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吟遊詩人の忘れ語り

-九つの羅魔蛇の怨毒-

作者: -Sare-
掲載日:2016/11/05

 如何も今日は。

 急に寒くなったので一気に筆が遅くなった筆者です。今年に入ってもう病気になった回数は二桁を行くし(呪われているとしか思えない。)、恐ろしく話が進みません。むむ・・・。

 成る可く一週一話のペースを崩したくないんですけどね、面目ないです。皆さんも躯は本当に大切にした方が良いですよ。躯あっての趣味ですからね。

 最近R指定所か発売も怪しいのでは、と言った非常に倫理観を問われる本を読みました。(筆者に失礼極まりない)何と言うか、エロともグロとも違う恐怖を覚えた作品です。言ってしまえば御前等人間じゃねぇ!みたいな。一応タイトルは伏せますが、御蔭で色々と新しい世界を見た気がします。此でよりドロッとした話が出来そうで、本当有難う御座います。

 さて、そんな今回出てくる子は、九つ、九つの頭を持った蛇さんです。八岐大蛇?惜しい、彼は八つです。然う、ヒュドラさんです。

 マニアックか如何かと言うと、何とも微妙な所の気がします。其の所為か余御話なかったり。

 特徴は勿論其の九つもある絡まりそうな頭、そして沼地に棲んでいます。

 能力と言いますか、兎に角毒のスペシャリストです。どんな生き物にも効く毒を持っており、毒の粘液を持つわ、毒の霧を吐くわ。頸を落とすと二つに増えて生えるし、中々御勁い。其処に痺れる憧れるぅ!

 何故そんなにも強力な毒が彼には必要だったのでしょうか。そして其は一体誰を殺す為にあるのでしょうか。


 ある沼地(ヌマチ)にて貧(マズ)しい男(オトコ)が居(イ)ました

 物(モノ)らしい物(モノ)は殆(ホトン)ど持(モ)っておらず、男(オトコ)は常(ツネ)に苛立(イラダ)っていました

 そしてせめての気晴(キバ)らしと近(チカ)くに居(イ)た黔(クロ)い蛇(クチナワ)を捕(ツカ)まえて小刀(コガタナ)で頸(クビ)を裂(サ)いてしまいました

―噫(アア)痛(イタ)イ痛(イタ)い、止(ヤ)メテ下(クダ)さい。御願(オネガ)いでス。―

たどたどしくも喋(シャベ)る蛇(クチナワ)に驚(オドロ)いて男(オトコ)は蛇(クチナワ)を投(ナ)げてしまいました

 蛇(クチナワ)は首(クビ)を落(オ)とさない限(カギ)り生(イ)きる物(モノ)です

 頸(クビ)の皮(カワ)一枚(イチマイ)で猶(ナオ)動(ウゴ)く蛇(クチナワ)に恐(オソ)れをなして男(オトコ)は逃(ニ)げ出(ダ)してしまいました

 蛇(クチナワ)も又(マタ)男(オトコ)に脅(オビ)えて草葉(クサハ)の影(カゲ)で震(フル)えていましたが、男(オトコ)が去(サ)ったと分(ワ)かると大儀(タイギ)然(ソ)うに頸(クビ)を伸(ノ)ばしました

 すると斬(キ)り裂(サ)かれた頸(クビ)から新(アラ)たな頭(アタマ)が二(フタ)つ生(ハ)えて来ました

―噫(アア)長(ナガ)生(イ)きをすると不思議(フシギ)な事(コト)もある物(モノ)だ。話(ハナ)せる丈(ダケ)でなく、首(クビ)も生(ハ)えるとは。―


蛇(クチナワ)が少(スコ)し不自由(フジユウ)然(ソ)うに地(チ)を這(ハ)っていると浮浪者(フロウモノ)がやって来(キ)ました

 彼(カレ)は三(ミ)つ首(クビ)の蛇(クチナワ)なんて珍(メズラ)しい、頭(アタマ)を落(オ)として剥製(ハクセイ)にしよう、と企(タクラ)みました

 蛇(クチナワ)は逃(ニ)げようとしましたが二(フタ)つの頭(アタマ)が男(オトコ)を威嚇(イカク)する為(タメ)に簡単(カンタン)に捕(ツカ)まってしまいました

 男(オトコ)は早速(サッソク)ナイフで其(ソ)の二(フタ)つの頭(アタマ)を落(オ)としました

 でも残(ノコ)った頭(アタマ)が中々(ナカナカ)斬(キ)れません

 男(オトコ)が梃摺(テコズ)っていると斬(キ)られた二(フタ)つの頭(アタマ)から新(アラ)たに四(ヨッ)つの首(クビ)が生(ハ)えました

 そして頭(アタマ)は男(オトコ)に咬(カ)み付(ツ)こうと牙(キバ)を剥(ム)いたので急(イソ)いで男(オトコ)は蛇(クチナワ)を捨(ス)てて逃(ニ)げて行(ユ)きました


 碧山(ヤマ)道(ミチ)を行(ユ)く黔(クロ)い蛇(クチナワ)、此(コ)の頃(コロ)にはすっかり躯(カラダ)も大(オオ)きくなり、大蛇(ダイジャ)となっていました

 其処(ソコ)へ刀(カタナ)を携(タズサ)えた男(オトコ)が通(トオ)りました

 蛇(クチナワ)は直(ス)ぐ逃(ニ)げ出(ダ)そうとしましたが、他(ホカ)の四(ヨッ)つの頭(アタマ)が許(ユル)しません

 男(オトコ)に威嚇(イカク)すると彼(カレ)も刀(カタナ)を抜(ヌ)きました

「化生(ケショウ)の類(タグイ)か。生(イ)かして置(オ)くには危険(キケン)だろう。其(ソ)の頭(アタマ)落(オ)としてみせよう。」

男(オトコ)は即座(ソクザ)に四(ヨッ)つの頭(アタマ)を落(オ)としました

 しかし、矢張(ヤハ)り最後(サイゴ)の頭(アタマ)が斬(キ)れません

 暫(シバラ)くすると八(ヤッ)つの首(クビ)が生(ハ)えて来(キ)たので男(オトコ)は敵(カナ)わないと退(シリゾ)きました


 蛇(クチナワ)は他(ホカ)の八(ヤッ)つの頭(アタマ)を疎(ウト)ましく思(オモ)いました

 自分(ジブン)が幾(イク)ら逃(ニ)げようとしても他(ホカ)が其(ソレ)を許(ユル)さないのです

 もう人(ヒト)には会(ア)いたくないと蛇(クチナワ)は碧山(ヤマ)奥(オク)へ向(ム)かいました


 黔(クロ)い蕭森(モリ)を進(スス)んでいると蛇(クチナワ)は一人(ヒトリ)の魔女(マジョ)に出会(デア)いました

 相変(アイカ)わらず威嚇(イカク)する頭(アタマ)を無視(ムシ)し、蛇(クチナワ)は直(ス)ぐに逃(ニ)げようとしました

 しかし彼女(カノジョ)は其(ソレ)を呼(ヨ)び止(ト)めました

「如何(ドウ)して逃(ニ)げようとするんだい。君(キミ)は此処(ココ)の主(ヌシ)ではないのか。」

―主(ヌシ)何(ナン)てとんでもナイ。私(ワタシ)ハ人(ヒト)が恐(コワ)いノです。だから逃(ニ)げルノです。―

「他(ホカ)の頭(アタマ)は然(ソ)うは思(オモ)ってないみたいだけれども。其(ソ)の形(ナリ)では逃(ニ)げるのも大変(タイヘン)だろう。君(キミ)なら人(ヒト)等(ナド)簡単(カンタン)に追(オ)い払(ハラ)えるよ。其(ソ)の力(チカラ)を分(ワ)けてあげようか。」

―噫(アア)、其(ソレ)が出来(デキ)たら何(ドレ)程(ホド)嬉(ウレシ)シイか。私(ワタシ)ハ水(ミズ)蛇(ヘビ)なんです。何処(ドコ)かノ沼(ヌマ)デ静(シズ)かに暮(ク)らしたいノデス。―

「良(ヨ)し良(ヨ)し、じゃあ此方(コッチ)へ御出(オイ)で。君(キミ)にぴったりな術(ジュツ)があるから。」

魔女(マジョ)は実(ジツ)は此(コ)の蛇(クチナワ)を懐柔(カイジュウ)し、自分(ジブン)の遣(ツカ)い魔(マ)にしようと密(ヒソ)かに思(オモ)っていたのでした


 斯(カ)くして蛇(クチナワ)は魔女(マジョ)の術(ジュツ)により毒(ドク)霧(ギリ)を吐(ハ)ける様(ヨウ)になりました

 其(ソ)の黔(クロ)い鱗(ウロコ)も牙(キバ)も猛毒(モウドク)で濡(ヌ)れて怪(アヤ)しく揺(ユ)らめいていました

「こんな恐(オソ)ろしい化物(バケモノ)は他(ホカ)に居(イ)ないさ。君(キミ)の事(コト)を羅魔蛇(ヒュドラ)と呼(ヨ)ぼう。」

―噫(アア)有難(アリガト)う御座(ゴザ)いマス。此(コレ)でヤット人(ヒト)に脅(オビ)えぬ平穏(ヘイオン)ナ日々(ヒビ)が送(オク)レます。―

でも力(チカラ)を手(テ)にした羅魔蛇(ヒュドラ)の心(ココロ)にある感情(カンジョウ)が芽生(メバ)えていました

 其(ソレ)に応(コタ)える様(ヨウ)に八(ヤッ)つの頭(アタマ)も静(シズ)かな声(コエ)を上(ア)げます

 羅魔蛇(ヒュドラ)は魔女(マジョ)に毒(ドク)霧(ギリ)を吐(ハ)きました

 すっかり不意(フイ)を突(ツ)かれた魔女(マジョ)は痺(シビ)れて動(ウゴ)けなくなり、其(ソ)の間(アイダ)に羅魔蛇(ヒュドラ)は九(ココノ)つの頭(アタマ)を巧(タク)みに使(ツカ)って魔女(マジョ)をバラバラに引(ヒ)き裂(サ)いてしまいました


 自分(ジブン)が今迄(イママデ)受(ウ)けた苦(クル)しみを人(ヒト)に還(カエ)す

 初(ハジ)めて羅魔蛇(ヒュドラ)の心(ココロ)は一(ヒト)つになりました

 羅魔蛇(ヒュドラ)は次(ツギ)なる獲物(エモノ)を探(サガ)しに沼(ヌマ)へ向(ム)け、毒(ドク)の道(ミチ)を這(ハ)うのでした


  -Fin-

 はい。復讐エンドでしたね。化物を人間が創っちゃたパターンです。前も書きましたね。人間の醜さとか愚かさを書くの、楽しいです。ざまぁ人類みたいな。(筆者は人外なのか。)

 エンドは一寸色々考えたんですけどね。魔女と共同戦張るのも良いなって。只一寸辻褄と言うかヒュドラさんの経緯を考えると其は違うな、と思ったので殺しちゃいました。テヘッ!

 でも魔女さんも結構好きなので次又出てくればそんなラストも良いですよね。滅べ人類。(筆者は人間ではないのかも知れません。)

 所で話は変わりますが、ヒドラと言う軟体動物がいる然うです。其は触手が沢山あって丁度ヒュドラみたいだから、と言うのもあるのですが、斬っても斬っても再生したり増えたりする所からも然う名付けられたそうです。本当人間て残酷な事しますね、死に絶えれば良いのに。(筆者は人間ではありませんでした。)

 おや、今回は偉く冥い心の内が出ちゃったみたいです。此もヒュドラさんの毒に侵された所為ですかね。大丈夫です。私、皆さんの事愛してますよ。フフッ。

 では次の機会迄良い物語を。

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― 新着の感想 ―
[一言] もうここまでいけば、化物側が主役としてある意味ハッピーエンドで良いのかもしれません。家畜から見た人間は悪魔みたいなものですから。
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