第一話 短大生が部屋で嘆く。
のんびりと連載していく予定です。よろしくお願いします。
「また、不合格通知かぁ……」
1年半前に引っ越してきたこの部屋も、もうすっかり見慣れてしまった。
私は、大学受験に失敗し、なんとか滑り込んだ地方の短大に通っている。
2年で卒業して就職でもよかったんだけど、まだ遊んでいたい気持ちが強く、四年制大学編入を目指している。
短大で友達は出来たものの、高校までとは違い、上辺だけの関係になってしまった。正直疲れる。
地元の友達は、ほとんど東京の大学に進学してしまい、それ以来会っていない。
東京の大学に進んだ友達のSNSは、キラキラしてて煌びやか。夜景を見にドライブデートしてたり、朝まで居酒屋でオール、素敵なカフェでアフタヌーンティー。おまけにみんな顔が良いから、イケメンな恋人までいる。
ーー私もそんな生活したかったなぁ……
私の人生って、後悔ばかりな気がする。まだ、たったの20年しか生きてないけれど。
あの時もっと勉強してればよかった、とか、あの大学を受けてれば、とか、あの顔に生まれてれば、とか。
とはいえ、ここまでかなーり甘やかして育ててくれた両親にはすごい感謝してるし、それなりの人生を送ってるような気もする。ないものねだりなんだよね。きっと。
でも、私だって、東京の大学に進んで、イケメンな恋人ゲットして、夜のドライブデートやらしたかったよーー!!!
そんな私の今の癒しは、異世界を舞台とした小説を読むことである。
綺麗な女の子に転生して婚約から逃れる話とか、異世界に飛ばされて聖女として世界を救うとか、主人公が異世界で活躍する話が大好きなのである。
「あ!この小説、漫画化されるの!しかも、この絵柄!可愛すぎる!!」
毎晩更新される連載小説を、読んでから寝るのが私の日課だ。
私が読む小説は、出てくる人物だいたいみんな美形で、ドレスやアクセサリーはみーんな豪華で素敵で、なんといっても、料理は全部美味しそう……
ーー異世界に転生したいなぁ……
異世界に行ったら不合格通知なんて見ないで済むし、上辺だけの関係に悩まされないで済むし、美形に囲まれて素敵な人生を送れる気がする!
なーんて、そんなの夢のまた夢だけどね。
「あ、そうだ。明日のお弁当作るのに卵買うの忘れてた。コンビニ行くかー。」
ラフなTシャツに、高校の時のジャージを履き玄関を出た。
そうだ。今日は奮発してお酒も買っちゃおうっと!
軽い足取りで階段に向かう。階段を降りようと一歩踏み出したその瞬間だった。
ーーーーーガクッ!!
ーーえ、嘘でしょ……私、踏み外した?…このまま落ちる?私の人生こんなところで終わるのー?!
まさかのアパートの階段から足を踏み外して、転生…