覚悟
君達は気軽に言葉を放ち、人を傷つけていないだろうか?
君達は気軽に暴力をふるい、人を死に追いやっていないだろうか?
いつかはきっと、自分が其の咎に襲われると知らずに。
これはそんな昔の話。
むかーしむかし、ある男が居ったそうな。
男は毎日毎日悪事を働きました。
いや、男自身は悪事とは思っていません。
悪事とは、本人ではなく回りが決めるものなのですから。
子供を拐い売り飛ばし、物を盗んでは別の場所へ。
悪事は人にはバレずに次の場所へ。
運悪く捕まった時に男が言うことは決まっていました。
「すいません、悪気は無かったんです!次はしないのでどうか御勘弁を。」
ええ。次この街でやることはないのですから。
そんなことを繰り返していた男はある町へつきました。
見た目は明るく、裕福そうな町でした。
ここなら生きていける。
そう感じた男はこの街へ入りました。
裏通りへ入ったとたんそれは起こりました。
「へへっ、ちょうどいいところにおっさんが来たぜ。あんたに恨みはないが覚悟してもらうぜ。」
男はあっという間にチンピラにボコられ、物品を奪われました。
「へへっ、パンツだけは勘弁しといてやるよ」
薄れ行く意識のなか、見えたのは幼い頃の自分そっくりな少年であった。
そして、次に目を覚ますと牢の中でした。
「ここは…?」
「ひっひっひっ、目をさましたかい。ここは奴隷市さ。あんさん引きずられてここに来たのさ。」
どうやら男は売られてしまったようです。
「俺はこのあといったい…」
「もう買い手は決まっていてねぇ…ひっひっひっ…。男好きのホモ貴族さ。おっと暴れて逃げようったって無駄さね。逃げてもここは悪の町。入ったが運の尽きさね。」
そうして、男はこの街から二度と出ることはなく、凄惨な死を迎えたとさ。
めでたしめでたし?
因果応報。これを覚悟するように。
覚悟したならやるがいいよ。