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第187話 冒険者ギルド幹部会

 帝都オルフェニアにある冒険者ギルド本部で、冒険者ギルドマスターを含む最高幹部会が開かれていた。

 革命鎮圧部隊に参加していた冒険者ギルドサブマスターのフェルナンが帰還したからだ。


「フェルナン殿、帰還したばかりだと言うのに、呼び出して申し訳なかったの」

 冒険者ギルドマスター、ドワーフのブルクハルトが言った。


 会議に参加しているのは六人。

 円卓に等間隔で座り、フェルナンはブルクハルトの正面の席だ。


「恐縮です、ブルクハルト様。しかしこれは極めて重要な事案ですので、早急に共有をしておく必要があると理解しております」


「フェルナン殿にそう言ってもらえると助かります。早速で悪いですが、詳しく聞かせてもらえますか?」


「承知いたしました。まずは革命についてですが」

 フェルナンは、一度五人を見回してから続けた。

「セルタゴ支部長からの事前情報通り、革命とは名ばかりで、抗議のために市民がただ集まっていただけでした。それを武力で共和国政府の転覆を目論んでいるかのような、意図的に情報操作がされていたのは間違いございません」


「やはりそうでしたか……。して、その情報操作をしていたのが何者か分かりましたか?」

 ブルクハルトはフェルナンに尋ねた。


「正体までは突き止められませんでしたが、想定していた通り、各国で活動が確認されている、黒ローブの戦闘集団と見て良さそうです。何人かが革命軍として参加しておりました。さらに一つ分かったことが、革命軍のリーダーだった黒騎士と呼ばれる存在です」


「黒騎士? 聞いたことありませんわね……」

 ブルクハルトの右隣に座る老婆が言った。


「はい、冒険者ギルドにも確認された記録はありませんでした。しかし、異界人いかいびとがステータスを確認しましたので、実在するクラスです。しかもその黒騎士のレベルが81でした」


「なんですって!?」

 老婆は思わず声を出した。

 他のメンバーも声を出さずとも驚きを隠せない様子だ。


「信じがたい高レベルですが、その黒騎士が黒ローブたちのリーダーでもあるようでした。もし、黒騎士というのが単独のクラスではなく、複数いるとしたら……」


「三大騎士団に匹敵するかもしれんの……」

 ブルクハルトが呟いた。


「はい、世界の脅威となりえる存在です」


「……」

「……」

「……」

 冒険者ギルドの幹部たちは言葉を失った。


「それからもう一つ、A級冒険者ミズト殿についてもお話しいたします」

 フェルナンは、自分で見たものに加え、参加した冒険者から聞いた話も含めて、ミズトの活躍を皆に説明した。


「フェルナン殿は、彼が到達者と同等とおっしゃるのか?」

 話を聞き終わったブルクハルトは、確かめるように聞いた。


「はい、そう表現して相違ありません。彼は何もかも我々の常識を越えております。勇者リアン殿やハイエルフのセシル殿など、テルドリス遺跡に同行した全員が絶賛するだけのことはあります。それに、ウィザードで登録していますが、身体能力は極めて高く、さらには超希少種の精霊を連れて歩いていました。フェンリルのようにも見えましたが、この私でも何か分からないような精霊を」


「フェルナン殿が分からない精霊を……? それほどに想定以上の存在だったということですか」


「革命鎮圧部隊に参加してもらえたことは幸運でした。この目で確かめなければ、彼を見極めることは不可能だったと思われます。ギルドにとって、ミズト殿を失うことほど大きな損失はなく、彼は最重要人物の一人と言って良いでしょう」


「フェルナン殿にそこまで言わせる冒険者ですか……。そういえば彼の説得に協力してくれた異界人いかいびと、何と言いましたかの」

 ブルクハルトはミズトへ革命鎮圧部隊参加の依頼をした時のことを思い浮かべた。


「あの店の主人は、異界人いかいびとのタクマ殿です」


「そうそう、異界人いかいびとタクマ殿。ミズト殿が来る前に彼を説得できたおかげで、ミズト殿が参加したようなものでしたな」


「はい。ブルクハルト様が店を訪問した理由をお伝えすると、最初はかなり強く反対されましたが、革命と言っても市民が抗議のため集まっているだけで危険はないことを知ると、受け入れていただけました」


「ええ。その後、まさか一緒に説得までしてくれるとは」


「彼の後押しがなければ、ミズト殿の参加は厳しかったかもしれません」


「その通りですな。ミズト殿には、冒険者ギルドは異界人いかいびとを区別しないと言いましたが、異界人いかいびとである彼らに、どうしても期待してしまいます」


「おっしゃる通りです」

 フェルナンは、ブルクハルトの言葉に大きく同意した。


「フェルナン殿、ご苦労様でした。今回の革命鎮圧部隊では大きな収穫を得ることができました。帝国軍からも、まさかの感謝の言葉を頂いています。それもこれもA級冒険者ミズト殿の功績と言って良いでしょう。今後、我々冒険者ギルドは、ミズト殿には全面協力することを方針とします!」

 最高幹部会は、ブルクハルトの言葉で締めくくられた。

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