幸か不幸か…
『リディちゃん、もうおしゃべりできるかな??』
リディの目を優しく見つめ白衣の男性は問いかけた。
リディは『う・・・・ん・・。』とゆっくりと口から小さな小さな今にも消え入りそうな声で男性の問いに答える。
『よし!それじゃー僕とお話をしながら、ちょっと体に悪いところがないか調べさせてね!』男性はそう言うとリディを抱きイスへと座らせた。
リディを抱えたときに男性は見た目以上にリディの体の軽さに驚愕し、女性へすぐに体重計を持ってきてもらえるか?と伝えた。
女性が体重計を取りに部屋を出た後、男性はリディの方を向き質問をしながら体中の検診を始める。
リディは体を人形の様に自分の意思に反して動かされながら男性の質問に答えていく。
『リディちゃんは今何歳??』―『…5さい』
『兄弟はいるの?』―『おにいちゃんがいる』
『そっかぁ~お兄ちゃんは優しい?』―『わかんない』
『わかんないの?…遊んだりする?』―『遊ばない。。。』
『お母さんとお父さんとはどんな話をするの?』―『???お洗濯とか水汲みと、、か…?』
『好きな食べ物とかはある??』―『いつもパンとじゃがいも・・・・たまに出るお野菜のスープはおいしいよ』
男性は質問をしながらリディの栄養失調具合からもきちんとした食事は与えられていなかったのであろうと確信した。
また会話からも家族の間でぞんざいに扱われいたのだろうと推測した。
しばらくして女性が体重計を持って戻ってくる…『お待たせしました。』
『あーありがとう。そこに置いてくれるかい?』
女性が体重計を床に置くと男性はリディをイスから下ろし、
この台に乗って、とリディの手を引いた。
『10㌔か…やはりな軽いとは思ったが…これは…』体重計を見つめ
眉間に皺をよせながら
口周りを手で撫でる男性を見た女性もまた『これでは特別手当の意味がないですね…はぁ』とため息をついた。
『とりあえず、両親へは減額の説明をしてきてくれるかい?この子は待機部屋に僕が連れていくよ…』男性はリディを抱えながら女性に指示を出すと先に面談室を出た。
先ほど、話しをしたからかリディは男性に多少心を開き自分からも声をかけられるようになっていた。
『どこへいくの?』リディの問いに面談室ではにこやかであった男性は困ったような顔で『これからしばらくの間、過ごしてもらう部屋だよ…』とだけ答える。
男性はその後、無言のまま領事館の奥の方へと歩みを進め一番奥にある扉の前で立ち止まった。
そして扉の前でリディを下ろすと男性は白衣を脱ぎ、扉横へとそれを掛けてからゆっくりと扉を開けて中へとリディと連れ込んだ。
中に入ると30畳程の小さな天窓だけがある無機質な部屋にリディくらいの小さな子供が15、6人ほど集められていた。
子供たちは皆、無表情でチラッとリディと男性を見るだけですぐにまた俯いてしまった。
『リディ…迎えが来るまでここでみんなといなさい・・・』リディの耳元で囁くと男性はリディの背を押し、リディだけを部屋の中へと入れ扉を閉めた。
バタンッ―…『ふぅ…何度来ても異様な場所だな…こんなところに彼女を来させたくないものだ…』とつぶやくと気合を入れなおすように『さ。仕事に戻るか!』と男性はまた白衣を纏い部屋を後にした。
や~ん、リディこの後どうなるのよ…(´・ω・`)