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最近、真白との関係が良くなっていると感じていた。少しずつ会話も増えて、笑顔を交わすことも多くなった。すっかり打ち解けてくれた真白は、無表情でも変わり者でもない普通の少女。
もっと仲良くなりたい、もっと笑顔が見たい。そしてクラスメイトからの誤解を解いてあげたいと思ってしまった。
思えば軽率で傲慢だったかもしれない。
昼休みに一人で寂しそうにしている真白に声を掛けると急に立ち上がり、初めて会った日のように手を振り上げた。
思わず目を閉じて衝撃に備えたが、以前のような痛みや音は現れなかった。代わりに、真白は涙を流していた。彼女の目は俺を睨みつけ、ぽろぽろと涙がこぼれ落ちる。
動揺して「ごめん」と謝ると、真白は荷物をまとめて教室を飛び出して行った。
教室は静まり返り、全員の視線が俺に集中する。込められた非難の矛先は、真白が泣いていたこととは関係がないのだろう。きっと俺が真白を刺激して、再び暴れ出したことに対して責められているんだ。
「何もしらないくせに……」
母親を亡くして心が荒れてしまっただけなのに、表面だけを見て忌避して誰も真白の味方になってやらない。
俺はクラスメイトへ向けた理不尽な怒りを抱きながら、真白の後を追って教室を飛び出す。
でも、もう遅かった。
翌日から真白は学校に来なくなった。クラスメイトたちは内心喜んでいるらしい。教室の雰囲気が少し明るくなるのとは対照的に俺の気持ちは日に日に沈み込んだ。
真白が消えると俺に話しかけてくる人も増えた。俺は空返事をするだけで、どうしても隣の空席に目が行ってしまう。
俺のせいだ。
上手くいってたのに。
終ぞ心の隙間が埋まらないまま、夏休みを迎えた。
小説を読んでくださり、ありがとうございます。
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