番外編(その後の二人)
最終話です。
「父上、もう一度お願いします!」
「いいだろう何度でも付き合ってやる。」
「ありがとうございます。父上の胸、お借りします!」
剣が打ち合う音があたりに響いていた。
「にいさまー。」
かわいらしい声があたりに響き渡った。
「オータミナ、どうしたんだい?母上やメイドたちもいないようだけど…。」
「にいさまがとうさまとけんのおけいこをしているときいたから、はしってきました!」
「オータミナ、淑女が走ってはいけないよ。それにメイドを置いてくるのはだめじゃないか。」
幼さを残しながらも精悍な顔立ちの少年が幼い少女に言い聞かせていると、
「オータミナ、父様のところには来てくれないのかい?」
そうメイリュードナが問いかけると、
「オータミナはにいさまにあいにきたのです。とうさまはかあさまとなかよくしていればいいのです!」
「うふふ、あなた、オータミナに振られてしまいましたね。」
そう言ってやってきたのは今や二児の母となったエイプリーナだ。
「そうだよー。わたしを慰めてくれるかな?かわいい奥さん?」
「仕方がありませんわね。オータミナはフォールトウスが大好きなようですし、本当に仲の良い兄妹ですね。」
メイリュードナとエイプリーナが結婚してから数か月後、エイプリーナの妊娠がわかり長男のフォールトウスが生まれたのだ。また、その数年後には長女であるオータミナが生まれてイヤーオリウス家は賑やかになっていた。しかし、エイプリーナが子供を産んでからもメイリュードナの溺愛は変わることなく、それどころか、年々甘さが増していくほどで、うっかり二人の会話を聞いていると、砂糖を吐きそうになるほどだ。
結婚してすぐはメイリュードナに好意を抱いていた女性が二人を引き離そうと画策していたが、そのたびにメイリュードナに返り討ちになり、砂糖を吐くほどののろけを聞かされる女性が後を絶たず、結婚して、数か月後にはメイリュードナに言い寄る女性はいなくなってしまった。
そんな二人は周りの視線を気にすることもなく年中いちゃついているので社交界では『万年新婚夫婦』とも呼ばれている。
「オクトフィル様、婚約破棄されたわたしと結婚してこんなにもかわいらしい子供たちを与えてくれてありがとうございます。あなたと出会えたことがわたしの人生最大の幸運です。これからも末永くよろしくお願いしますね。」
「エイプリーナ、それを言うのはわたしのほうだよ。君に出会えたことで私の人生は変わったし、君がいてくれたからこそかけがえのない大切な家族を得ることができた。君に出会えなかった未来など想像できないし、したくもない。これからも未来永劫君を愛し続けることを改めて誓おう。今世が終わったとしても必ず来世でも君を見つけて幸せにするよ。」
この物語はまだ終わることなく続いていくだろう。そして、二人の未来には必ず希望の光が差し込んでいるのだろう。
今回の更新で『婚約破棄→イケメン公爵から溺愛⁉』を完結とさせていただきます。読んでくださった方々本当にありがとうございました。できれば読んだ感想などをいただけると嬉しいです。
また、連載中の『王子様なんていらない!悪役令嬢は他国で幸せになります』も読んでくださるとうれしいです。
最後になりましたが、今まで読んでくださり本当にありがとうございました、またどこかで見つけてくださることを願っています。