古城の主
閑静な村の奥にそびえたつ建物。
先日、クリーグラン氏が購入した別荘である。
周りを青々と茂った木々で囲まれた石造りの様子は、まさに「古城」と呼ぶに相応しい。
そんな「古城」には、毎日のように来客があった。
「マリア君、今日の予定を教えてくれたまえ。」
クリーグラン氏は秘書の女性に声をかけた。
「本日は、宝石鑑定士のダヴィッド・アライト氏にお越しいただく予定です。」
「おぉ、そうだったな。では、客間の準備をしておいてくれ。」
「かしこまりました。それから、NYのテレビ局のほうから、取材の依頼が来ておりますが、いかがしましょうか?」
「そりゃまた、いったい何の用だね?」
「洞窟のクリスタルについてだったと思われますが。」
「なぜ、テレビ局がそのようなことを……?」
二人は首をかしげる。
「おそらく、どこからか情報が漏れたのでは……。」
「まぁよい。スケジュールの調整は任せたぞ。」
「はい、承りました。」
秘書がいなくなった後、クリーグラン氏は洞窟へと向かった。
洞窟は、建物の奥にある。
古いアーチの門を押し開けると、崖の斜面にぽっかりと大きな穴が開いている。
脇にあるスイッチを入れると、ところどころ天井に吊り下げられた裸電球に光が灯り、薄暗い坑道のような通路を照らす。
村の住民たちは数百年もの間、毎日この道を通っていたらしい。丁寧に手入れされていたのだが、現在は、この道を通るのはクリーグラン氏とその関係者のみ。それもそうだ。ここは今、クリーグラン氏の持ち物。買い取られると決まった時、村の住民は大反対した。なんとも、この城の城主様の眠りを妨げるなとか、災厄が降りかかるだとかなんとか言っていた。しかし、クリーグラン氏はそのようなことを気にする人物ではない。欲しいものは欲しい。誰が反対しようと、力づくで手に入れる。そういう人物だ。結局、金と権力にものを言わせ、城の住民たちを追い出した。
そこまでして、なぜ、クリーグラン氏はこの城を欲しがったのか?
その答えが、洞窟の奥に眠っている。
坑道を進んでいくと、観音開きの少し豪勢な扉が現れる。
それを両手で押し開けた。
天井の隙間から差し込む澄んだ太陽光が照らす空間。
そこで、ひときわ輝くのは、
壁に埋め込まれた巨大な水晶。
こんなにも美しい宝石、富豪たちは大金をはたいてくれるだろう。そうすれば、自身の富はより増える。
その時彼は知らなかった。
この夢水晶に、意思が存在するなんて――――