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生まれたときから

早くも3歳になりました。


『お待たせいたしました。内容を確認しましたところ、今回お生まれになったお子様は大変珍しい髪色であることが伺えましたので、一度確認をさせていただけますでしょうか。その上で珍しい髪色であると判断した場合、こちらの生活保護特別手当を追加で支給させていただきます。』

女性はそう説明しながら用紙を差し出してきた。


夫婦はその用紙を確認すると急いで待合室で長男に抱かれているリディを連れてきた。


用紙に書かれていたのは至ってシンプルな文言である。

【生活保護特別手当:認められた家庭にのみ生活保護とは別に月5万Jジェダ支給する】


貧困家庭での月収入は多くて3万Jと言われているこの領地で5万Jとは夫婦からすれば何としてでもほしい金額である。

ちなみに生活保護の金額は月に1.5万Jである。


『『あ、あ、、あのこの子です!!!』』


夫婦は揃ってそう発しながらリディを差し出した。


『早速、ありがとうございます。』

領事館の女性は確かに記載どおり珍しい髪色のお子様ですね。とニコリとしながら、

リディを見るめるとまた奥へと行ってしまった。


『はぁ、5万もらえるかねぇ?』

『珍しいといってくれただろう…大丈夫もらえるだろう…それにしてもうちのばあさんと同じ髪色が珍しいとはなぁ~』


リディの父はそう言いながらリディを一撫でした。


そう、リディの髪色は父母にも似ず、兄弟にすら同様の髪色はいない。

一見、浮気でもしていたのかと思うが、父方の家系、

リディの曽祖母と同様の髪色であった父は何の違和感も持たなかったのである。


曽祖母は元々、西に数万里離れたリイン国出身であり、

リイン国ではよく見られる髪色であった。

ただ、ここアストリア公国とリイン国は数万里離れているため、リディの髪はとても珍しいものであった。

リディの父もまた曾祖母の出生に詳しくないため、この髪色がリイン国特有の色であることとは知らずただ遺伝なのだと思うだけであった。


しばらくすると女性が戻ってきて『生活保護特別手当の対象となりましたので、生活保護とは別に支給させていただきます』と今後の支給方法、5歳になるまでのリディの管理について1時間程、説明を続けた。


朝一に領事館についてから気づけば昼を過ぎており、食べ盛りの子供たちは口を揃えてお腹すいた~と叫んでいる。


リディの兄たちは、それぞれ10歳、8歳、7歳と一番活発な時期であったが、

これまでの生活下からあまり栄養価のとれた食事ができておらず皆、年齢よりも2歳ほど成長が遅れてはいる。

それでも男の子、元気で食べ盛りに代わりはない。


とりあえずはこれから5年、生活保護特別手当も支給され生活にも余裕ができると心に余裕ができた夫婦は結婚してから正確には長男を生んでから初めて港町で食事をした。


『結婚してすぐだったかしら?一度だけここに連れてきてくれたわよね?』なんて言いながら記憶にないくらい久しぶりにはしゃぐ妻をみて、リディの父はこの選択が正しかったのだと、また3兄弟にとってもこれで満足に育てられると思い安心した。


『さて、みんなお腹一杯になったか?』空になった皿を並べリディの父はそう問うた。

3人の男児は元気よく『うん!!!』と答え満足気に椅子にもたれる。


夫婦はそんな子供たちの笑顔に癒されながら家へと向かった。



…―これから5年間、リディはこの家で身が売られるその日まで生活することとなる。

はじめこそ生活費を貰い余裕の生まれたその家で親、兄弟たちから可愛がられ育っていったリディであったが、3歳を過ぎ言葉を覚え始めるとその生活は一変した。


















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