三十九.旅行計画
玄さんの家族とのことがあったのが少し前。
今日は日向が何やらウキウキしている。
「ねぇねぇ! 今度の連休さ、皆で泊まりに行かない?」
「泊まりに?」
「そう!」
「どこに?」
「都会!」
「都会……?」
「それは、お師匠も行くんだろうな? 俺達だけでは行けねぇからなぁ」
「そ、それはそうよ!」
「いいね! どこに行きたいの? どっか行きたいとこがあるんでしょ?」
「う、うん。あのね、テーマパークなんだけど……」
「お前、もしかしてべズリーランドに行きたいのか!?」
「う、うん。そうだけど……」
「マジかよ。あんなに人が多いところ……リエル、大丈夫か?」
「あ、僕の心配してくれてるの? それなら大丈夫だよ。実は、妖が見えてたのを見えないようにオンオフができるようになったから」
「えっ!? そうなの? それなら、行けるかな?」
「えんじぃー! ちょっと来てちょうだい!」
「なんじゃ。騒がしい」
「あのね、日向とべズリーランドって言うとこに行こうって話をしてたんだけど……」
その話をするとえんじいの眉が釣り上がる。
「たしかに、日向は前から行きたいと言っておったのぉ」
えんじいのつり上がった目をみた日向は、少し後ずさる。
「えっ? やっぱり……ダメ?」
「…………まぁ、良しとするかのぉ」
「やったっ! ありがと! えんじい!」
えんじいに抱きつく日向。
「じゃが、ちゃんとワシのいいつけは守るんじゃぞ!?」
「わかってるよぉ」
日向は口を尖らせてえんじいから離れる。
「あそこまで行ってベズリーランドだと、泊まりじゃなぁ」
「えぇ!? 泊まっていいの!? 嬉しい!」
「お師匠、マジですか!? コイツと泊まんのかよ」
渉は額に手を当てて苦い顔をしている。
「何よぉ! 別にあんたと同じ部屋では寝ないわよ!」
「そりゃそうだろうが!」
「まぁ、まぁ。落ち着いてよ。その辺は自分の財布と相談じゃない?」
「うっ。何も言えねぇ……」
「そ、それは……そうね」
「フンッ。子供達が気にすることではないわ! しっかり楽しむ計画でもしておくんじゃな」
えんじいはそう言い放って奥の部屋に消えていった。
「ありがと! えんじい! ねぇねぇ、じゃあさ、どこに行く? 何でもあるよ!?」
「うぅーん。僕はそう言われても何があるかわかんないからなぁ」
「そりゃあ、そうだわな。俺は、ヘブンツリーに行きてぇなぁ」
「あぁ。天国に1番近いって話しよね!?」
「へぇ。えっ? どういう事? 死んじゃうってこと?」
「ちげぇよ! 天に1番近い程、高い建物ってことだって!」
「なんで、死んじゃうとこに行くって思ったのよ!?」
「いやぁ、なんか変だなぁとは思ったけど。そういう事ね。それなら僕も行ってみたいな!」
「よっしゃ! 決定な!」
ガッツポーズで勝ち誇る渉。
「私は、セレクトショップに行って服を買いたいわ!」
「ふぅーん。よくわかんないけど、いいんじゃない?」
リエルは笑顔で了承する。
しかし、渉はそうはいかなかった。
「なんで、お前の買い物に付き合わなきゃなんねぇんだよ!?」
「だったら、あんた達も買い物すればいいじゃない!」
「はぁ!? セレクトショップで買えるものなんてねぇんだよ! 高ぇんだから!」
「でも……僕ももう少し服が欲しいかも。1着だと連休の時に困るんだよね」
日向と渉は二人でバッと目を合わせる。
コクリッと頷くと。
「リエル、買い物行こう! お前にそんな思いをさせてたなんてすまん!」
「ごめんね! リエル。私、自分のことばっかりで……」
「いや、別にいいんだって! 二人が悪いとかじゃなくて!」
「いや、買おう! 俺も、少ないが金はある!」
「いいよ! 僕だってお金貰ってるからさ!」
「えっ!? あんた達お金もらってるの?」
「修行の身になってからはえんじいが給料出してくれてるんだ」
口をあんぐりあけて驚く日向。
「えっ? 知らなかったの?」
「知らなかったわよ! 働いてるのと一緒じゃない!」
「だぁかぁらぁ、そうだって言ってんじゃねぇかよ! うるせぇなぁ!」
「てっきり、今回のも全部えんじい持ちだと思ってたわ」
「それは、流石に申し訳ないよ」
「俺達は、自分の分は自分で出すつもりだぞ?」
「うん。そうだね」
「わ、私だってバイト代で払うわよ! 貯めてたんだから!」
「最近あんまり来ないと思ったらバイトしてたんだね?」
「そうよ? カフェよ? オシャレでしょ?」
「お前に接客ができんのか?」
「失礼ねぇ! ちゃんと笑顔で対応してるわよ!」
「へぇ。僕、日向の働いてるところ見たいなぁ」
「こ、今度……店教えるわよ」
「ホント!? 絶対いくね!」
「は、恥ずかしいから無理しなくていいわよ」
「俺も行って冷かそう」
「あんたねぇ!」
「まぁ、まぁ、渉。冷やかさないで、普通に一緒に行こう? 僕、カフェ行ったことないしさ」
「おう。場所は聞けば分かると思うから案内するぜ」
口を尖らせてむすくれている日向。
「日向、可愛い顔が台無しだよ? その顔?」
「か、可愛いなんて! やめてよ!」
顔を赤くして慌てる。
両手を頬に当て火照る頬を触っている。
火照っていることに気づき、手で顔を扇ぎ始めた。
「お前は忙しいヤツだな? 怒ったり、赤くなったり」
「むー。ほっといてよ!」
「今度いくね?」
「う、うん」
コクリと頷く。
「リエルはなんか、こういう所行きたい! 見たいなのねぇのか?」
「あっ! あのね、神様が祀られているところに行きたいかな?」
「あぁ、なんかあるとは思うぞ? 有名なお寺とかな」
「私も、一時お寺巡り行ってたからわかるわよ? 行きましょ?」
「うん! ありがとう! 日向!」
顔が近いのだ。
「うん。楽しみね?」
頬を赤く染めながら返事をする。
「うん! あっ、ねぇ、なんか外に泊まる時って必要なものとかあるの?」
「うーん。どこに泊まるかによるけど、ベズリーランドの近くならホテルだから色々付いてるから特に必要なのは無さそうよね?」
渉に同意を求める日向。
「あぁ。そうだな。でもよぉ、一人一部屋か?」
「えっ? 違うの?」
「いや、節約できるとこはしてもいいんじゃねぇ? お師匠と日向なら2人部屋でいいだろ? 俺は、リエルと2人部屋でいいし」
「えぇ。えんじいと同じ部屋は嫌よ!」
「ワガママだなぁ。リエルとならいいのか?」
「そりゃあ、その方が……って違う! っ! 違うっていうのは、嫌って訳じゃなくて……」
「僕は、日向と一緒でも大丈夫だよ?」
「っ!……そ、それは!」
ボンッ
日向の頭がオーバーヒートした。
一瞬で想像をしてしまったのだろう。
想像してしまった事で頭が恥ずかしすぎてパンクしてしまったようだ。
「あーあぁ。使い物にならなくなっちまった。今日は終わりだな。リエル、お前少し考えて言えよな?」
「えぇ? 何が? だって日向と同じ部屋でも楽しそうじゃん?」
「そういう事じゃ!……いや、まぁお前にとってはそうなんだよな。悪かった。今日は解散してそれぞれ準備ってことで!」
「うん! 楽しみだね! 日向!」
「う、うん///」
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