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エッセイ

母と新興宗教

掲載日:2022/07/16




 関わらないひとなら多分一生関わらない「新興宗教」。

 どういう訳か、我が母は新興宗教と「すれ違う」ことが多いです。




 まずは高校生時代。

 特に親しい訳でもないクラスメイトが突然話しかけてきました。


「Tさん、あなたのお家に遊びに行きたいんだけど、いい?」


 母、特に不審がるでも戸惑うでもなく快諾。

 クラスメイトが家に来ると、母はクラスメイトとお喋りしたり、遊んだりしていたそうです。

 そして、クラスメイトはやはり突然いいました。


「Tさんって、S教会の会員なんだよね。わたしもだよ」


 母ぽかん。

 しかしすぐに否定します。


「違うよ」


「TさんはS教会のひとだって、クラスで噂になってるから、そうかと思って」


「ええっと、違うの。ごめんね」


 クラスメイトは納得し、その話題は終了。

 その後、付き合いはなかったそうです。




 時が経ち、母結婚。

 結婚相手の母親(つまり、姑さん)がとある新興宗教(以下R会)の信者でした。

 母は宗教に興味はあるものの、さほど信じていないタイプ。

 しかし、お姑さんに会合に誘われたら断る訳にもいかず、ついていきます。

 なんだか難しい話をきいたり、この政党を応援しましょう! という話になったり、お茶を飲んだり。

 その後、「儀式」がはじまりました。


「この念仏(お経?)を唱えないひとを呪いましょう」


 と、司祭的なひとがいい、みんなが賛同、お祈りをはじめます。

 母、ええーっ? と思いつつも、とりあえずお祈りには参加。

 呪いの片棒を担がされてしまいました。




 母、保険の外交員時代。

 同僚に「いいところがあるんだけど、いかない?」と誘われ、ほいほいついていきます。

 そこはT教の教会? 集会所? 的なところ。

 そこには司祭とでもいうのか、偉そうなひとが居て、母はお説教をくらいました。

 母の人相風体、履歴などをちくちくと。

 母、いい返したいものの、「ここでいいかえしたら長引くなあ」と判断し、「はい、はい」と話をあわせます。


「ここへ通うように」


「はい」


 二度と行きませんでした。




 母、知り合いに「自分はK教の信者」といってはばからないひとが居ました。

 母は宗教をそんなに信じていないので、興味本位で「どんな教義なんですか?」と訊きます。


「興味があるなら来てみませんか」


 母お得意、ふたつ返事でついていきます。

 教会的なところへ行き、お話を聞いて終了。

 母を無宗教から改宗させるのは相当難しい模様。




 ある日家に、N教が布教に来ました。


「週に一度来るので話をきいてください」


 母は好奇心が強いので、いいですよと軽くお返事、週一回そのひとが来ることに。

 お説教を聴いていたのは車のなかだそうです。

 最初のほうは興味深く聴いていたものの、四回目で脅されました。


「いずれ終末が来る。大洪水が訪れる。この教義を信じないひと達は大変な目にあう」


 母、基本的に小心者です。

 なので、こんなこわい話聴きたくない! と拒否反応が出ました。


「申し訳ないですが、わたしはもう無理です。もう来ないでください。時間をつかわせてしまってごめんなさい」


 意外とあっさりした伝道師は二度と来なかったそうです。


 母、図書館にて外国人女性が難儀しているのを助けました。

 母、相手が韓国人だとわかっていろいろ話しかけます。

 ちなみに、あんまりできなくても英語圏のひとには英語で話しかけ、中国人には中国語で……と、語学が好きな母です。片言ですが案外通じるそう。

 で、そのなかでも韓国語は難しくて苦手な様子の母、このひとと友達になったら生の韓国語を学べると思ったそうです。


「わたし、教会に住んでるんです」


 と、相手。


「来ませんか? わたし、車で来てるので……」


 韓国語に苦戦中だった母、ついていきます。

 すると、車はどんどん山奥へ。辿りついたのはN教の教会でした。

 女性は夫と、ふたりで布教活動中とのこと。夫も出てきて、母に教義やN教の考えなどを話します。

 母はN教に興味はないものの、韓国語目当てでしばらくその女性と友人付き合いをしていました(この部分はっきり聴いていないが、母は面食いなのでおそらく相手の女性が美人だったのだろうと思う)。

 しかし、遊びに行って韓国語について教えてもらっていると、女性の夫が「韓国語を喋るな」といやがるのだそうです。

 教会が山奥でアクセスが悪いこと、忙しくなってしまったのもあって、関係は自然消滅しました。




 図書館を頻繁に利用する母、司書さんと世間話などしていました。

 ある司書さんが、家族に引きこもりが居て、といったので、図書館で借りて読んだ引きこもりに関する本をすすめたものの、反応が芳しくない。

 どうしてかなあと思っていたら、司書さん。


「○○を信仰してるから、もう大丈夫なの」


 と。

 その段階では仏教の宗派をいっていたそうですが、くわしく聴いてみると「E」という分派で新興宗教。


「それ、新興宗教ですよ」


 といっても司書さん信用せず。


「今度、○○で講演があるんです。来ませんか?」


 誘われたけれど行かなかったそうです。




 もうひとつ、名称不明の団体にも勧誘されたことがあり、さらに知り合いから面と向かって「あんた宗教やってるんだって?」と訊かれたことも。

 数えてみると、母が勧誘された新興宗教は全部でいつつ。信者と思われたのはひとつ、呪いの片棒が一回。

 ですが、母と新興宗教との関わりは遡って、母が幼い頃にはじまりました。




 母のきょうだいに、生まれつき内臓に疾患があるひとが居ます。

 子どもの頃、手術することになりました。

 子どもが手術する、お金を持っている、最近遺産が転がり込んだ――などの情報は、信者を通じて新興宗教の支部に届くようです。

 母のきょうだいが難しい手術をするとききつけたS教会の信者が、家にやってきました。


「S教会にはいって信仰しないと、手術が失敗してあんたの子どもは死ぬ」


 対応した母の父(つまりわたしの祖父)、激怒。




「そういうことをいうお前が一年以内に死ぬぞ」




 一喝し、S教会の信者を追い出しました。


 勿論、母のきょうだいの手術は成功。

 S教会の無礼な訪問を忘れかけていた頃、祖父は愕然とする事実を知らされます。


 手術が失敗して子どもは死ぬ、といっていたひとは、とても熱心な信者でした。

 教会に泊まり込みで布教活動にいそしんでいたようです。

 寒い時期で、火鉢をたいていた日のこと。

 火鉢の傍で信者は毛布にくるまり、眠っていました。

 すると突然、火鉢が爆発し、破片がぶつかって信者は死んでしまったそうです。

 「一年以内に死ぬ」という祖父の言葉から半年のことでした。




 新興宗教に勧誘されて困っている、こわい思いをしているというかた。

 うちの母はいろんな宗教の勧誘を断りましたが、ぴんぴんしています。

 その体験談からすると、「これを信じないと死ぬ」なんてことをいうひとのほうが危ないようなので、ご安心を……。






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― 新着の感想 ―
[良い点] ほんとそう、ヤツらに因果応報という概念を教えてやりたい。
[良い点] 新興宗教を題材にしたお話……、一瞬実話かと思ってしまうほどのリアルさを感じました。 私の所にも昔一、二回来ていましたがそのたびに両親に『関わるな』と言われてきましたが、本当に関わらない方…
[一言] 聖教新聞なる物を貰ったことがあります。 信者の人がお礼?の小話を載せていましたので読んでみました。 大雨があり、隣の家は崖崩れにあい被害にあいましたが、家はお祈りをしていたので被害にあいませ…
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