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二十九.遭難

老人会を楽しく終えてから数日。

ある少女が駆け込んできた。


「神主さん! おじいちゃんのお友達でしょ? おじいちゃんを助けて!」


リエルが家の外で掃き掃除をしていた。

その時に袴を掴まれて言われた言葉だった。


「? おじいちゃんの名前聞いてもいいかな?」


「一郎だよ」


「あぁ! わかった! 今おじいちゃんのお友達を連れてくるから待っててね?」


少女を待たせて住宅にえんじいを呼びに行く。


「えんじい? 可愛いお客さんだよ?」


「なんじゃ? 誰じゃ?」


奥から出てくると外へ出る。


「んんっ? 見たことある顔じゃな?」


近づいていくと。


「おじいちゃんのお友達?」


少女が言う。


「えんじい、一郎さんのお孫さんじゃないかな?」


「そうじゃ! 見た事あると思ったわい! で? どうしたんじゃ?」


「あのね、おじいちゃんが昨日から山に行ったきり帰ってこないの」


「なんじゃと!?」


思わず大きい声を出してしまう。


「おっと、すまんな。そうじゃったのか。一大事じゃな」


静かな声に戻す。

冷静に自分に何ができるか考える。


「警察には言ったのかい?」


「うん。今日から捜索してくれるんだって」


「それなら……」


見つかるのを待つしかないか?

どうすればいいんじゃ。

一郎のことを探すにしても。

ワシが捜索に加わっても意味がないじゃろう。

手助けが出来れば……


チラッとリエルを見る。

リエルもこっちを見ていて目が合う。


「えんじい? 僕でいいなら、力になるよ?」


「リエルや……頼めるかのぉ?」


「うん。今は日が高いから太陽の神様なら発見出来るかもしれない」


家に移動してリビングに座る。

座ると目を閉じ神様に語りかける。


太陽の神様。

数日前に海を訪れた時は、力を頂きました。

有難う御座います。

私のおじいちゃんのお友達が山で遭難したかもしれません。

見つけるのにお力を貸してもらえませんか。


『ホッホッホッ。この前そなたを見た時も思ったが、透き通った心が美しいのぉ。自分にも孫がいたらこういう孫が良いと思って見ておった。』


それは、私も嬉しいです。


『ワシの目を貸してやろう。そうすれば見つかるんでないかな? ワシの名は天照アマテラスじゃ』


有難う御座います。

お力を借ります。


「えんじい。お力を借りれそうだよ。探してみるね」


「うむ。頼むのじゃ」


「アマテラスの目をお貸しください!」


目を閉じて手を合わせて願う。

すると、日のある方向の空から地上が見える。

近付こうとすると拡大される。

遠のこうとすると縮小される。


捜索しているヘリが見える。

山の参道から見ていく。

なぞって上を見てみると。


一か所、落ちたら危ないなと思うところがあった。

そこを拡大して周辺を探す。


いない。


もう少し上を見よう。

目線を動かした瞬間。

何かが動いた。


動物か?

拡大してみる。

人だ!

一郎さんだ!

見つけた!


目を瞑ったままえんじいに呼びかける。


「えんじい、救助隊の人に繋げれる?」


「少し待っとれ!」


電話しだした。

えっ!?

番号知ってるの!?


「小林さんかい? 炎蔵じゃ。今リエルが遭難者の捜索をしているんじゃがのぉ。見つけたようなんじゃ…………わかった。今からリエルの言ったことをそのまま言うからの? リエル、どこに居たんじゃ?」


目を瞑ったまま指示を出す。


「もう少し上に向かって」


「もう少し上じゃ」


ヘリが上に向かってくる。


「ストップ!」


「ストップじゃ!」


「左に進んで」


「左じゃ!」


左に向かってくるヘリを見て。

タイミングを見図る。


「そこ!」


「そこじゃ!………………頼んだぞい」


ピッと電話を切ると。


「リエル、見つかった! 助かったんじゃ!」


アマテラス様。

見つけることが出来ました。

無事に救助出来そうです。

有難う御座いました。


目を開ける。


「ふぅ。えんじい。見つかってよかったね!」


「あぁ。ホントにリエルは。神のようじゃよ!」


「そんな事ないよぉ」


リエルは少女の元へ行くと頭を撫で。


「家に帰って確認してご覧? おじいちゃんは助かったよ?」


「本当に?」


「うん。お父さんかお母さんに聞いてご覧?」


「うん! わかった! ありがとう!」


手を振って駆けて行く。

少女を見送り、掃き掃除を再び始めていた。

暫くすると電話が鳴った。

音が切れたのでえんじいが取ったのだろう。


家からえんじいがやってきた。


「小林さんから電話があってのぉ。一郎さんは命に別状はなかったそうだ。少し脱水症状の状態じゃから病院には念の為搬送されたそうじゃ」


「そっか。無事に助かってよかった」


「小林さんが言っておった。神の所業、感服しました。とな」


「神じゃないんだけどな……」


「まぁ、似たような物じゃないかのぉ。普通の人は太陽側の視点から捜索なんぞ、できんのじゃからな」


「うーん。それはそうだけど、なんか恐れ多いっていうかなんていうか」


「まぁ、良かろう」


これでえんじいの友達の遭難事件は無事に解決したのであった。



数日後。


「ごめんくださいや!」


「はぁーい!」


家にやってきたのは一郎さんであった。


「一郎さんじゃないですか!? この前は大変でしたね! もう大丈夫なんですか?」


「あぁ! もう大丈夫じゃ!」


「ちょっと待っててくださいね!」


振り返ると奥に行く。


「えんじぃーー! いちろーさんだよー!」


すると、奥からやってきたえんじい。


「おぉ。無事に戻ってきたか?」


「何とかな。なんぞ孫が世話になったようじゃのぉ? すまなかった」


「なぁに。助けて欲しいと言われて困ったがのぉ」


「孫の話を聞くと信じられんことを言っておったんじゃが?」


「なんと言っておったんじゃ?」


「キレイな神様がおじいちゃんを見つけてくれたの。ってな、そういうんじゃよ。どういう事なのかさっぱり分からんもんでな」


「はっはっはっ! まぁ、その子の言う事はあながち間違っちゃいないわい! 信用してやるんじゃよ?」


「そうじゃのぉ。助かったのは事実じゃが……」


「まぁ、孫に心配されて幸せだのぉ」


「そうじゃな。幸せもんだ」


立ち話をしていたえんじいと一郎さん。


「リビングで少しゆっくりして行ってはどうです?」


リエルが呼びかける。


「良いのかのぉ? では、お言葉に甘えて」


リビングへ向かう。

リエルがお茶を出す。


「それでのぉ、助けてくれた救急隊の人にも言われたんじゃよ」


「何をです?」


「この土地には助けてくれる神様がいるらしいですよって言われたんだよ」


「そうなんですねぇ」


「神社なんだし、炎蔵は何か知ってるかと思ったんだがなぁ」


「ワシャ、知らん訳では無いが。それは神の御業よ。一郎よ、知らなくていい事もあるんじゃよ?」


「なんじゃ。もったいぶってぇ。ケチ臭いのぉ」


「そんなに知りたいのかぁ? 一郎よ?」


「知ってるなら教えてくれても良いじゃろう?」


「ふむ。良いかな? リエルよ?」


「いいんじゃない? 女の子のいる所でやっちゃったしさ」


「リエルさんが関係しているのか?」


キョトンとしている一郎さん。


「見ててくださいね?」


外に向かって手を向ける。


「シナツの名において願う! つむじ風をおこして!」


すると、ビューーーーと風が渦をまく。

一郎さんは唖然としていた。

口を開けてポカーンッと。


「何が起きたんじゃ?」


「リエルはのぉ。自然の神様に力を借りることが出来るんじゃ。他の人には話すんでないぞ? じゃから言ったんじゃ」


コクコクッと頷いた。


「いやー。たまげた。言っても信じんじゃろうが言わない方がいいな」


「頼むぞ」


「大丈夫じゃ。命を救ってもらった恩がある。あれから毎日感謝してるんじゃ……では、帰るわ。またのぉ」


真相が分かると帰って行った。

毎日感謝されているリエルに変化が訪れようとしていた。



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