四十.都会へ移動
ガラガラガラ……
「「「「おはよー」」」」
待ち合わせ場所の駅で3人で待っていると、キャリーケースを転がしながら日向がやってきた。
「ごめーん! 服選んでたら遅くなった!」
下がショートパンツに上はタンクトップにシャツを着て可愛くも涼しそうな服装である。
「まだ、時間すぎてないから大丈夫だよ!」
「そう? 良かった!」
「それじゃあ、行くかのぉ」
ガラガラガラ……
それぞれ1個ずつキャリーケースをひいている。
この日のためにリエルは買ったのであった。
「僕、電車も乗った事ないけど大丈夫かな?」
「大丈夫だって! 俺達がいるんだから! とりあえず切符買おう」
券売機で切符を人数分購入した渉。
皆に配る。
「これをどうすればいいの?」
「それを、機械に入れるんだ。見てろよ?」
シュッと吸い込まれて再び切符が前で出てくる。
「やってみ?」
「う、うん!」
真似をして同じ動作をする。
無事に改札を通る。
「おぉ! 通れた!」
「さ、行くぞ!」
渉を先頭について行く。
「ベズリーランド方面はこのホームでいい」
「ふーん。ここに電車が来るの?」
「そう。ベズリーランド方面に行く電車がな」
「乗るのちょっと楽しみだな」
「ふふふっ。電車は揺れるから気を付けるのよ?」
電車に乗るのが楽しいと言ったリエルが可愛くて、日向に笑われるリエル。
「そ、そうなんだ。ちゃんと掴まらないとね」
プァーーーーーン
少し遠くから音を鳴らしながら走ってくる。
「これが電車かぁ」
少し前に出てしまうリエル。
慌てて渉が下がらせる。
「おい! 危ないから下がってろ!」
「ご、ごめん!」
珍しく怒られているリエル。
新鮮な姿に思わず笑みがこぼれる日向。
「ふふふっ。滅多に見られない姿で貴重ね」
「むー。日向は意地悪だなぁ」
「普段から私のことを笑ってる報いよ?」
「僕は馬鹿にしてる訳じゃないよ?」
「分かってるわよ。ほら? 乗りましょ?」
プシューッと扉が開く。
少し人が降りるが人が途切れた。
恐る恐る乗り込むリエル。
乗り込むと入口すぐのポールをガッシリ掴んでいる。
「リエル? そんなに力入れてると着くまでに疲れるわよ?」
「でも、揺れるんでしょ?」
「そんなに力が必要な程揺れないわよ」
「そっか。ありがとう」
少し力を弱める。
プァーーーーーン
走り始めた電車。
少しの揺れは感じるがそこまてではない。
リエルはというと。
外の景色を見ながら目をキラキラさせている。
「凄いねぇ。電車ってこんなに速いんだねぇ!」
まるで子供のようだ。
日向はそれが可愛らしくてユルユルの顔をしている。
「リエル、子供みたい」
「初めて乗ったもん。凄いね!」
「リエルは実際に乗るのは初めてじゃから仕方の無い反応じゃよ」
「確かにリエルのはしゃぐ姿はレアかもな」
四人で談笑していると。
プァーーーーーン
キキキィィィィィーーーーッ
突然の急ブレーキにリエルは体を持っていかれてしまう。
「おわっ!」
不慣れなリエルは完全に重心が日向の方に傾いてしまう。
踏ん張ろうとするが効かない。
「きゃっ!」
日向に身体がぶつかってしまう。
受け止める形になった日向が踏ん張ったおかげで倒れずにすんだ。
日向の柔らかい部分が腕に触れている。
リエルは今まで気にしたことが無かったが、女の子特有の体に触れ、初めて女として日向を意識した。
「ご、ごめん。日向!」
慌てて離れるリエル。
「う、うん。大丈夫!」
リエルがとてつもなく近く感じられた日向は、自分のことに触れて意識されるなんて事を考えることも無く。
自分がリエルに触れたことで脳内がお花畑状態になっていた。
そこから到着するまでは意識しすぎてあまり会話にならず。
静かに目的地まで行くのであった。
「おっ! 次で降りるぞ?」
その声でハッとする。
もう着いた。
リエルは日向と触れたことで意識が正常ではなかった。
「リエル、降りるわよ?」
「う、うん」
ぎこちない返事に首を傾げながら電車を降りる。
再び渉を先頭に歩く。
「あんた、なんでそんなにスイスイ行けるのよ?」
日向が渉に突っかかる。
「別にいいだろ? 慣れてるだけだって」
話を流して歩く。
「また改札あるから、俺と同じ用に通れよ?」
「うん! わかった!」
無事に改札を通ると、外へ向かって歩く。
「ねぇ、今日ってなんかある日なの? こんなに人がいるなんて……」
「はははっ。まぁ、最初はそう思うわな」
「えっ? 違うの?」
「リエル。この辺ではこの人だかりが日常なのよ? 常にこんな感じなの」
「そうなんだ」
今までこんなに人がいるのを見たことがなかったリエル。
こんなに人がいることに驚きを隠せないでいた。
「はぐれないようについてこいよ?」
「うん! 頑張る!」
人の波に乗るように歩いていく。
「お師匠、一旦ホテルで良いんですよね?」
「あぁ。そうじゃな。荷物を置いた方が良いじゃろ」
「分かりました」
ホテルの方向へ使うために、人波を横切る。
渉はスイスイ行く。
後に続きえんじい、日向と続くがリエルが押し流される。
「リエル!」
日向が咄嗟に手を掴んで引っ張る。
そのまま人波をなんとか横切り進む。
何とか外に出た。
「はぁぁ。やっと外に出たわね」
日向はリエルの手を握ったままだった事に気づく。
「あっ! ご、ごめん」
手をサッと離す。
「ううん。大丈夫だよ。ありがとね。日向」
「うん! 気をつけなさいよ? 油断すると知らないところに居たりするんだから!」
「はははっ! 経験したの?」
「そ、それはどうでもいいでしょ?」
顔を赤らめながらそっぽを向く。
「おーい。お前ら! イチャイチャしてねぇでサッサと行くぞ!」
「イチャイチャなんてしてない!」
顔を真っ赤にしながら抗議する日向。
笑いながら渉の元へ行くリエル。
「ホテルってどういうとこ?」
「そっか。知らないんだものね。行ってみれば分かるけど、今日泊まるところは、必要なものだけ用意した部屋って感じかなぁ。泊まるためだけの部屋だから」
「へぇ。ホテルもちょっと楽しみだなぁ」
「初めてだもんね! 綺麗な所だと思うわよ?」
話しながら歩いていたら着いたようだ。
「ここだ」
渉が立ち止まる。
リエルも立ちどまりホテルを見上げる。
「わぁぁぁ。凄い高いね。これ、何階建て?」
「数えてらんないわよ。行くわよ?」
ホテルに入っていく。
中も広い。
受付で渉が何やら話している。
カードが手渡され、部屋番号を案内される。
こちらを振り返ると手招きされる。
「これは、部屋の鍵だから無くすなよ? 出ていく時は鍵も預けていくぞ」
「う、うん。これが鍵?」
ピンポーンッ
「ほれ、乗った乗った!」
何か四角いものの中に入るようだ。
中に入ると扉が閉まる。
「えっ!? 閉じ込められた?」
「違うから大丈夫だ。上の階に運んでくれるんだよ。エレベーターっていう乗り物」
「そんなのがあるんだね……」
ピンポーンッ
「着いたぞ、降りろ」
みんなで降りると、カードキーに書いてある部屋番号を探す。
「今回はお師匠のご好意で一人一部屋だ」
「ホント!? やった! ありがと! えんじい!」
「感謝するんじゃぞ? 今回だけじゃ」
「うん!」
自分のカードキーと同じ番号の部屋を見つける。
「ここだ!」
「私は隣ね!」
「カードをドアノブの上に翳すとロックが解除されるからやってみ?」
「うん!」
ピピッという音の後にガチャッという音がした。
ドアノブを捻るとドアが開いた。
中に入るとすぐ横にトイレと浴槽の着いた部屋。
奥に行くと机とベッドといった感じの部屋。
普通のビジネスホテルである。
しかし、リエルはベッドが初めてだった。
恐る恐る座る。
フカフカのベッドである。
「凄い! ここに寝るんだ! 気持ちよさそう」
ゴローンとなりフカフカのベッドを堪能していると、コンコンッとドアがノックされる。
「リエル? 荷物置いたら行くわよ?」
「あっ、うん!」
「ベッドも初めてか! 気持ちいいでしょ?」
「うん! フカフカで良く寝れそう」
「そうね。でも、まずはベズリーランドに行きましょ!」
「うん!」
ここから、リエルにはまた未知の世界が待っていた。
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