二十八.老人会
「急なんじゃがな、今日はここで老人会をする事になった」
数日前に行方不明の玄さんの孫を救出してからは、静かな日々にもどっていた。
えんじいの発言で急に忙しくなった。
「えんじい。なんで今日言ったの!?」
「いやいや、すまんのぉ。すっかり忘れておったのじゃ」
「ちょっと、お茶菓子買ってくる!」
ドタドタと出ていくリエル。
「俺は、掃除しておくからよ! 頼んだぞ!」
「はぁい!」
「ホッホッホッ。すまんのぉ。実はバーベキューもするんじゃか……」
「お師匠! 先に言ってくださいよ! 買い物行っちゃったじゃないですか!」
「そうじゃのぉ。どうしたものか……」
「俺も買い出しに行くんで、掃除しててください!」
掃除を任せて出ていく渉。
走って商店街に向かう。
向かっている最中にリエルを見つけた。
あんこ屋さんでどら焼きを買っていた。
「リエル! ちょっと手伝え! バーベキューもするんだとよ!」
「えぇー!? なんで、今言うの!?」
「知らねぇよ! あの人ボケてきたんじゃねぇか!?」
「じゃあ……野菜と肉?」
「茶菓子は!?」
「んーと、どら焼き買ったから、あと饅頭かな?」
「もういいからそのあんこ屋さんで買えよ!」
「そうだね! すみませーん! これも下さい!」
慌てた様子で八百屋へ行く。
「いらっしゃーい!」
「ども! えぇと、ピーマンとキャベツと……えーと……椎茸あります?あとは……トウモロコシかなぁ。そんなもんか?」
「あと、玉ねぎとナスください!」
横にはリエルが来ていた。
「そっちは終わったのか?」
「終わった! おじさん! 今何時?」
「あいよぉ。今は10時半だよ!」
「おじさん、ありがと! 渉! ヤバいよ! 戻ったらすぐお菓子出さないと間にあわない!」
「急いで戻るぞ!」
「あっ! 肉忘れてた!」
お肉屋さんによって急いでカルビはハラミ、ホルモン等を買う。
走って戻る2人。
階段を上っている老人がいる。
「こんにちは!」
挨拶しながら階段を上っていく。
本殿に既に人が集まっていた。
玄関から入り、お盆にお茶菓子を準備する。
本殿に入り、囲んで座っているテーブルにお茶菓子を出す。
「遅くなりました。どうぞ、ごゆっくり」
「おう。リエルさんどうもね」
「あっ! 玄さん、ごゆっくり!」
挨拶を交わすと下がる。
下がると今度はバーベキューの準備を行う。
外に出てバーベキューセットを出す。
炭に着火剤を置いてライターで火をつける。
ボォっと火が上がり炭に移っていくまで。
ひたすらパタパタと団扇で扇ぐ。
渉も参加し、2人で扇ぐ。
「えんじい何してた?」
「米炊いて、老人会に参加してんじゃね?」
「そうだ! 米忘れてた!」
「炊いてあるから大丈夫だろ」
段々と炭に火がついて来た。
「えんじいー! バーベキュー準備できたよぉー!」
「おーう!」
えんじいは返事をすると老人たちを引き連れて外にやってきた。
「渉とリエルは初めての者もいるじゃろうから紹介するわい」
「渉です!」
「リエルでーす!」
「2人ともここで修行をしておる。リエルは孫みたいなもんじゃ」
老人たちはウンウンと頷くと自己紹介を始めた。
「俺は、この前会ってるからわかるだろう? 玄だ」
以前お孫さんを助けたガッシリとした威厳のある玄さん。
「年末の時には会っとるよ。正男だよ」
年末の手伝いをいつもしてくれていた小柄で優しい雰囲気の正男さん。
「ワシも昔からの友達での。一郎だ」
この年代にしては身長が高い。リエルと同じくらい背が高い一郎さん。
「アタシは、腐れ縁ってやつだね。 トミだよ」
今も綺麗だが、若い頃は今以上にモテたのではないかと思わせる雰囲気のトミさん。
「私は、近所でよくしてもらっています。 良子よ」
柔らかい少し丸い雰囲気の良子さん。
「皆さん、よろしくお願いします。さっそく、焼いて行きましょう!」
「焼いてくれるのかい? 若い子にやらせてごめんなさいね」
良子さんがさっそく謝ってきた。
「いいんですよ。やらせて下さい」
「そうじゃ、そうじゃ、働かせるんじゃ!」
えんじいが調子に乗ってそんなことを言っていると。
「お師匠、肉渡しませんよ?」
「ワ、ワシも少し食べたいから手伝うのじゃ」
野菜から焼いて少し肉ものせる。
ジュージューといい音を奏でている。
いい匂いがしてきた。
「渉。ご飯用意してくれる?」
「おう!」
「えんじい、味付けどうする?」
「とりあえず、塩コショウにしてくれるかのぉ」
「わかった!」
野菜と肉の両面に塩コショウをかけていく。
いい感じに焦げ目がついた。
紙皿に取っていく。
野菜と肉を均等になるように配る。
「どうぞ」
「あぁ。ありがとうね」
取に来てくれたのは、トミさんであった。
やはり気が利きそうだとは思っていた。
リエルから受け取り、みんなに皿を配っていく。
「それより、あなた、随分キレイな顔ね? 海外の方?」
「えぇーっと。そんな感じですね。えんじいに拾って貰って色々良くしてもらってます」
「炎蔵、なんでこんなに可愛い男の子がいるのを黙ってたのよ?」
「おまえさん、年甲斐もなくリエルに絡みに来るじゃろう? じゃから言わなかったんじゃ!」
「何よ! アタシが見境ないみたいな言い方して!」
「その通りじゃろうが! リエルにくっつくでない!」
すり寄ってくるトミさん。
一緒に離れるように少しずつ移動する。
「ほっほっほっ。また始まった。恒例の炎蔵とトミの痴話喧嘩じゃ」
「仲が良いの?」
「元夫婦じゃよ」
一郎さんが爆弾発言をする。
「「えぇ!?」」
「お師匠の元奥さんがこんな身近にいたなんて……」
「えっ! ってことは、日向の……」
「日向を知ってるの? 日向はアタシの孫よ? リエルもアタシの孫になる?」
「リエルは、もうワシの孫じゃ! おまえさんの孫になんかならん!」
この調子でずっと喧嘩をしている。
仲が良いんだか悪いんだか。
「昔からの中じゃが、昔からこんな調子だったよ。しかし、結婚した当初は仲が良くてのぉ。おしどり夫婦と言われたもんじゃったが。トミがこの調子だからのぉ」
「この調子って?」
「さっきリエルさんにすり寄って行ったじゃろう? あぁやっていい男を見るとお近づきになろうとするんじゃよ。それが炎蔵は気に入らなくてな」
「あぁ。それは……ちょっと嫌かも」
「じゃろう? まぁ、それに惚れた時期もあったからのぉ。一概に嫌いとはいえんだろうが」
「ふぅーん。複雑ですね。はい。お肉どうぞ」
「おぉ。すまんのぉ」
リエルと渉で取り分けてあげる。
老人達は思い思いに話して楽しんでいる。
えんじいは珍しく酒を飲み始め。
他の人達も飲み始める。
「炎蔵は神社の仕事をこの2人に継がせるのか?」
「あぁ。リエルが継いでくれる気でいるらしいでのぉ。リエルなら任せられるから安心じゃわい」
「こんな跡継ぎで羨ましいわい。家のやつときたら、金の事ばかり考えてるからいかん」
そう言うのは医者の玄さんであった。
「ワシは好きなことしてるから跡継ぎとか考えなくていいから楽じゃ」
「一郎は山登ってるんだろ?」
「そうじゃ。楽しいぞぉ。景色もいいしな。感動するぞい」
「山は分からんわい」
そんな話をしながら夜が深けていった。
この日の老人会はいつもより遅くなったのであった。
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