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おじさんという生き物が異世界に転生し若返って無双するキモい話  作者: 埜上 純
第一章 旅立ち編

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第21話 慣れていく日常

(こうきたか……)


 その日の夕方、部屋に戻るとミズトを呆れさせる状況が待っていた。


【また部屋が荒らされたようです。被害額はほぼありません】


(ああ、分かってる)


 空き巣対策で私物は持ち出しており、テーブルや椅子など備え付けの家具はひっくり返されるだけで壊されていないので、被害はないが気持ちいいものではなかった。

 これが物盗りではなく嫌がらせなら、あまりに幼稚な行為だ。


「こういう行為に平気で走るほど、この町の奴らは成熟していないってことだな」


 ミズトはそう声に出し、物にあたろうとした感情をなんとか抑えた。

 あんな奴らのために感情を出した方が馬鹿らしいと思ったのだ。


 結局それ以降も、部屋は毎日荒らされるようになった。

 四日も続けば意外と慣れるもので、ミズトにとって荒らされた部屋に帰宅することは日常になった。


 ただ、この辺りからミズトも何かのタガが外れて、この町の常識に行動を合わせるようになっていった。

 町を歩いていてスリに遭えば容赦なく叩きのめし、敵意ある視線を感じるだけで視線の主を追いかけ回し自分から絡んでいく。

 食事中に隣のテーブルが騒がしいと、聞こえるように暴言を吐き、言い返すものなら自分から店の外へ連れ出した。


 雑貨屋の前で襲ってきた悪党の二人を見掛けた時は、

「これはこれはお二人さん、よくお会いしますね。今日は『兄貴』さんはご一緒じゃないのですか?」

 と声を掛けながら、問答無用で一発ずつ殴っていた。


「へっ……へへへっ、か……勘弁してくだせえ、ミズトさん……。今日は何もしてねえじゃねえっすか……」

 細身の悪党は明らかに怯え、最初の頃の威勢はなくなっていた。


 こんな日々は、この町に馴染(なじ)めば普通なことなのだとミズト自身思っていたが、本人の思惑と違い、ミズトはドゥーラの町で目立つ存在になっていった。





 町に来てから十日目、ミズトは部屋に戻り、いつものように調合を行っていると、

 ====================

 万能生産者の熟練度が3に上がりました!

 ====================

 初級ポーションの作成が完了すると同時に、熟練度アップのログが流れた。


(もう熟練度が3になったか。熟練度2は一週間前だっけ?)


【いいえ、万能生産者の熟練度2に上がったのはドゥーラの町に着いてから4日目ですので、六日前になります。なお、熟練度が3になったことにより、初級ポーションだけではなく、解毒薬と初級魔力ポーションの作成が可能となりました】


(ふうん、2になった時は成功率が上がっただけだったけど、今回は調合できる種類が増えたのか。それにしても万能冒険者の方は熟練度1のままなんだな。スキルをあまり使わないからなのか?)


【申し訳ございません、そちらは解析中となります。今のところ万能冒険者の熟練度は一般的な上昇より数倍遅く、万能生産者は数倍早い結果になっております】


(万能冒険者の熟練度が2に上がらないのは遅すぎるし、万能生産者の熟練度が3に上がるのは早すぎるって意味ね)


【はい、そのとおりです】


「調合で稼ごうとしている俺には、そっちの方が助かるけど」

 ミズトは一つだけある空の瓶を手に取って、そう言った。

 熟練度が2になってからは、成功率が九割まで上がり、失敗は一本だけになっていた。


(それで、解毒薬と初級魔力ポーションってのも、材料は町の周りにありそうなのか?)


【解毒薬の材料は全てありましたが、初級魔力ポーションに必要な鉱石は確認できていません】


(鉱石? 飲み薬なのに石の材料が必要なのか?)


【はい。魔力ポーション系の材料には必ず『青の魔石』が必要です】


(なるほど。で、それはどこにあるんだ?)


【一般的には鉱山かダンジョンにあります】


(ダンジョン!? そんなものまであるのか……。この町の近辺にはないのか?)


【鉱山もダンジョンもミズトさんの足ならここから1時間以内の場所にありますが、『青の魔石』があるかは不明です。町の方々に聞いてみるか、冒険者ギルドから情報を購入するのが良いでしょう】


(情報を買う?)


【はい、価値ある情報は冒険者ギルドで売買することが可能です】


(なるほど、覚えておく)


 インターネットのないこの世界で、情報が貴重なのは当然のことだ。

 誰かに教えてもらえなければ、自分で調べる方法がほとんどないのだから。


 その点、自分は『女神の知恵袋』のスキルのおかげで随分優遇されている。

 ミズトは改めてエデンの存在に感謝した。

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