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三十.感謝の先

これまでリエルが助けてきた人。

その人達は助けた日から毎日のように感謝していた。

それは、神に祈る信仰心と同じように。

祈られる側にも力を与える。



ある家族は。

神棚に祈っていた。


「あの火事で子供が生きていたから今の私達があります。本当に有難う御座います」


「僕を助けてくれてありがとう」


親子で祈りを捧げていた。



ある家族は毎日神社に来て祈っていた。


頭を深々と本殿に2礼し。


パンパンッ


掌を合わせるように叩き。

合掌すると。


「神様。川に流された子供を助けて下さって有難う御座います。リエルさんに力を貸して下さらなければ、私達は子を失っていました。神様、そして、リエル様、感謝しております」


礼を口にして1礼する。

深々と礼をすると帰って行った。



ある家族は、仏壇に祈っていた。


遺影にはお爺さんとお婆さんの写真があった。


「あの時、両親含めた私達5人は土砂に埋められましたが、神に助けられました。高齢だった両親は衝撃に耐えられず埋まった時は既になくなって居たそうです……しかし、わたしと旦那と子供は助かりました…………改めてこの時を生きていることを感謝します………………神よ……有難う御座います」


正座をして深々と礼をする。

仏壇ではなく遠くの神に祈っているようだった。

リエルは、やはり間違っていなかった。

できる限りの全員を救っていたのだ。



ある青年は不可思議な現象で生き長らえた後。


良心にその事を話すと。

生きていてよかったと。

そこまで悩んでいることを知らなかった。

すまないことをした。

話を聞くから死なないでくれと。

皆で解決して生きていこうと。


そう、言ってくれたのであった。

その時、あぁ。死ななくてよかったな。

そう思ったのであった。


あの時、なぜ助かったのかはわからない。

何か神が気まぐれで助けてくれたのだろうか。

死んでいたら両親と分かり合えることは。

二度となかっただろう。


青年はその夜。

空を見上げ。

見知らぬ神に感謝した。


「なんで助かったかはわからない。けど、なんか助かった後に両親と分かり合えた。なんかこれからは生きていける気がする。偶然に感謝だな」


この青年は何故か助かった事に戸惑いながらも感謝していた。


この青年の命を。

そして人生を。

救ったのであった。



とある海で。


ゴミ捨て禁止と看板がたっている。

その海ではゴミが無くなっていた。

最初のうちはゴミが捨てられていたが。

リエル達が拾っているうちに。

ゴミは無くなっていった。


『最近、リエル達は忙しいそうだなぁ。我の海を綺麗にしてくれている。本当に感謝してもしきれぬな。もっと遊びに来てくれればいいがなぁ』


リエルは神にも感謝されていた。



また神社にて。


パンッパンッ


手を合わせているのは。

玄さんである。


「この前は神さんに助けてもらった。まぁ、神さんっていっても、リエルさんだがな。あの人は、人を助けるために産まれてきたんだと。そう思う。人柄が素晴らしい。やる事も神のようだ。感謝してもしきれねぇよ」



またまた神社にて。


パンッパンッ


「おじいちゃんを助けてくれてありがとう! 神様が助けてくれたんでしょ? おじいちゃんが言ってた! でも、あたしは、キレイなお兄ちゃんが助けてくれたんだと思ってるんだぁ!」


あの時の少女はそういう。

やはり見ていたから理解が出来ているんだろう。



最後は、リエルの身近で感謝している人。


本殿の掃除が終わり。

少しの時間ができた時。


本殿にて正座をし、深く礼をする。


「神様、俺にこういう修行をする機会を頂き! 本当に有難う御座います! 神様にも感謝していますが。やはり、リエルには一生かかっても返せない程の恩があります……俺は……」


床に頭をつけながら涙を流し始めた。


「…………わたしは……人としてやってはいけないことをしました…………罪を償う機会を貰い……今励んでいます。導いてくれたのは、リエル……そして、炎蔵さんです……………………この2人には……感謝だけでは言い表せられないほどの思いがあります………………これからはこの2人のため……人の為に消尽して生きていきます! 絶対、恩返しをします!」


ガバッと正面を向き。

涙を拭う。


「よしっ! 仕事だ!」


気持ちを切り替えて晩御飯の用意に向かう。

身近に居るだけに。

感謝の思いが多い渉であった。



多くの感謝が集まった。

その想いがリエルに届く。


その日、朝から体調がおかしかった。

何だか熱っぽいのだ。


「えんじい……なんか……体が熱い」


おでこを触ったえんじいは驚く。


「凄い熱じゃ! 病院に行かねば!」


慌てて病院に行こうとすると。


ザワザワザワ……


「ん?  神が騒がしいのじゃ。リエル? 何か言ってないか?」


リエルが耳を傾けると。


『リエル! リエル! 聞こえるか!? 貴方の体に変化が起きておるわ!』


この声はホノカである。


ホノカ? どうしたの?


『リエルへの信仰心が多く集まっておる。その結果、神格を持ちそうなのです!』


神になるってこと?


『一気になることはないですが。まずは、半神です』


えぇ!? ホントに?

神様なんて恐れ多いなぁ。


『そんなことは無い。それだけ信仰心をリエルが集めたということです』


そうなの?


『そのようです。だから、体を改変しようとしているようなんです。』


そっか。

教えてくれてありがとう。


「えんじい。ホノカが教えてくれたんだけど……」


「なんと言っておる!?」


「なんか、身体が改変されるみたいなんだ」


「なんじゃと!? どういう事じゃ!?」


「それがね……半分神様になるみたいなんだ」


「何!? 半神になるというのか!? そんな事が現実に起こりうるのかの!?」


「うん……だからすごく眠いんだ…………」


「肩を貸すのじゃ! 寝室へ行くぞい!」


えんじいに寄りかかりながらなんとか歩いていく。

布団に横になると。

寝息を立て始めた。



リエルは不思議な夢を見ていた。


地球の大気圏の外にいるような。

宇宙にはいない気がしている。

大地を見下ろす所にいる気がするのだ。


「リエルはどうなるんじゃ? おじい?」


「そうじゃのぉ。ワシらの力の一端がリエルの中に入ったのと、信仰心が合わさって半分が神になるようだのぉ」


「私の力はまだそんなに使っていないと思いますわよ?」


「力を使いこなすという事よりは、ワシらと繋がりを持ち、自身の神通力が強まったことが起因しているようじゃ」


「リエルは苦しんでおるのじゃ。いつまで苦しまねばならぬ?」


「それは、ワシもわからんのぉ。人間から神になる前例が無いんでのぉ」


「ハッハッハッ! 流石は我の友だな! 前例に無いことをやってのける! 素晴らしい!」


「心を通わせれば綺麗な心の持ち主だったわ。神になるには相応しいんじゃないかしら?」


「そうなのじゃ。リエルは私が1番最初に力を貸した子じゃ。 一番私が付き合いが長いのじゃ」


「我は助け、助けられておる! 一番濃密な付き合いをしておるとおもうがな!」


「なんじゃ!?」


「なんである!?」


「よすんじゃ! 神同士で喧嘩するでない。リエルの望むことではないじゃろう。リエルと繋がった事でこうして我々も交流出来ているんじゃから感謝せねばな」


そんな交流の場を夢に見たのであった。

リエルは1つ神に近づいたのであった。


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