九.異世界の様子
「全然作物がならない。土に栄養がないからだ」
「雨が降らないなぁ」
「何でこんなに寒いんだろう? 日がささないからか?」
「火がつかない?」
「一体何が起きているんだ?」
「今までできていたことが何にもできない! 神様! どうか元に戻してください!」
◇
その頃神は
「私のリエルがどっかに飛ばされたのよ! 探さなきゃ!」
水の神は使者をだしてリエルを探させる。
しかし、暫く見つからなかったのだ。
他の神たちも同様に探していたのに、だ。
世界神は上手く誤魔化していた。
どこに行ったか分からないように。
自愛の魂の波動が分からないように。
3ヶ月たった頃。
急に反応があった。
「あっ! リエルくんの反応だ!」
「えっ! どこ!?」
その頃、リエルは火の神のホノカと通じあった頃であった。
地球の神とコンタクトを取ったことにより、自愛の魂の波動が強くなったのだ。
「第8世界だって!」
「私はそっちに行くわ!」
「僕も行くよ!」
「俺だってリエルといたいぞ?」
「アタイだって、一緒にいたいさ!」
「みんなでいっちまうか?」
「「「「賛成!」」」」
こうして異世界の水の神、火の神、土の神、太陽の神、風の神。
大半の自然神が別の世界に移動を決めた。
その瞬間、異世界ダースからこの神たちの司る事象が消えたのだ。
それに気づいた異世界のダースの世界神は焦った。
何故こんなにもあんな小僧の元に神がついていくのか。
世界神には意味がわからなかった。
このままでは、数日で世界が滅ぶ。
既に信仰心が減り。
世界神として居られなくなりそうであった。
どうしたら元に戻るか考えた。
神達が出ていったのはあの小僧が第8世界にいるからだ。
元に戻せばいい。
しかし、別の世界である為、入れることは出来たが、介入して連れてくることは出来ない。
自分の意思で来てもらおうと思った。
すると、リエルへの接触を試みた。
夢に出ることにする。
『いきなりそちらの世界に行って不安であっただろう。手違いだった。望むなら元の世界に戻せるぞ?』
夢に出て問う。
これで、戻りたいという意志を表せば戻せる。
『あー。もうこっちの世界に馴染んだし、こっちの神様と仲良くなったから、いいかな』
『な、何故だ! 言葉もわからんだろう? 不安だろう?』
『もう言葉覚えたし、慣れたから』
『あちらの世界が滅びそうなのだ! 思い出の異世界が! 戻らないと滅亡するのだぞ!?』
『僕はそっちでは一人ぼっちだった。けど、こっちはえんじいもいれば、日向もいるし、神のホノカもいる。もう皆を好きになったから無理なんだ』
『なんだとぉぉぉ!! 戻れと言っている!!』
夢の中で激怒する世界神。
だが、リエルの考えが変わることは無い。
そこにもう1人干渉してきた。
『わらわのリエルに何をしようとしてるのだ? 他所の世界の神が穢らわしい』
ボォォォォォウ
空間に炎が走り。
空間を分断する。
『もう大丈夫ですよリエル? 安心してください』
『ホノカ、ありがとうございます』
『リエルを渡す訳にはいきませんからね』
『はははっ! 僕も行くつもりは無いから大丈夫だよ』
赤い髪のきれいな女性が着物を着て立っていた。
『ホノカってそんな感じなの?』
『これは、我のイメージじゃ。神に明確な形などない』
『へぇ。そうなんだ。神って夢には出てきやすいの? さっき、変な人に入られたけど』
『あれでも世界神です。弱って居なければ追い出せませんでした。昔は、相当力を持っていたのでしょう』
『世界って消えるとどうなるのかな?』
『文字通り、消滅じゃよ?』
『そうなんだね』
『寂しいか?』
『ううん! 皆がいるから寂しくないよ?』
『そうか。愛されておるな』
そういうと夢から消えた。
干渉を弾かれたダースの世界神。
世界神は絶望していた。
もう策がないのだ。
戻せば済むと思っていた。
それを拒まれた。
「クソォォォ! クソッ! クソッ!」
地団駄を踏んで悔しがる。
それぞれの神にコンタクトを取ろうとする。
「火の神よ! 戻ってくれ! 世界が滅んでしまう!」
「僕はリエルが最優先だよ?」
「水の神よ! 私が悪かった! 戻ってきてくれ!」
「私のリエルを飛ばした罪は重いわよ? 世界とともに消えなさい?」
「土の神!……太陽の神!……風の神!」
「………………」
「返事さえない。完全に無視されている」
「ぬがぁぁぁぁぁーーー!!」
そこかしこの壁を叩く。
「クソガァ! クソガァ!」
体が足先から消えていく。
「なに!? まだ神力には余力が……」
気付いた時にはもう力を維持するための神力が空になりそうであった。
第8世界に干渉したことで。
力を使ってしまったのだ。
そして、気付いていないが。
ホノカに力を削られていたのだ。
「こんな事があってたまるか!」
空間を叩くが何も起きはしない。
「私が消える?」
見える世界の人々は少なくなっていく。
生きていける環境では無くなったのだ。
段々と世界神の足が透明になっていく。
手も頭も。
透明になっていく。
世界が滅ぶ。
それは世界神の命が滅ぶのと同意であった。
「私があんな小僧のせいで消えるというのか! この私が? バカな! こんな事があっては良いはずがない! 第8世界の世界神になり変わろう! そうすれば助かる!」
そういうと空間から、出ようとする。
しかし、出れない。
神力が足りないと何も出来ないのだ。
「あぁ」
パァンッ
こうして、1つの世界が消えた。
◇
その頃、地球でも異変が起きていた。
温暖化だと言われていた気温が少し低くなった。
環境破壊だと言われている、減っているオゾン層 が再構築されている。
雨が降らない砂漠地帯にも雨が降り出した。
環境が次々と改善されていく。
日本でも、森林の活性化が活発になる。
地球の人間が破壊してきた環境が。
徐々に元に戻り始めているのだ。
これには神に感謝する人が増える。
感謝する人が増えるということは、信仰心が上がるということ。
崇められるようになる。
これはリエルへの徳になるのは。
もう少し先のお話。
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