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「おい、何か文句でもあるのか?先ほどから黙っているが…。」
あ、この方何もわかっていないようですね。
「いえ、急なことでしたので驚いてしまったていましたわ。あの…、お聞きしたいのですがこの件は伯爵家の方はご存じなのでしょうか?あと、お相手はディーセン嬢とおっしゃるのでしょうか?」
「なんだ!相手を知って何か危害を加えようと思っているのではないだろうな‼」
……本当にこの方は感情を表に出しすぎていて心配ですね。
「いえ、そのようなつもりはございません。ただ伯爵家の皆様が知られているかも知れない令嬢の名前をわたしが知らないのが不思議でしたので。」
……まあ、伯爵家の方々も知らないかもしれませんがね。
「そうだったのか。疑ってしまってすまなかった。今回の件は今から父上に話すつもりだ。その前に君に話しておこうと思ったんだ。」
「そ、そうだったのですか…。」
あきれて言葉も出ません。本来ならばマンスード伯爵家の家長であるおじさまに話を通してからというのが筋なのですが。本当にこの人の将来が心配でたまりません。おじさま、この人の性格を矯正できずすみません…。