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第十五話「英雄譚 第四幕」
重い。速い。
"重さ"と"速さ"は両立するのがとても困難だ。しかし化け物はその常識を打ち破って元師に次々と拳を叩き込んでいく。
化け物「キャハハハハ!さっきまでの威勢はどうしたのよ!」
元師「グハッ(このままでは…この国は…)」
とはいえ元師も流石の達人。確実に急所を守るだけの最低限の防御で攻撃を続ける。いくら人知を超える怪物といえど元師の攻撃が全く効いていない訳では無かった。
化け物(こいつ、この劣勢でも守りに徹せず攻撃を続けるあたりは流石ってとこね…でも私の圧倒的有利には違いない!)
化け物「期待外れだったわね。遊びも終わりにしてさっさとやっちゃうわよ!」
元師(まずい…こうなったら俺の命を燃やし尽くして…)
化け物「くらえぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
おぞましい叫び声とともに超速で突撃する化け物の攻撃に元師の体から血が溢れて………
化け物「な…なんなのよ…」
否、その血は化け物の体から出たものだった。化け物にそんな傷を負わせた者とはーーー
元師「俺の命を燃やして!たとえ死んでもここを通さん!」
自らの命と引き換えに力を引き出した元師がそこに立っていた。