二十五.環境を考える
「これでいいかな?」
「良いんじゃねぇか?」
「いいじゃない!」
家にあった板と木の棒の先をけずって看板を作っていた。
文字は油性ペンで書いている。
3人は1度家に戻ることにして。
ゴミを捨てないように看板を作ることにしたのであった。
「何してるんじゃ?」
「あーこれね……」
海に行った時の事を説明すると。
「なんという事じゃ! そんな災害がおきそうになっておるなんて! リエルよ! よくぞ止めた! 多くの人を救ったんじゃ!」
「うん。3人でお願いして、なんとかひいてもらったんだ」
「そうじゃったか。日向、渉、よくやったのぉ」
「うん!」
「はい!」
事情を聞いてもらったところで、えんじいに相談する。
「砂浜のゴミを集めたんだけど、袋とか無かったからまとめて置いてきたんだ。回収に行きたいんだけど……」
「それなら、車で行くかのぉ」
「お師匠、車持ってたんですか?」
「裏にあるぞい?」
渉は愕然とする。
「昨日、何で歩いたの? 車で行けたじゃん!」
日向に抗議する渉。
「持ってるのは知ってたけど、皆で歩いていくの楽しかったじゃん!」
「そうだよ! 楽しかったから良かったじゃん!」
「コイツら……」
頭を抱える渉。
この2人は渉が間違っていると言わんばかりのテンションである。
「夕方なら時間があるからのぉ。乗せてってやるわい」
「ありがと!」
「じゃあ、それまでは看板作ってましょ?」
「だな!」
えんじいに時間ができるまで。
3人は看板を作った。
板の部分には『ゴミ捨て禁止!!』と書いていた。
厳しく書いた方がいいという考えによるものであった。
『防犯カメラ動作中』とかがいいという意見も出たが、ウソはダメだという話になり却下された。
「売り子も帰ったし、行くかのぉ」
「よしっ! 行こう!」
勢いよく裏手に回ると。
白いワンボックスカーがあった。
「大きい車だねぇ」
「何かと便利でのぉ。後ろに乗るといい」
「はぁい!」
後ろに看板を積み。
リエルが先に乗り。
日向、渉と続く。
車は走り始めた。
ものの20分で海に着いた。
「めっちゃ早いじゃねぇか」
「そりゃそうよ。車だもの」
あっけらかんと言う日向。
着いたらゴミ袋と看板を持って降りる。
「ゴミから先に拾っちゃおう!」
リエルが先頭に立ってゴミを袋に入れていく。
「リエル! 分別しないとダメよ?」
「分別?」
「缶、ビン、ペットボトル、燃えるゴミ、燃えないゴミ。それぞれ違う袋にまとめないとダメなのよ?」
「へぇ。知らなかった。教えてくれてありがと!」
分別しながらゴミを回収する。
どの袋もパンパンになっている。
燃えないゴミなんて3袋にもなっている。
車の後ろはパンパンだ。
「看板立てよう」
砂浜への降り口に看板を立てる。
「うん! いいんじゃないかしら?」
「良いんじゃねぇか? 見えるだろ」
「それでは、帰ろうかのぉ」
そういうとえんじいを先頭に3人続く。
『我が友リエルよ。感謝するぞ』
海の神のタツミの声が聞こえた。
「これからも、守れるように考えるね」
『頼んだぞ』
「うん。任せて」
車に乗り込む4人。
「こんなにゴミがあるとはなぁ」
「だよねぇ」
「ホントよねぇ」
渉の言葉に賛同する。
「あの看板で綺麗になるかな?」
リエルが聞くと。
「やっておいてなんだが、あの程度じゃあゴミは無くならねぇだろうな」
「えっ!? なんで?」
リエルが驚く。
頭の上にはハテナが沢山浮かんでいる。
「だってよぉ、ゴミを砂浜に捨てちゃいけないなんて知ってるに決まってるだろ? それなのに捨てるやつが居るって言うことは、分かっててやってんだよ」
「えぇー!? そうなの?」
「まぁ、間違いないでしょうね」
日向も頷いて賛同する。
逆に困惑しているリエル。
「でも、看板いいって言ってたじゃん!?」
「うん。明確に書くのはいいと思うぞ? ただ、少ししたらまた捨てられてるんじゃねぇかなぁ?」
「そんなもんなの?」
「そうねぇ。人間って慣れる生き物だからきっと罪悪感が無くなっちゃうんでしょうねぇ」
苦々しい顔をするリエル。
「じゃあ……どうしたら……」
「それこそ、監視カメラ付けるとか?」
「そうね。監視してますよっていうのが分かれば減るでしょうけどね」
「それは、難しいよねぇ」
「勝手につける訳にはいかねぇだろうしな。許可が必要だろ?」
「えっ!? 誰に?」
「んーとあの地区の人達かな?」
「許可が必要なの?」
「んーとね、一応管理してる人達がいるのよ」
「そうなんだ。それなら、その人達にお願いした方が良いかもね」
「だなぁ。今も、なんもしてねぇ訳ではねぇとは思うぜ?」
「そうよねぇ。でも、捨てていく人がいるんだから、どうしようも無いわよねぇ」
そんな話をしていたら。
家に着いた。
「ゴミを下ろすぞい?」
「はぁい」
ゴミを次々下ろしていく。
後で、ゴミの日に出すようだ。
「日向は夕ご飯食べていくかの?」
「もちろん! 食べるよぉ!」
「鍋にでもするかのぉ」
家に入っていく。
追うように3人も後に続く。
外に出て作業をしていただけに。
身体が冷えきっていた。
えんじいの鍋で温まろう。
土鍋に具材を入れ携帯コンロで温める。
テーブルに起きグツグツと煮る。
「わぁ! なんかいつもと、違くていいねぇ? これ、なんで日が出てるの?」
「それはのぉ、横に入れている瓦斯が元になっているんじゃ」
「ガス?」
「燃えやすい空気みたいなもんじゃの」
「へぇ。凄いね」
グツグツと煮立っているのを見ていると。
なんだか心が落ち着いてくる気がする。
「なんか、鍋っていいね。気持ちが落ち着く気がするよ」
「そうねぇ。なかなかこういうの無いし」
「俺は、全くねぇな。こういうのはワクワクするぜ。早く食べてぇ!」
渉が珍しくテンションが上がっている。
日向も楽しそうに待っていた。
「ホッホッホッ。もうちょっとじゃ」
この日の鍋は寄せ鍋であった。
鶏肉と豆腐、野菜などふんだんに入っている。
「そろそろ良いじゃろう」
「いただきまーす!」
野菜、肉、豆腐。
満遍なくとる。
「はふはふはふ……」
「ちょっとぉ? 火傷するわよ?」
「おいひぃ! はふはふ。あぁ。美味しい」
「ふふふっ。慌てちゃって……美味しい!」
「お前は慌てて食いすぎなんだよ……うん。うまい」
3人とも頷きながら食べている。
えんじいもそれを見て満足気である。
「美味いようで良かったわい」
「うん! 海の事どうしようね?」
リエルが話し合いをしようと話題を出す。
すると。
「ワシが、話をしておこう。あそこの海の管理者とはちと知り合いでのぉ」
「えんじい!? ホント!?」
「嘘ついてどうするんじゃ。ワシが話をつけておくわい。安心せい」
「えんじいすごいね! ありがとう!」
「えんじい、そんな知り合いいたのぉ? 役に立つわね?」
「お師匠、すごい人脈ですね!」
みんな称賛しているが。
日向の言い方が酷い。
「実の孫が辛辣で辛いのじゃ」
「えんじい、日向も感謝してるよ?」
皆でえんじいに感謝する。
えんじいの人脈は、流石であった。
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