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おじさんという生き物が異世界に転生し若返って無双するキモい話  作者: 埜上 純
第一章 旅立ち編

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第34話 地下洞窟後半

 三日目。モンスターが襲ってこないセーフティエリアを出発し、三十分も進めば二人は地下十一階へと降りる道に辿り着いた。


「この先が地下十一階ですね」


「ええ、そう」


(やっと半分か。勢いに流されてここまで来たのはいいけど……)

 ミズトは先の長さを考えると嫌になってきた。


 それからその道を下っていくと、地下十一階へ抜けた。

 ここも同様に広い空洞が広がっていたが、今までと大きく違い随分と明るくなっている。

 こんなところで植物も生息しており、まるで外にいるかのようだった。


「太陽の光が届いているわけではないですよね……?」

 ミズトは少し眩しそうに見上げた。


「もちろんよ。この階からは魔力の濃度が濃くなって、含まれる魔石の質が変わってるせいで明るくなっているの。生えているのは魔力を養分として育つ植物よ」


【ミズトさん、どうやらその植物から、中級ポーションの材料である『エーテルの雫』を稀に採取することができそうです】


(へえ、この植物からねえ)

 ミズトは近くに生えている植物に近づき、森に生えている植物と見た目は変わらないなと思いながら触った。


「ミズト、あなた、ポーションの材料があれば、自分で分かるのかしら?」


「はい、大丈夫です。中級ポーションの材料である『大地の魔石』と『エーテルの雫』があれば気づくことができると思います」


「そう、良かったわ。ここからはゆっくり行くから、見つけたらお願いね」


【ミズトさん、とくに『エーテルの雫』は上級ポーションや中級魔力ポーションの材料でもありますので貴重です。可能な限り採取していきましょう】


(なるほど、了解だ)

 ミズトは一人でここまで来ることはないだろうと感じていたので、エデンの言う通り集めるだけ集めようと考えた。

 こういうとき大量のアイテムを収納できるマジックバッグは有り難かった。




 地下十一階を進むと、最初に遭遇したモンスターはレベル51のオーガ十体。

 オーガは人間より遥かに大きく、筋肉質でがっしりとした身体を持っている。肌はわずかに赤みがかり、特徴的な角と牙と、手に持つ巨大な棍棒がその凶暴な印象を一層強めていた。

 それが十体ともなると、さすがのミズトも一人では生き残れる気がしなかった。


 しかし、そんなオーガ相手でもセシルは後れをとるようなことはなかった。

 開戦一発目の『アイスアサルト』の魔法で全滅をさせることはできなくても、数体は倒せている。

 残ったオーガも弓矢で仕留め、近づくことさえ許さなかった。


(この姉ちゃん強えな、おい)


【レベル73ですので、ここフェアリプス王国のような小国では三本の指に入る強さと言って良いでしょう】


(なるほど、73ってのはそのレベルなのか。そう考えるとあいつは……)

 ミズトは危うくムカつく顔を思い出しそうになった。


「さあ、行くわよ。あなたの出番はもっと先」

 セシルはそう言って歩き出した。


 その後、地下十一階以降も、戦闘はセシル一人で十分だった。

 出現するモンスターは、ガーゴイル、ミノタウロス、トロール、バジリスクと、RPGで見た覚えのある強力なモンスターばかりだったが、セシルの言ったとおりミズトの出番はない。


 ミズトの役割と言えば、『大地の魔石』と『エーテルの雫』を採取し中級ポーションをせっせと調合するか、セシルの消耗状況を見てポーションを渡すか、ぐらいだった。

 ただ、初めて初級魔力ポーションを渡した時は、

「あら、私、欲しそうな顔でもしてたかしら?」

 と変な疑問を持たれた。


 ミズトは、セシルが強力な魔法を使っているのを(かたわ)らで見ているうちに、魔力がどういうものか感じ取れるようになっていた。

 それもあり、セシルの消耗状況を正確に把握し、必要な場面で渡していたのである。

 セシルには、それが不思議だったようだ。


 それから四日経った頃、ミズトとセシルは地下十八階に辿り着いた。


「ここからは、気を引き締める必要があるわ」

 エンディルヴァンド地下洞窟に入ってから初めてセシルが緊張した声を出した。


「そういえば、セシルさんは地下十九階まで行ったことがあるのでしたよね?」

 ミズトはセシルの態度に少し不安を覚えた。


「ええ、十九階のボス部屋の手前までよ」


「ボス部屋?」


「そう。この十八階からは現れるモンスターが一段強くなって、ボスモンスターも登場するわ。それを倒さないと次の階に行けないの」


「そうなんですね……」


 ミズトは戦闘では役に立ってない上に、パーティを組んでいるおかげで何もせず経験値を稼いでいるため、少し申し訳ない気持ちになっていた。

 そのうえ更に戦闘が激しくなると聞いて、心苦しい限りだった。


「それにしてもミズト、あなたレベルが上がらないわね。レベル40台半ばぐらいよね? こんなに経験値が入れば、二つぐらいは上がってもいいのだけど」


「自分でもそう思います……」

(レベルはまだ5だけど)


 セシルは自分から訊いたことを忘れたかのように、ミズトの返答を聞くもなく歩き出した。

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