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スクラップ


 類は二人に向かってR-35-132こと機械の星について語り出す前に、未緒達が銀河鉄道で地球から出る前に何があったのか語り出した。

「地球では宇宙から来た病原体によってパンデミックが発生し、数多くの方が亡くなり、人口が大きく減少しました。そして、人類はそれから逃れる為に宇宙の他の惑星に旅立ったのです。」

未緒は記憶を失っていたが、銀河鉄道が出発する前の地球は悲惨なものだった。宇宙から来た謎の生命体によって身体を侵され、即死するものも居た。それだけでなく、動植物や無機物も侵食されてしまい、地球上で人類が居住出来る範囲が狭まってしまった。



 類は地球の説明を手短に終えると、機械の星の事について語り始めた。

「この機械の星は、そういった人類が文明を作り出した星の一つです。人々は少しでもこの星の暮らしを快適なものにする為に、働く機械を造り、人間も休みなく働いています。」

類が端末の画像に触れると、機械と共に働く防護服姿の人間の動画が現れた。

「この星の人々は少しでも文明が豊かになるように効率を重視しました。個性や個体差は捨てて、衣食住は全て大量生産しやすいような形になっているようです。風呂も銀河鉄道の客用があるだけで、ここの人間は洗車するようにベルトコンベアーに載せられて洗われるようです。」

「人間も機械も全て効率化されてるのね。」

「はい、そして人であれ機械であれ、仕事が出来なくなって役に立たないものは即スクラップにされるそうです。」

「スクラップ?それって粉々にされて廃棄されるって事?」

「そのようですね…」

人間がスクラップにされると聞いて未緒はぞっとした。人間も機械も星の文明にとって役に立つかそうでないかというだけで判断されるようだ。



 それに、同じ人間だと言うのに、死んだ人間を弔う事をしないのだろうか。スクラップにされた人間はまとめて埋められるそうだ。この機械の星では、人間も機械も扱いが変わらないようだった。

「この星では効率を重視する余り無駄だと判断されたものを排除しました。この星には生活には不可欠ではない娯楽や芸術等、あらゆるものが存在しないのです。」

確かにそうだ。この星の景色をずっと見ているが、楽しそうな音楽も、色とりどりの絵や看板もここには存在しない。銀河鉄道の客を受け入れてはいるが、もてなすような事もやっていないようだった。

「しかし不思議なものですね。文明が進むと機械は人間らしくなり、人間は機械らしくなる。」

類は端末を閉じて立ち上がった。

「未緒さん、萌香さん、行きましょう。この星の事を僕達が口出しする事は出来ません。」

三人が銀河鉄道に乗り込もうとした時、未緒はぽつりとこう呟いた。

「この星の住民は幸せなのかな…?」

「幸せかどうかすらこの星の住民は必要ないと判断したようですね」

類はこの星の事はなんてことないと思いながら銀河鉄道に戻っていった。



 そして、トランクに詰め込んだ荷物を開けた。中には、機械の星で買った食料品や日用品が入っている。類はその中から錠剤が入ったボトルを取り出した。

「錠剤?これなんなの?」

「機械の星の人間達が食べているものです。必要な栄養が摂れるようになっているので、旅に役立つかと思いました。」

その錠剤は薬のように飲むと、お腹の中で膨らんで満腹になるようだった。だが、以前未緒達が食べていた味のないパン以上に味がない。


 未緒は、せっかく旅で豊かな星に来たから、美味しいものが食べたいと思った。だが、次の星に行くまで、それはお預けらしい。錠剤を飲み終わった未緒は、車掌から貰ったキャンディを舐めた。それは甘くて、今まで宇宙で食べたどの食べ物よりも美味しいと思った。

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