人にだけはなんなよ・・』
それは、多分丸井先生が良太達にしてくれた最後の説教だった。
良太は、その説教を聞きながら罰を受けている3人と一人だけ罪を受けていない自分に対して嫌悪感と彼らに対する罪悪感を持った。
それは、本当に苦しい罪悪感だった。
その苦しみに、耐えきれず、良太は丸井先生の元に向かった・・・。
進路の相談等、頭には無かった。
正直、彼らの処分次第で、自分も高校を辞めなくてはいけないかとも考えていた。




