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親不孝高校 3年D組のデアテーチャー【Forever Yong (追憶の彼方)】  作者: 野松 彦秋


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22.大学受験の日(後編)一番欲しかった質問

『次、275番から、280番までの5名の方、面接の部屋に入って下さい。』


入試試験を補助する、現役の大学生らしき若い男の人が良太達を呼ぶ。


指示を受け良太が面接の部屋に入ると、其処には受験生が座るパイプ椅子が5つ。


その前に長い机一つと椅子3つが置いてあり、面接官3名が座っていた。


偶然にも面接官3人の中の一人は、良太の小論文の記入用紙を回収した人だった。


5人の受験生が席につくと、3人の試験官の中で、真ん中の人物が面接の方式を説明し始めた。


『これから、皆さんに自分を自己紹介してもらいます。』


『自分を紹介するにあたり、どうすれば初対面の人に自分を分かってもらえるかを考えて自己紹介して下さい』


『その後、他の人の自己紹介を聞いたうえで、疑問に思った事、興味を持った事を貴方達自身から聞いてもらいます・・』


『質問する人、質問する内容は自由です』


『その様子を私達が評価をします・・。』


『それでは275番の方から初めて下さい・・・』


試験官はそう言うと、275番の女性に手を差し伸べるような素振りをして、面接は始まった。


一番目の彼女は、名前、出身地を述べ、高校ではボランティア活動を熱心にした事、車椅子に乗り歩けない人達の視線を知る機会も得たと、それで今の社会が、まだまだバリアフリーが足りない事が分ったと述べ、その経験を活かし将来は介護の方面の仕事がしたいという事を述べた。


彼女の自己紹介を聞き、完璧な自己紹介だと良太は正直驚いた。


但し、その後の人は、彼女程上手くはなかった。


自分の趣味を紹介する人、うちこんだ部活動で県大会で準優勝したという人もいた。


とうとう自分の番が来た良太は、生徒会に入り、学校の行事の運営に関われたこと、その活動の中で大勢の人を一つの目標に向かわせる事が難しいという事や色々な事を体験できたと述べた。


部屋に通された総ての受験性の自己紹介が終わると、その後は質疑応答の時間が始まった。


『では、他の人の自己紹介を聞いて、質問がある人は手を挙げて下さい!』


『必ず1回は、手を挙げ質問してください・・』


小論文の試験での失点を少しでも取り戻すために、良太は一番に手を挙げた。


良太の前に自己紹介をした男性が、自分の趣味は読書で特に外国の小説家の作品が好きだと言っていた。


彼は、好きな作家ではなく、外国の小説と言っていたので、良太の質問は簡単だった。


『先程、外国の小説が好きだと、言われましたが、日本の小説と外国の小説の違いとは何なのでしょうか?』


『アナタが外国の小説が好きな理由を教えてください?』


正直、純粋に興味をもったから出た質問だったのだけど、その質問を受けた男性は答えられず、その場で答えられず、固まってしまった。


(あ、シマッタ。相手に悪い質問をしてしまったかな・・)と良太は思ったが、案の定、質問を受けた彼は、それから良太の顔をジッと睨んできた。


そして、今度は自分の手を挙げ、良太の紹介内容について質問してきたのである。


『アナタは、先程、生徒会活動をとおして、色々な事を体験したと言っておりましたが、貴方が高校時代で一番印象に残った体験を教えてください?』


その時の彼の顔は、殴られた相手を殴り返そうとする時の顔だった。


多分、彼は良太にやり返すつもりで質問してきたと思う。


しかし、その質問は彼の考えとは裏腹に良太が一番欲しかった質問であった。


『はい、一つだけ皆さんに胸を張って言える事があります。』


『実は、私は高校の生徒会長へ立候補しました。結果的に落選しましたが、全校生徒3000人の前で、紙を読まず、暗記し、演説をしました。心臓が飛び出るくらい緊張しました。しかしその体験やその時の気持ちは、達成感は多分この後の人生でも忘れる事は無いと思います。』


その後、良太に質問をする者は居なかった。


良太にとって、受験の合否はあまり重要では無いと思えるくらい、思い残す事のない面接で終われたのであった。


試合の結果はどうあれ、ヤレル事はヤッタという様な充実感があったからである。


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