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三十二.お花見準備

「明日お花見行かない!?」


日向のその一言から明日の予定が決定した。


「お花見?」


「あっ! そっか! リエルは初めてだもんね! あのね、桜を見ながらご飯食べたりジュース飲んだりするの!」


「お花を見ながら? それ楽しそう!」


「急だなぁ! お師匠、明日空けて大丈夫ですかね!?」


「そうじゃのぉ。特に祈祷も入っておらんし大丈夫じゃろう」


「やった! 日向! 楽しみだね!」


「リエルとお花見楽しみね!」


2人で手を合わせて喜んでいる。

こうして見るとリエルも女の子の様である。

最早半分神なので性別も関係ない気がするが。


「お師匠、なんか明日持って行けるのありますかね?」


「なんか適当に見よう。この前買い出しに行ったからある程度はあると思うが……お主らも手伝うんじゃぞ!?」


喜んでいた2人に喝を飛ばす。


「わかってるよぉ」


「も、もちろん、そのつもりよ!」


「本格的には明日の朝お重に詰めるが、今日は下準備するぞい?」


「持っていくんだもんね! 楽しみだなぁ! 何食べられるんだろう」


「そうじゃなぁ……唐揚げ、太巻き、卵焼き、煮物……」


「私、稲荷寿司が食べたいわ!」


突如提案してきた日向。


「そうなると、買い出しに行かねばならん」


「私がリエルと行ってくるわよ!」


「そうか? それなら、ついでに他のも買ってきとくれ」



買い物組は私服で神社を出て歩いていた。


買い物組と言っても……


「何よ……結局3人じゃない……」


「仕方ねぇだろう!? 俺が来なきゃ頼まれた量持って帰れねぇだろ!? だから来たんじゃねぇかよ!」


「まぁ、まぁ。いいじゃない。3人の方が賑やかで楽しいよ?」


「まぁ、そうね」


「リエルに言われると素直だな?」


「うるっさいわねぇ! 何よ!?」


リエルがスッと割って入る。


「なんで喧嘩しちゃうの? 楽しく買い物行こう? ねっ?」


「うぅ。悪かったわよ。喧嘩しないわよ」


リエルに負けた日向。

なんだかんだで、リエルには弱いのだ。


商店街に着くと、スーパーに向かう。

必要なものを揃えるのには手っ取り早い。

手分けして探してカゴに入れる。


会計をするとリエルと渉で荷物を持つ。


「私も持てるわよ?」


「良いんだよ。日向は」


リエルにそう言われ。

そう。と言って歩く。


「そういえば、稲荷寿司のって買ったの?」


「あぁ、それはね! 美味しい所があるのよ! ここよ!」


「お豆腐屋さん?」


「そうよ! 油揚げが美味しいのよ! そして、稲荷寿司に使う味付けされた揚げがあるのよ!」


「なんか美味しそう!」


胸の前でガッツポーズをする。

目をキラキラさせるリエル。


「おじさーん! 稲荷寿司の揚げちょーだい!」


すると、奥からよっこらしょとやってきた。

何でか腰が重そうである。


「おじさん、腰重いんじゃない?」


リエルには見えていた。

おじさんの腰にしがみつく。

石のようなもの。


「そうなんだよ。この所腰が重くてしょうがないんだよ! 嫌だねぇ年とるとよぉ」


「ちょっと見せて貰えます?」


「おう。整体師か何かなのかい?」


「いえ。違うんですが良くなるかも……」


「本当かい!? それなら嬉しいぜぃ」


腰を診てもらうおじさん。

リエルが集中して体内の力を操る。

放出する様に。


「ハニヤの力を借りるね。大地よ、この石を沈めて滅せよ」


リエルには地面から手が出てきたように見え。

石を包み込んでいく。

ズズッと、徐々に地面に引きづる。


抵抗するように石は腰にしがみつく。

それを見たリエルは。


「大地よ、腰の前から呑み込んで」


大地の手が腰の前に伸び。

石を包み込む。


少しづつ掴まってる部分が開いてくる。

突如、ドプンッという音と共に石が消えた。


「ふぅー。おじさん、どうですか?」


「んー? どうって…………おぉ? 軽いぞ! ははははははっ! 軽い! 何度でもスクワットが出来そうだ! ははははっ! 医者に行っても原因が不明だったんだぞ!? 凄いな君は!」


「良かった! 元気に働けますね!」


「そうだな! よしっ! オマケしちゃおう! 稲荷寿司の揚げは持ってけドロボウ!」


「えぇ!? 僕はドロボウじゃ……」


駆け寄る日向。


「違うのよリエル! そういう風な冗談なの。タダでくれるって事よ」


「そんな! 良いんですか!? 買いに来たのに……」


「いいんだよ! ここ数年腰には悩まされていたんだよ。変なとこが出たら君に見てもらおうかな!」


「はい! アドバイスできるかもしれません! 僕は神社でお世話になっているので、そこに相談にいらっしゃってください!」


「おぉ。日向ちゃんのおじいさんの所だね? 君の名前は?」


「あっ! 僕はリエルと言います」


「外国の子かな?」


「はい! そんな所ですね」


「はははっ! 不思議な子だ! もしかして、日向ちゃんのこれか?」


おじさんは親指を立てて日向に聞いている。


「ち、違うわよ! そういうのじゃないの!」


「なんでぇ。違ぇのか」


「いいから揚げをちょうだいよ!」


「おぉ! そうだった! はいよ、毎度あり!」


稲荷寿司に使う揚げを貰うと。

神社に、向かって戻る。


「日向、さっきのおじさんの何? どういうこと?」


「リエルは知らなくていいの!」


「えぇ!? なんで!? 渉も分かるの?」


「分かるけど、言っても分かんねぇと思うぞ?」


「むー! 2人とも意地悪だなぁ!」


プンプン怒って先を歩いていく。

道は分かっているので大丈夫だと思うが。

あんまり離れると心配になる。


「なぁ、彼氏とか彼女とか、一応教えておいた方がいいんじゃねぇか?」


「わ、私が教えるの?」


「だって、勉強一緒にしてたんだろ? お前が教えた方が良いじゃねぇか」


「そうだけど……恥ずかしい」


「はぁ!? バカバカしい」


「何よ! 私の気持ちなんて誰にも分かんないわよ!」


「いやいや、分かりやすすぎるでしょ! 気付いてないのはリエル本人だけだっての!」


「えぇ!? そ、そうなの!?」


「見てりゃわかるって。まぁ、本人が気付いてないからいいんじゃねぇの?」


「うぅ。恥ずかしい」


顔を手で覆い。

赤い顔を必死で隠している。


「まぁ、半分神になっちまって俺達が見えてないものが見えちまってる。人を助けたいって思いがありすぎて空回りすることがある気がするんだよな。それをフォローする役割とか、できんじゃねぇの?」


「そ、そうよね。何かフォローは必要よね?」


「あいつ抜けてるとこあるし、まだいまいち世の中の常識が分かってねぇとこあると思うからよぉ」


「わかったわ! 勉強の延長よね!」


「そうそう。その意気だ」


遠くなってしまったリエル。

渉は追いつくために早歩きする。


「私、リエルのとこに行くね!」


タッタッタッと駆けて行ってしまった。

渉は荷物がある為に走れない。

置いていかれてしまった。


リエルはゆっくり歩いていた。

後ろから駆けてくる音がする。

振り返ると。


「日向か。渉は置いてきたの?」


「うん! 置いてきた! さっきはごめんね!」


「ううん。いいよ。僕には言いづらい事だったんだよね?」


「うーん。言いづらくはないんだけど、なんて言うか、おじさんは私とリエルが男女の中だと思ったってこと! わかるかな? うーん」


「あぁ! (つがい)だと思ったってこと?」


「間違ってはいない……そういう事だけど、なんでその言葉は知ってるの?」


「んー。動物の生態を勉強した時に見たから!」


「あぁ。なるほど……」


「まぁ、僕は神社継ぐつもりだから日向が番だったら都合がいいかもねぇ」


「えぇ!?」


ボンッと頭が真っ赤になり湯気が出ている。

完全にオーバーヒートしてしまったようだ。


こんな事で、明日の花見大丈夫か?

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