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耳を疑うというのはこのようなことをいうのでしょうか…。
「エイプリーナ、すまないが君との婚約を破棄させてもらう。」
そういわれたのはマンスード伯爵家の長男のオクトフィル様で、わたしの婚約者、いえ、元婚約者です。
あ、申し遅れましたが、わたしはデイリアーヌ伯爵家の次女エイプリーナと申します。まあ、今婚約破棄をされている真っただ中ですが…。
「なぜなのでしょうか?」
何はともあれ理由を知らなければなりません。恋愛感情はありませんでしたが、婚約者としての情はあったと思いたいです。生まれた時からの婚約者でしたし…。
「本当にすまない。実は…他に好きな相手ができてしまったのだ。ちなみにディーセン嬢には私の気持ちを伝えて了承ももらっている。」
……は⁉いやいやいや、何をおっしゃっているのでしょうか、この方は‼ほかに好きな人ができたから婚約破棄?いえ、せめて婚約解消が普通ですよね⁉それ以前に婚約者がいるにもかかわらず好きな相手に告白をするという神経が理解できません。お相手も告白に応えているようなので間違いなくあちらの方々が一方的に悪いですね。向こうが婚約者を変えたいならば、まずは告白を行う前にわたしの家に婚約解消の申し入れがあるのが常識です。というより、この婚約破棄は伯爵家の皆様はご存じなのでしょうか…?
とても不安になってきてしまいました…。