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四十七.イタズラ騒動

「リエルー!」


「なんだ! またお前かよ!? 騒がしいな! リエルは今本殿だよ!」


「はぁーい! こっちにいたよぉー!」


本殿にいたリエルの耳にも届くくらいの大きさの声で話していた2人。


旅行から帰ってきて数日が経った。


あのハプニングがあってから、二人の関係はグッと近づいた。

リエルが意識し始めた事が要因であろう。


日向もリエルを好きだということを隠す気がないようにベッタリしている。


「日向何したの?」


「ねぇ! 絶対おかしいんだよ!? 部屋の物が無くなってるの!」


「えぇ? お父さんお母さんが片付けたんじゃないの?」


「聞いたんだけど、入ってないって言ってるのよ! 誰も入ってないのに物が無くなるのはおかしいわよね?」


「うぅーん。確かにおかしいかもね……」


「でしょ? 私にまた何かついてる?」


「ううん。何もついてないよ? 部屋に行ってみないと分かんないかなぁ」


「じゃあ、来て!」


「えんじいに言ってから……」


姿が見えなくなった日向。


「えんじい! リエル連れていくねぇ!」


遠くの方でえんじいに有無を言わせない雰囲気で連れていく報告だけしている日向。


ダダダダッと戻ってきた。


「えんじいから許可もらったよ!」


「わかった。じゃあ、今から着替えからまっ……」


「そのままでいいよ! 行こう!」


強引に連れていく日向。

何をそんなに急ぐ必要があるのだろうか。


答えは日向の自宅に行ってみてわかった。


「日向? どこに行ってたの? 部屋の物が無くなったなら、警察に連絡するって言ったわよね?」


誰も犯人じゃないことを証明する為と外部の犯行を疑っているようだが。


「だから、リエルに見てもらってから、連絡するって言ったじゃん!」


「リエルって誰なの!? その人に見てもらったら何がわかるの? 警察に連絡した方がいいでしょ!?」


「いいからちょっと待って! 今見てもらうから!」


日向とお母さんが喧嘩になってしまった。

お母さんに日向が似たのだろう。

気が強そうなところがそっくりである。


「お邪魔しまぁす」


「あなたがリエルくん?」


「はい。そうです」


「そう。娘のワガママに付き合わせてごめんね」


「いえ、そんな事ないです」


「でも、あなたに何が出来るのかしら?」


「お母さん、うるさい! 私の部屋に知らない男の人は入れたくないの! リエル、部屋に行こう!」


部屋に行くとバタンっと扉を閉める。


「はぁ。全く! おっさん達が入るかと思うと虫唾が走るわ!」


地団駄を踏む日向。


「まぁ、まぁ。この部屋なの? 物が無くなったの」


「そうよ?」


ベッドの布団はピンク。

ぬいぐるみも置いてある。

いい匂いが漂っている。


リエルはドキドキを抑えながら神力のスイッチを入れる。


部屋を見渡すが、目には何も映らない。

何もないと報告しようと日向を見ると。


『ケケケケケケッ』


日向の頭の上に猿のような妖が乗っていた。


笑いながら部屋中を飛び回っている。

部屋の中でバチッ!バチバチッ!と音が鳴る。

ラップ現象が起き、日向が驚いている。


「何? 何この音!」


「日向の目論見通り、やっぱり妖がいた」


「やっぱり! どっかに追い払って!」


「うん。滅するね」


手を構えて神力を使う準備をする。


しかし、飛び回る猿のような妖は照準が絞れない。


「これは、狙えないなぁ。よぉしっ! だったら、こうだ!」


目を瞑り力を引き出す。


「アメノの力で押し流して!」


ゴォォォオーー


リエルの目にのみ、水の濁流が見える。

流れてきた水が妖も押し流して消えていく。


「うん。後はいないかな」


「リエルー! ありがと! 今お菓子持ってくるね!」


「あっ、うん」


ペタンと床に座るリエル。


はぁ。

神力いっぱい使って疲れたぁ。

やっぱり放出する量が多いと大規模な効果が現れるんだな。


日向の部屋は2階にあるが、1階から声が聞こえてくる。


「だから、連絡しなくて良いって言ったでしょ! もう解決したの! わかる? お母さんには理解できないかもしれない。けど! 大丈夫だから!」


此方としても説明できるものでは無いので、大丈夫だと分かってもらうしかない。


ダンダンッ!


階段を上る音がする。


バタンッ!


「はぁ。はぁ。全くお母さんったらなんにも分かってないんだから!」


「まぁまぁ。お母さんも日向を心配して言ってるんでしょ? とりあえず、様子を見るって言ってみたら?」


「うん。そうする。ありがと」


「どういたしまして」


テーブルに持ってきたお菓子とジュースを乗せる。


「これ、食べよ? やけ食いよ!」


「いやいや、ヤケにならなくてもいいから、落ち着いて。ねっ?……ふぅ」


「大丈夫? 力使いすぎた?」


「そうだね。こんなに一気に神力使ったの初めてだから、しんどいのかも」


「ゆっくり休んで行って!」


「うん。ありがとう」


座布団にペタンっと足を伸ばし、手をついて座っている。


お菓子に手を伸ばして食べる。


「うん! これ美味しいね!」


「そうでしょ!? 最近新発売したやつなんだ!」


「へぇ! 今度僕も買って帰ろうっと」


ボリボリ食べていると日向が真剣な表情で質問をしてきた。


「ねぇ、リエルがあの神社継ごうとしてるのって本気?」


「うん。もちろん。冗談だったらえんじいの前では言えないよ」


「そうだよね……」


「日向、どうしたの?」


「なんか、リエルはすごいなぁって。もう未来のことを考えてるんだもん」


「でも、僕の場合はえんじいに助けられて、日向に助けられて渉と出会って。ずっと恩返しがしたいって思ってるんだよ。そうなると必然的に神社には継ぐ人がいないから継いだら喜んでくれるかなって思ったんだよね」


「ふふふっ。リエルらしい。自分の為より人の為なのねぇ」


「はははっ! そう言われたらそうだね!」


「…………ありがとう。リエルが来てくれて本当に良かった」


「今の僕があるのは、えんじいと日向のおかげだよ。言葉もわからない状態だったからね」


「そうだったわね。最初は苦労したわ」


「そうだろうね。何も出来ない状態から色んなことを教えて貰って……こっちの世界に来てよかったよ。前の世界では一人ぼっちだったから……」


「リエル……今は1人じゃないでしょ?」


「うん。みんながいるから日々楽しいよ」


「私は来年、大学受験するかどうか悩んでるんだぁ」


下を向いて俯く日向。


「どうして悩んでるの?」


「だって、大学に行ったら会えなくなるじゃない」


「遠くの大学に行くの?」


「近いところは偏差値が高すぎて行けないもん。ちょっと遠いところに行くしかないんだ」


「そっか。たまに遊びに来ればいいよ」


「でも……リエルは寂しくないの?」


「うーん。そりゃ寂しいけど、日向の未来の為でしょ? 応援するよ!」


「うぅぅぅ。私が離れたくないの! リエルと離れたくない! 嫌なの!」


「日向……」


「大きい声出してごめん」


「今日は帰るよ? ゆっくり休んで? また話したくなったらおいでよ」


「うん」


立ち上がって下に降りていく。


「お邪魔しましたぁ」


玄関を開けて挨拶する。


「またね、日向」


「うん。また」


ガチャッ


日向が見えなくなる。


神社への帰り道、リエルはどうしたもんかと考えていた。


あんなに日向が僕と離れたくないと思ってたなんで思わなかった。


でも、僕も同じくらい離れたくないんだよね。


結局は日向と同じ思いなのであった。

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