07
障子からこぼれ出すように淡い光が部屋の中に差し込んでいる。畳に敷いた布団に一刻は横たわり、目を覚ますとひどい頭痛に思わず目をつむった。「いてて」とこめかみを押さえながら上体を起こし、布団から這い出て障子窓をひく。ガラスの向こうには昨日見た横浜の光景が広がっている。つまり一刻の知らない時空の横浜だ。
「おはようございます、時枝さん。具合大丈夫です? 昨日は変な豆食べさせられて、その後倒れこむように寝ちゃって、俺焦りましたよ」浜北は眠い目をこすり、枕元のメガネを引き寄せた。
「寝すぎましたね。時の支配者ちゃんたちに怒られてしまう。いてて」二日酔いというものを経験したことがない一刻でも、この頭痛と体の気だるさは似たようなものだと納得し、布団から抜け出した。
支度を整えた四人は宿を出立し、歩き始めた。全員、冴えない顔で目が死んでいる。「昨日は飲みすぎた」という一言すら誰も発しなかった。のろのろと歩いてその日は五時間ほどで保土ヶ谷宿に到着した。
翌日もたいした距離は歩かずに戸塚宿で一泊した。戸塚も横浜と大して変わらず江戸時代に現代日本のテクノロジーを持ち込んだような町並みが続き、それらの奇妙さにも浜北は慣れ始めていた。一刻はそもそも「慣れる」という感覚に乏しく、すべて受け入れてしまう質だから、日本が鎖国状態同然で世界文化遺産として保全されたこの時空を何の感慨もなく歩いていた。その道中、ティナと浜北は他の二人に聞こえない位置でこんな会話をしていた。
「お願いがあるのだよ」
「何ですか、ファティナ陛下。私にお願いなんて珍しい」
「君にしかできないことさ」
「ほう。私にしかできない。この時空でそんなことありますかね」
「時空も何も関係のないことなのだよ。いーちゃんと友達になってはくれないか?」
「え?」
「嫌か?」
「あ、いえ。嫌とかそういうことではなくて。私と彼は友達とかそういう以前に同僚ですよ」
「分かっておる。それでも私はお願いしたいのだよ。彼は何にも動じず何でも受け入れてしまう豪胆な男に見えるかもしれないが、悪く言えば無感動で何にも寄り付かず、世界を、人を、のっぺらに見ている人でなしさ。目の前の事柄を映画館のスクリーンで見ているようなもので、彼とそれをとりまく世界には膜(幕)があるのさ。君らにとってこんな異常な事態であっても、いーちゃんは平然としているだろう。装っているわけではない。事実彼はこの状況に何も感じてはいない。
孤独なのだよ。事実彼は友達といえる友人がいないのさ。作り方を知らなかったんだね。彼は孤独という感情を知らない、理解できないのだよ」親の保護なしには生きていけない小動物を見るような目でティナは前を歩く一刻を見つめていた。
浜北はティナの話を聞いて、時枝一刻に対する不可解な人となりに腑が落ちる思いだった。彼は確かに人でなしなのかもしれない。怖ろしく感情というものがない。彼が見せる喜怒哀楽の表情や、その表現は常識という壁に塗られたステレオタイプを見せられているようでもある。彼そのものが、知識として学んだ感情を演じているようにも見えるのだ。
「私には時枝さんと友達になるなんて自信がありませんよ。こういう私も人間関係下手なほうだから」
「でも君は、いーちゃんに一目置いているのではないかい?」
「そうですね。正直尊敬しています。とびきり本物の天才だと思います。私なんかでは遠く及ばない、常識という分厚い鎧を纏った怖ろしい怪物、そういう風に思っていました」
「やはり、だめかの?」
ティナは泣き出しそうなほど目元を潤ませて落ち込んだ。その様子に浜北は焦り、あたふたと言葉を継いだ。
「いえいえ、ダメとは言っていません。そもそも、私と時枝さんは既に友達みたいなものですよ。同じ部屋で寝て、同じ飯を食い、酒を飲んだ仲です。もう友達も同然。ですから彼には私がいます。孤独ではないです」
ティナは顔を上げ、目元に溜まった涙を拭って笑った。少女のあどけなさと満面の笑みがそこにはあった。
「例えばこの物語が少年漫画だったら、お主が主人公さ。ふふ、ふふ」
「はは。はは。そんなことないですよ。ファティナ陛下、漫画なんて読んだことあるんですか」
「あるぞ、私の好きな漫画は…」
二人の笑いあう声に一刻とホーラが後ろを振り返った。
「陛下! 歩速が落ちています。このままだと円環潮流の継目を捉えられません。お急ぎくださいませ」ホーラは後方のティナに大声で話しかけた。
「わかった。急ごう!」ティナはそう言うと歩を早め、並行する浜北に言った。
「これからお主を浜ちゃんと呼ぼう。だからお主も私のことはティナでいいのだよ」
「うーん。そうですか、ファティ…、おっとティナ、…陛下」浜北は言って戸惑った。
「好きにせい」
「じゃあ、ティナ陛下で」
「うむ」ティナは微笑して浜北に頷いた。
一同が戸塚宿を出立すると、次は藤沢、平塚、大磯、小田原、箱根と宿場を巡ったのだが、それは一刻と浜北にとって辛く長い道程であった。藤沢に差し掛かったとき、一刻は変化を感じ取っていた。それは異国を放浪していたものにしか分からない「臭い」であり、その地域に生息する生物が発する臭気を嗅ぎ分けることができる彼にしか感じられない変化でもある。
藤沢以降の宿場では、いわゆるヒト科の生物が存在せず、その他の動物のみで世界が構成されていた。もちろんホテルや旅館といった宿泊施設も存在せず、四人は野宿をしなくてはならなかった。そのことを見越してティナは東京のテナントビルの一角にあるアウトドア用品店でテントや飯盒などの装備を購入していた。
缶詰や乾パンといった非常食でしばらくはその場を凌いでいたが、やがてそれも尽きていった。大磯から小田原へと移動している最中、食料の確保が急務になっていた。ティナによると、しばらくは言語を使用する生命体には会えないとのこと。
道中は木々の生い茂る鬱蒼とした森林や、だだ広い草原であったり、岩肌がむき出しになった岸壁であったりした。街道であるはずが、かろうじて獣道といえる野生の動物が踏み均した跡を辿り進路をとったのだが、一刻や浜北には本当にこの道でいいのだろうかという不安が常について回った。
「そろそろ昼食の用意を始めましょう」ホーラは歩みを止めて一同を見回した。今朝方、すべての備蓄食料を消費してしまったため、食べられるものは何もない。しかも時間は一〇時を少し回ったところで、昼食には早すぎる。
「では、私と浜ちゃんはその辺で休んでいるとしよう。滋養のつくやつを頼むのだよ」ティナはさらりと言って傍らの岩に腰を下ろした。
「はい、陛下。浜北、一時間ほどしたら湯を沸かす準備と調理道具を用意しておけ」
「あ、はい」と浜北は面食らって返し、横の一刻に耳打ちした。
「まさか、狩じゃないよな」「そのまさかだと思うけどね」一刻は肩を竦めてホーラについていった。
「自給自足かよ」と頭を抱える浜北にティナは話しかけた。
「ホーラもいーちゃんもこういうことには慣れているのだよ。私たちは何も心配する必要はないのさ」
横並びに一刻とホーラは歩いている。
「ここで装備を整えましょう。時枝殿、バックパックから黒いケースを出してください」
ガサゴソと一刻は荷物の中からケースを取り出した。これまであけたことはないものであり、何が入っているのか一刻にも分からない。
「それを使用します。開けてください」ホーラに言われ、一刻はケースを開封した。
「投擲用のナイフか。懐かしいな」一刻は研究者として世界の各地を放蕩していた際、ナイフの投擲技術を身につけていた。銃器を使用しない狩猟民族にとっては一般的な武器であり、狩の選択に用いられることが多い得物である。対象物との距離を目測し、肘と手首のスナップのみでナイフを投げるシンプルな方法であるが、その難易度は猟銃の比ではない。卓越した技術と訓練が必須であり、もっとも求められるのは瞬間的な集中力だ。
一刻はナイフを手にとって長さと重さを確かめた。投擲用のナイフは重心が中心に来るように作られ、長さは十五センチから二十センチのものが多い。重さは一〇〇グラムから三〇〇までと幅があり、狙う獲物によって使い分けられるのが一般的である。得物の大きさや急所までの距離が重要で、小型動物には小さなナイフで事足りるが、大型の動物には刃渡りの長い重量のある物を使用するのだ。
近くに生えていた木に向かって一刻は二本のナイフを投擲する。カン、カンと木を打つ音がこだましてナイフは見事に突き刺さった。
「時枝殿。私に五本投げてください」ホーラは腰に差した刀剣を抜刀して言った。その様子に一刻は合点し、ホーラに向かって続けざまに五本のナイフを全力で投擲した。ヒュンヒュンと風を切るナイフをホーラは華麗な剣さばきの動作で迎え撃った。しかし、五本目のナイフは首をかろうじて傾けたホーラの頬を掠めて後方へ過ぎさっていった。
「ちょっと、時枝殿。誰が五本連続で投げろといいましたか。死ぬところでしたよ」と言ったホーラに向かって一刻は更に一本を投擲した。ホーラは難なく受けたが、顔面はすざましい形相をしている。
「鬼なのですか。あなたは」
「五本できましたね。結果オーライだよ」一刻は涼しげな表情で口笛を吹いている。
ホーラの前には空中で静止した五本のナイフがあった。そのナイフを彼女は回収して、異なる空中に静止させた。
ホーラは一刻の投げたナイフを静止させ、それを動物が通るであろう道に仕掛け、タイミングを合わせて解除することでトラップを仕掛けたのだ。
「あなたは私に恨みでもあるのですか」とホーラは一刻に恨み事をぶつぶつといつまでも言っていた。
トラップを仕掛けた後に二人は場所を移した。鬱蒼とした森林で、杉が天高く聳えている寒空の下、二人は身を寄せ合ってうずくまっている。狩とは忍耐である。好機を待って、待って、待って、会心の一撃を放つことで得物を仕留めることが目的だが、成功率は極めて低いことを一刻は体験的に知っていた。
「本当に熊なんているの?」小声で一刻は言った。
「この辺りには生息しています。冬眠をしない種で、木の実や川魚を独特の方法で備蓄している熊です」ホーラは屈んだ姿勢でじゃべり、口元を覆うマフラーの隙から白い靄が出ていた。
「それってかなり知能の高い生物じゃないか。そんな賢い種をハントできるのか」
「し! 来ました」
のそのそと四つんばいで歩く二つの影。一つは全長二メートルはあるだろう大柄の熊で、もう一つは小さな子どもだった。
「子どもの方でいいよな」一刻はナイフを握って投擲の動作をとっていた。
「ダメです。親の方を狙ってください。できれば急所を。外れても身体に刺さりさえすれば問題ありません。ナイフの刃が刺されば時間静止します」
「了解」一刻は三本のナイフを投げた。風を切るナイフは、見ごと親熊の眉間、首元、心臓に突き刺さり即死させた。一刻たちが姿を現すと、小さな小熊が懸命になって二人に向かってきた。それをホーラは刀剣の切っ先で触れて静止させた。
親熊を二人で担ぎ、ティナと浜北の元へ向かうさなか、一刻はあの小熊のことを思った。確かに小熊を仕留めていたらこの親熊は血相を変えてこちらを攻撃してきただろう。ホーラの判断は正しかった。しかし、あの小熊は時間静止が解けたとき、突然親を失うのだ。何も分からずに保護されていた環境から放り出されたようなものだ。この先あの小熊は生きぬくことができるだろうか。
トラップには野うさぎとキツネが掛かっていた。それらを回収し、一刻たちはティナの元へ戻った。熊にウサギ、キツネと大量の獲物は一刻にって手早く捌かれた。その手つきに浜北は舌を巻くばかりだったが、その後の調理に関してもやはり一刻は素晴らしかった。肉塊となった動物たちは小分けに袋に詰められ、ホーラが時間静止させたことでいつでも新鮮な状態を保つことができるのだ。食料の問題はひとまず解決したが、箱根から三島への移動中、四人は何ものからか奇襲を受け、その際にティナが連れ去られるというアクシデントが起こった。
「陛下! 陛下!」ホーラは取り乱して叫んでいる。
「ホーラ気をしっかり持て」一刻も内心は焦っているが、ここで全員があたふたとしては事態に対応できない。浜北は奇襲を受けた際に後頭部を殴打し、気絶していた。
「だって陛下が。陛下が。早く探さなくては。この一帯はまずいのです。最も凶暴な種族が跋扈している時空であり、気を抜いていた私の落ち度です」
「凶暴な種族って?」
「肉食恐竜がアイスボール(氷河期)で絶滅せずに生存し、現代でも高度な知性を有している時空です。箱根峠を越えてしまえば、文明を有する恐竜族が現われるのですが、この箱根峠一帯は、文明を持たない種族がいる時空の最中にあります」
「恐竜か…。ホーラはここで浜北と待っていてくれ。火をおこしておくんだ」「あまり遠くにいってはいけません。時空の円環潮流から外れてしまいます」「わかった」一刻は言うなり奇襲者が去っていった方向へ駆け出した。懐には三本のナイフがあり、その一本を手にし、密林の中をできるだけ音を消して進む。日が落ち始め、鬱蒼とした森林は薄暗く、赤い夕日の木漏れ陽も力なく色をなしている。
獣が雄たけびをあげたというよりも、断末魔をあげたような音声が遠くにこだまし、一刻はその方向へ急ぐ。ホーラたちがいる位置からはそれほど離れてはいない。
一刻が駆けつけたとき、ティナは呆然と立ち尽くし、その足元には二匹の人型をした爬虫類が悶絶して横たわっている。
「ティナ、大丈夫か?」息を切らして一刻は言った。
「ああ、問題ないのだよ」小さく消え入りそうな声でティナは言った。
「こいつらだな、絶滅しなかった恐竜ってのは」屈み込んで二匹の様子を観察している一刻。毛のような体毛は一切生えておらず、硬い表皮が全身を覆っていた。大腿部は非常に発達しており、筋骨隆々として足先には鋭い爪が生えている。上腕は人間の腕と遜色がない程の長さと関節を有し、何より一刻が感心したのは三本の指が精巧な造形をしており、爪も綺麗に研がれていたことだ。相当細かい作業をすることを想定して進化したのだということが分かる。
「そやつらはやがて目覚めるさ。ホーラたちは無事かい? 早くもどろう。陽が落ちてからが危険なのだよ」
一刻とティナがホーラと浜北の元へ戻ったとき、既にホーラの周囲には数匹の恐竜が群がっていた。ホーラは懸命に刀剣を振り回してそれらを静止させているが、後方では怯えきった浜北がガタガタと震えてうずくまっている。片腕をかまれたらしく、右手で抑えた負傷部分からは血が溢れ出していた。その様子に一刻はひどく後悔した。ホーラにティナを探させたほうが安全だったのではないかと。
薄暗い林道は既に取り囲まれていた。木々の陰には息を潜めた恐竜人とでもいうべき怖ろしいハンターが潜んでいる。一刻はバックパックからライターと着火剤を取り出し、手近に落ちていた棍棒に布を巻きつけ、簡易式のたいまつを作製した。徐々に陽が薄らぐ道中に轟々と燃え盛る赤い色が揺らめく。ハンターたちは火の明かりに警戒して距離をとったようだった。一刻はティナを横に抱え込むようにホーラの元に走り、生きている恐竜人にナイフを投擲して仕留めていった。
「走るぞ。浜北さん、立てるか?」一刻は浜北の顔を覗き込んだが、視線は遠くを見て歯の根がかみ合わぬほど震えている。失血によるショック状態が起こり始めているかもしれない。見れば大腿部もひどく噛み千切られ、そこからの失血がひどかった。
「ホーラさん、浜北を時間静止させてください。俺が抱えていきます」
「無理よ。大人一人抱えて移動できる距離ではない」
「いーちゃん、残酷だけれど…」
「ダメだ! 置いてはいけない。俺が連れて行くから。頼みます」鬼気迫る表情で声を荒げ、頭を下げた一刻に気圧されてホーラは渋々、浜北を静止させた。一刻は浜北と二人分のバックパックを抱え、立ち上がる。たいまつにより多くの着火剤を塗りこみ、ポケットからある物を取り出した。
「合図したら走るぞ」
「荷物、持ちます」と言ったホーラの申し出を一刻は断り、周囲の警戒とティナの護衛を怠らないように伝えた。そして手に持った消臭スプレーをたいまつに向けて吹きかけた。ゴウという音を立てて火柱が上がり、周囲は昼の様に明るくなった。
その異様な炎に怖気づき、遠巻きにしていた恐竜人たちは逃げ出した一刻たちに出遅れた。
五キロほど走った辺りで完全に追っ手をまくことができた。何度か襲撃を受けたが、ホーラが刀剣で応酬し、一刻も片腕だけでナイフを投げて応酬した。問題だったのは一刻の体力だ。殆んど口も聞けぬほど消費し、膝はとっくに震えている。外務省の特殊領事館に勤務してからはデスクワークで一日の大半を過ごしていたことから、諸外国を旺盛に回っていたころから比べると持久力は落ちている。それにしても大人一人を抱え、五〇キロ容量のバックッパクを二つ背負っての走行は拷問のように辛かった。
水分補給のために短い休憩を挟み、「もう少しで宿場に着くのだよ」という一刻を気遣い不安げな表情をしているティナの言葉を信じ、一刻は残りの道程を気力だけを振り絞って歩いた。
町の明かりが視界に入ったとき、得も言えぬ安堵が皆の心に拡がった。宿の前に着いたとき、その建物が異様に巨大な岩をくりぬいて製造した風変わりなものであることに気づいたが、何の感想も浮かばない一刻であった。へたりと座り込んで、もう一歩も動けそうになかった。その様子にティナとホーラは「宿の人を呼んでくるさ。いーちゃんはそこにいたまえよ」と言って岩の宿に入り、和服を身に着けた人を連れてきた。
一刻はひどく疲れ、冬の寒さに体が冷え切っていることに今更気づくのだった。もう腕一つ上がらない。目を開けているのもやっとという状態で、和服を身に着けた宿の人が現われた。それは先ほど襲われた恐竜人が服を着ているというのだから、一刻も面食らった。反射的に懐へ手を入れてナイフを掴みたかったが、生憎そんな体力も残っていない。
「いーちゃん、大丈夫さ。この人は私達を襲ったりはしない」
「へい。ハヒナ様の言うとおりにございます。わたひ達は、おそひません」とやけに発音が悪くサ音がハ音になってしまう恐竜人は硬い表皮に、冷たく透き通った目で一刻に笑いかけた。
その人物に害意がない事を一刻は感じ取ると、安心したことで意識が遠のいて気絶してしまった。