2040年の口減らし
「2040年問題」とは、日本の人口減少と少子高齢化が進行することにより、2040年に顕著に表面化するさまざまな社会問題の総称です。 国立社会保障・人口問題研究所の資料によると、2040年の日本では65歳以上の高齢者が3,929万人となり、全人口の34.8% を占めると予測されています。
「もう、無理」
政府がとうとう音をあげた。
ジリジリと水面下で行われていた憲法改正により、新法が発表された。
「65歳以上の男女の人権を剥奪する。65歳以上は医療費全額自己負担、年金の停止、以下うんぬん」
「死ねというのか?!」
「そうだ」
国民は絶句した。
「なお、64歳以下の者は65歳以上の者を助けてはならない」
現代版姨捨山がここに実現した。
「お父さん、お母さん」
泣きながら、64歳の娘が親にすがった。
「私もすぐ行くから」
65歳以上の男女を回収していく大型車が巡回した。
「犬猫以下の扱いじゃないか」
ウッウッ。誰もが嗚咽している。
こんなことになる前に何か打つ手はなかったのか?
なあ、おい、今ならまだ間に合うかもしれないよ。