四十一.べズリーランド
「うわぁ! ここがベズリーランド!? 凄い大きいねぇ! 人もいっぱいいる!」
「でしょー!? 凄いよねぇ! 楽しいんだよ?」
「こんなに広いところに何があるの!?」
「それは、入ってからのお楽しみだよ! 行こう!」
興奮している日向はリエルの手を掴み走り出した。
「おい! 待て! はぐれるぞ!」
走っていってしまったリエルと日向。
「アイツらぁ」
「まぁ、チケットの販売所で待っとるだろう。今だけじゃよ、元気なのは。時期に疲れるわい」
「そうっすけど……」
呆れたように渉は日向達の後を追う。
えんじいの言った通りにちゃんとチケットの販売所で待っていた。
「ここで待ってんなら、走っていかなくてもいいだろうが! 子供かお前は!」
「うっ……ごめんなさい」
「まぁ、渉もそんなに怒んないであげて? ホントに楽しみにしてたみたいなんだ」
リエルが渉をなだめる。
「ここからははぐれるなよ? はぐれて迷子のお知らせとかで呼び出されたら迎えに行かねぇからな?」
「分かってるわよぉ! そこまで子供じゃないわよ……」
「分かってるならいいが……」
呆れたふうに言うとチケット販売所に行く。
「えぇっと、大人1枚と中人3枚で」
チケットを買うのも渉がやってくれた。
なんでもやってくれて良い奴である。
購入したチケットを皆に配る。
「渉、ありがと!」
「おう! 行こうぜ! 俺も久々でちょっと楽しみだ」
「うん!」
入口のゲートに向かい、列に並んで中に入る。
中に入った瞬間、景色と音が変わった。
「うわぁ。色々ある! ホントにひろーい!」
「広いわよねぇ! まずは、ウォーターコースターに乗りましょ?」
「おう。いいな。乗ろう」
珍しく渉が乗り気である。
「渉が賛同するなんて珍しい! それ、楽しいの?」
「楽しいわよぉ? 4回くらい落下するわよね?」
「あぁ! あれが楽しいんだよな!」
「そうなんだ! じゃあ、それに行こう!」
「こっちよ!」
先頭を歩く日向。
それに勢いよく続く渉とリエル。
その後にえんじいが歩いていく。
保護者は大変である。
アトラクションに着いたが、並んでいる。
表示がされていて、30分待ちになっている。
「まだ、待たなくていい方だな」
渉が言ったのを聞いたリエルは驚いた。
「えぇ!? 30分も待つの?」
「そんなもんよ? もっと待つ乗り物もあるわよ?」
「ひぇぇ。凄いねぇ」
待ち時間に圧倒されるリエル。
しかし、友達とはいいものだ。
色んな話題を話していると、30分はあっという間だった。
「おっ! 次だぞ!」
渉が興奮している。
順番が回ってくると乗り込んだ。
上からバーが降りてくる。
隣は日向だった。
ゆっくりと進み出す。
「おぉ。進んだ」
「リエルもきっと楽しいと思うわよ?」
「うん!」
徐々にスピードを上げるジェットコースター。
右に左に身体が振られる。
突如、カタカタカタと登り始めた。
「えっ? 登ってる?」
リエルが戸惑っていると。
「来るわよ来るわよぉ!」
フッと浮遊感に襲われた。
その瞬間、シートに身体を打ち付けられ、凄まじいスピードで下に進む。
「ぐっ!」
いきなりの事に声が出ない。
こんなの、何が楽しいの?
隣では「キャーーー! 楽しい!」と叫んでいる。
こんなの恐ろしい。
それから更に3回も落下を味わい。
ジェットコースターが終了する。
フラフラになって降りるリエル。
顔が真っ青である。
「ちょっと? リエル、大丈夫?」
「ははは。大丈夫だよ」
覇気がない返事をする。
「リエルは苦手な部類だったのかもな。あんまり絶叫系には乗せない方がいいかもな」
「うん。日向は遠慮なく、乗りたいのに乗っていいよ? 僕はその間休んでるから……」
「そんなぁ」
「しょうがねぇだろ? ダメかどうかも分かんなかったけど、結果だめだったんだから、無理させるのも良くねぇよ。見ろ! 顔真っ青だぞ?」
「そうねぇ。ごめんね。リエル。いきなり乗せちゃって……」
「いや、乗れるかどうかも分かんなかったし、しょうがないよ」
「リエルとワシは待っとるから2人で回ったらどうじゃ?」
「「それは、嫌」」
2人の意見が珍しく合致した。
「リエルも乗れるのにするから! 一緒に回ろうよ!」
「でも、それだと乗りたいのに乗れなくない?」
「いいの! コイツと回るよりはいいわ」
「俺も同じ意見だね。こいつと回るよりリエルが乗れるのに一緒に乗った方がいい」
「そう? なら回ろう!」
「うん!」
「おう!」
「じゃあさ、次はシューティングのアトラクションに行こうよ!」
「シューティング?」
「そう! レーザーで狙って打つ! みたいな」
「いいねぇ!」
そこからはリエルが乗れるのを選びながらアトラクションに乗った。
リエルも楽しんでアトラクションに乗ることが出来た。
皆いい笑顔で遊んでいた。
途中休憩の時はハンバーガーやポテトを食べたりした。
休み休みアトラクションに乗りながら楽しんだ。
段々と暗くなり始めた頃。
3人はヘトヘトになっていた。
「つ、疲れたぁ。テーマパークってこんなに疲れるものなんだね……」
「まぁ、相当歩くからな」
「でも、楽しかったわよね?」
「うん! 初めてだったから、こんなに楽しいのがあるんだって知れてよかった!」
「私も初めての時は興奮したものよ! また絶対来るって誓ったもの」
「そうなんだ。気持ちはわかるなぁ。楽しかったもん」
「私が最初に興奮してたのがわかるでしょ!?」
「うん! 来てみて初めてわかった」
出口のゲートに歩いて歩を進めていく。
「お師匠、夜ご飯はどうしますか?」
「そうじゃなぁ。みんな疲れているようじゃし、コンビニでいいじゃろ」
「「「賛成」」」
疲れ果てている3人はえんじいの意見に賛同する。
ゲートを出る。
フッと空気が変わる。
現実世界に戻された感じだった。
「あぁー! 楽しかったなぁ!」
日向は両手を組んで上に伸びをする。
「でも、現実に引き戻された気分になるな」
「まぁ、そう言わずに。明日もヘブンツリー見に行くんでしょ?」
「そうだ! 楽しみがまだあったんだ!」
渉はポンッと手を叩くと思い出したように言った。
「私もショッピング楽しみぃ!………………あっ! リエルの服は、一緒に選びましょうね?」
「俺だって選ぶの手伝うからな? コーディネートは任せとけ!」
「なぁにが任せとけ!よ。忘れてたくせに」
「そんなのお前だって忘れてただろうが!」
日向と渉は口論を始めた。
「2人とも…………元気だね……」
「そうじゃなぁ。良く言い合いができる元気があるのぉ」
後ろから観察していた2人はしみじみと語っていた。
見えてきたコンビニで夕飯を買う。
日向と渉はテーマパークのキャラクターの耳がついた帽子を被っているが、気にならないらしい。
リエルも2人におすすめされたが、丁重にお断りした。
リエルにも恥ずかしいと思う気持ちがあったようだ。
適当にご飯を買いホテルに向かう。
テーマパークでの楽しい一時は終わりを迎えた。
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