第6話 お見合い
私は今日、涼子さんのお見合いに連れられた。涼子さんの両親は海外勤務のため日本に帰ってこられない。ということで何故か原田家3人でお見合いに参加中。
「初めまして、大田涼子です。そしてこちらが、いつもお世話になっている原田優希アナウンサーの家族です。」
「原田優希です。よろしくお願いします。」
「初めまして、妻の原田明日香です。」
「原田真子です。」
私とママは、オドオド中。
「では次は私が。私は正木純です。普段は高校の教師をしています。」
パパは質問した。
「両親は?」
「幼い頃に事故で…。」
「そう…。話を戻すけど、涼子は結婚したいのか?」
「何で呼び捨てなんですか?」
正木さんが言った。
「悪い?涼子も家族みたいなものだからな。」
正木さんは顔を濁した。ママがフォローする。
「気にしないで。彼女は真子のマネージャーだから。」
「んで、あんたは涼子と結婚したいの?」
「はい。結婚を前提に先ずはお付き合いをお願いしたいのです。」
空気を呼んだのかパパとママは席を外した。
「それじゃ私も。」
「いや、真子ちゃんは一緒にいて。」
はー?
「分かりました。」
正木さんが本気の顔になった。
「涼子さん、正式に僕と付き合っていただけませんか?」
涼子さんが私に目でサインを送った。“いいのかねー”って。だから“知らないし”って顔をした。
「涼子さん?」
「ごめんなさい正木さん。少しだけ考えさせていただけませんか?今の私は仕事があるので。真子ちゃんのことも考えなければいけないので…。」
私は少し嬉しかった。
しばらくしても涼子さんは正木さんに返事を返さなかった。この日は仕事だから涼子さんに聞いてみた。
「そろそろ返事返したらどうです?」
「そうだよね、待たせる訳にいかないもんね。でも私も分からないの。彼と結婚していいか。」
確かに芸能関係と教師じゃ住む世界が違う。
「...私もそう思いますね。私の解釈で、芸能人は芸能人と結婚するべきだと思います。」
「ごめんなさいね。私がお見合いの話したから。」
「気にしないで。おかげで男に対して敏感になったから。」
私と似ている。お茶を飲みながら涼子さんが言った。
「私、結婚しないから。真子ちゃんのマネージャーである限り、結婚はしない。」
「分かりました。お互い一生独身同士頑張りましょう。」
私は価値観というものが分かった。
家に帰ってからパパとママにすべてを話した。
「お見合い破棄ね。だと思っていたよ。」
「え?パパは分かっていたの?」
「涼子なら仕事優先するだろうなって思ったんだよ。」
パパの次にママが言った。
「それに涼子ちゃんなら真子を放っておけないでしょ。」
「なるほどね。」
涼子さんの優しさ、伝わったよ。 続く