-九つの羅魔蛇の怨毒-
如何も今日は。
急に寒くなったので一気に筆が遅くなった筆者です。今年に入ってもう病気になった回数は二桁を行くし(呪われているとしか思えない。)、恐ろしく話が進みません。むむ・・・。
成る可く一週一話のペースを崩したくないんですけどね、面目ないです。皆さんも躯は本当に大切にした方が良いですよ。躯あっての趣味ですからね。
最近R指定所か発売も怪しいのでは、と言った非常に倫理観を問われる本を読みました。(筆者に失礼極まりない)何と言うか、エロともグロとも違う恐怖を覚えた作品です。言ってしまえば御前等人間じゃねぇ!みたいな。一応タイトルは伏せますが、御蔭で色々と新しい世界を見た気がします。此でよりドロッとした話が出来そうで、本当有難う御座います。
さて、そんな今回出てくる子は、九つ、九つの頭を持った蛇さんです。八岐大蛇?惜しい、彼は八つです。然う、ヒュドラさんです。
マニアックか如何かと言うと、何とも微妙な所の気がします。其の所為か余御話なかったり。
特徴は勿論其の九つもある絡まりそうな頭、そして沼地に棲んでいます。
能力と言いますか、兎に角毒のスペシャリストです。どんな生き物にも効く毒を持っており、毒の粘液を持つわ、毒の霧を吐くわ。頸を落とすと二つに増えて生えるし、中々御勁い。其処に痺れる憧れるぅ!
何故そんなにも強力な毒が彼には必要だったのでしょうか。そして其は一体誰を殺す為にあるのでしょうか。
ある沼地にて貧しい男が居ました
物らしい物は殆ど持っておらず、男は常に苛立っていました
そしてせめての気晴らしと近くに居た黔い蛇を捕まえて小刀で頸を裂いてしまいました
―噫痛イ痛い、止メテ下さい。御願いでス。―
たどたどしくも喋る蛇に驚いて男は蛇を投げてしまいました
蛇は首を落とさない限り生きる物です
頸の皮一枚で猶動く蛇に恐れをなして男は逃げ出してしまいました
蛇も又男に脅えて草葉の影で震えていましたが、男が去ったと分かると大儀然うに頸を伸ばしました
すると斬り裂かれた頸から新たな頭が二つ生えて来ました
―噫長生きをすると不思議な事もある物だ。話せる丈でなく、首も生えるとは。―
蛇が少し不自由然うに地を這っていると浮浪者がやって来ました
彼は三つ首の蛇なんて珍しい、頭を落として剥製にしよう、と企みました
蛇は逃げようとしましたが二つの頭が男を威嚇する為に簡単に捕まってしまいました
男は早速ナイフで其の二つの頭を落としました
でも残った頭が中々斬れません
男が梃摺っていると斬られた二つの頭から新たに四つの首が生えました
そして頭は男に咬み付こうと牙を剥いたので急いで男は蛇を捨てて逃げて行きました
碧山道を行く黔い蛇、此の頃にはすっかり躯も大きくなり、大蛇となっていました
其処へ刀を携えた男が通りました
蛇は直ぐ逃げ出そうとしましたが、他の四つの頭が許しません
男に威嚇すると彼も刀を抜きました
「化生の類か。生かして置くには危険だろう。其の頭落としてみせよう。」
男は即座に四つの頭を落としました
しかし、矢張り最後の頭が斬れません
暫くすると八つの首が生えて来たので男は敵わないと退きました
蛇は他の八つの頭を疎ましく思いました
自分が幾ら逃げようとしても他が其を許さないのです
もう人には会いたくないと蛇は碧山奥へ向かいました
黔い蕭森を進んでいると蛇は一人の魔女に出会いました
相変わらず威嚇する頭を無視し、蛇は直ぐに逃げようとしました
しかし彼女は其を呼び止めました
「如何して逃げようとするんだい。君は此処の主ではないのか。」
―主何てとんでもナイ。私ハ人が恐いノです。だから逃げルノです。―
「他の頭は然うは思ってないみたいだけれども。其の形では逃げるのも大変だろう。君なら人等簡単に追い払えるよ。其の力を分けてあげようか。」
―噫、其が出来たら何程嬉シイか。私ハ水蛇なんです。何処かノ沼デ静かに暮らしたいノデス。―
「良し良し、じゃあ此方へ御出で。君にぴったりな術があるから。」
魔女は実は此の蛇を懐柔し、自分の遣い魔にしようと密かに思っていたのでした
斯くして蛇は魔女の術により毒霧を吐ける様になりました
其の黔い鱗も牙も猛毒で濡れて怪しく揺らめいていました
「こんな恐ろしい化物は他に居ないさ。君の事を羅魔蛇と呼ぼう。」
―噫有難う御座いマス。此でヤット人に脅えぬ平穏ナ日々が送レます。―
でも力を手にした羅魔蛇の心にある感情が芽生えていました
其に応える様に八つの頭も静かな声を上げます
羅魔蛇は魔女に毒霧を吐きました
すっかり不意を突かれた魔女は痺れて動けなくなり、其の間に羅魔蛇は九つの頭を巧みに使って魔女をバラバラに引き裂いてしまいました
自分が今迄受けた苦しみを人に還す
初めて羅魔蛇の心は一つになりました
羅魔蛇は次なる獲物を探しに沼へ向け、毒の道を這うのでした
-Fin-
はい。復讐エンドでしたね。化物を人間が創っちゃたパターンです。前も書きましたね。人間の醜さとか愚かさを書くの、楽しいです。ざまぁ人類みたいな。(筆者は人外なのか。)
エンドは一寸色々考えたんですけどね。魔女と共同戦張るのも良いなって。只一寸辻褄と言うかヒュドラさんの経緯を考えると其は違うな、と思ったので殺しちゃいました。テヘッ!
でも魔女さんも結構好きなので次又出てくればそんなラストも良いですよね。滅べ人類。(筆者は人間ではないのかも知れません。)
所で話は変わりますが、ヒドラと言う軟体動物がいる然うです。其は触手が沢山あって丁度ヒュドラみたいだから、と言うのもあるのですが、斬っても斬っても再生したり増えたりする所からも然う名付けられたそうです。本当人間て残酷な事しますね、死に絶えれば良いのに。(筆者は人間ではありませんでした。)
おや、今回は偉く冥い心の内が出ちゃったみたいです。此もヒュドラさんの毒に侵された所為ですかね。大丈夫です。私、皆さんの事愛してますよ。フフッ。
では次の機会迄良い物語を。