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三日間

  汗をかいてた。ベットから起き上がるとシャツの袖で額の汗をグイとぬぐった。僕は窓の方へと歩み寄り広がるカーテンを半ば開いて外の景色を見下ろした。やはり、ここは何かの秘密組織の基地か何かなんじゃないかと、三日たってもまだ思う。

 

 僕が高明村にきてから三日が経っていた。あの後のことはただただ健の言う通りに動いて村まで下りてあれこれと指差して物を教えられた。あれが交番だこれが図書館だの。あげくの果てには大きなガラス張りの建物をさしてデパートだと言った。何故村にデパートがあるのか。と、最初は思ったが、違う。まず「村」という呼び名をここにつけていることから間違いなんだ。

 しばらく歩くと健は大通りを少し外れた所にある建物の前で止まった。その建物は大きさから言えば普通の家と同じ位なのに、形が角ばっている。つまり長方形のシンプルな建物という事だが、ここではコレが普通らしい。健がその建物のチャイムらしいボタンを押すと目の前のスライド式の自動ドアが開いて中から一人の白衣を着た女の人が出てきた。その人は若くて髪を大きな髪留めで一つに留めあげていた。やさしそうな顔に紫の太いふちをしたインテリメガネがよく似合う。その人は僕に向かっていきなり「まっていたのよ、私がしばらく一緒にあなたとここで暮らすから。」などと言ってきた。さすがにここまでくると僕も驚かなくなってきていて、ああ、よろしくおねがいします。とだけ言ってその場は流れた。健はそれから「じゃあ何かあったら遠慮なく僕に言ってよ。」と言い残してどこへともなく消えていった。

 それから僕は突然熱を出した。何故なのかは分からないがそれからの記憶があいまいであまりよく覚えていない。でもその間、夢を見た。あまりよく覚えてないけど。赤い飴玉のようなものを手にしていた僕がいた。小さな僕の手のひらに赤い飴玉。まぁだからなんだという話ではあるのだけれども、何でだろう。何故かそれが頭から離れない。


 それから目が覚めて意識がやっとはっきりしたのが今だ。汗をたくさんかいたせいか気分がいい。まるで今までにあったものが全て夢だったかのように。もしかしてそうかもしれない、そう期待し僕はカーテンを開いた。やはりここは、高明村だ。


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