第5話 クランクアップ
いよいよ今日は映画撮影のクランクアップの日。最後の撮影はヒロインがアメリカ留学で離ればなれになるシーン。
[電車まであと何分?]
[1分で来るね。今までありがとう。元気でいてよね。]
[俺、帰ってくるまで待っているから。]
[愛してるよ。]
電車が来た。
[さようなら。]
発車する電車で手を振りながら涙をした。
カットがかかった。クランクアップになった。映画の撮影は半年にも及んだ。
「お疲れ様でしたー。」
私はスッキリした顔をした。私の傍に上米良くんが来た。
「真子ちゃん、お疲れ様。どうだった?」
「あっという間だったね。後、ありがとうね。」
上米良くんは照れた。
「まだまだこれからでしょ。これからもっとドラマとか来るんじゃない?」
「まだまだだよ。でも芸能界に必要な人間でありたいな。」
この後、明花も入れて3人でご飯を食べに行った。
「かんぱーい。」
「真子、今日は飲もうよ。」
「だから私は飲めないの。」
「ビールなんてジュースみたいなものだよ。」
「瓶を見なさいよ。アルコール度数が書いてあるでしょ。」
「映画をやり遂げた後の一杯は美味しいと思うけどなー。」
「例えばだよ、2人が良いことあった時に嫌いな食べ物食べれる?」
「それは違うだろー。」
「一緒だって。」
「ちょっと私、電話なってるから出てくるね。」
明花が外に出て行った。
「来週って空いてる?」
上米良くんが言った。
「日曜日は空いてるけど…。」
「2人で遊びに行かないか?」
「変なことしなければいいよ。」
電話から戻ってきた明花が仕事が来たらしい。私たちに言った。
「ごめん。仕事が入った。お金おいていくから会計よろしくね。」
明花は帰って行った。ブーーーーー。ブーーーーー。メールだ。
“今から私の家に来て。 涼子”
もう…。
「ごめん私もマネージャーに呼ばれたから帰る。」
「そっか。また連絡するな。」
中途半端に終わったなー。
涼子さんの家で飲み直していた。
「涼子さん、飲み直す意味が分からないんですけど。」
「1次会と2次会は別でしょ。」
「んで、呼び出ておいて話は何ですか?」
「両親にも相談して、お見合いを頼んだんだけど。良いよね。」
「涼子さんが良いのなら協力します。」
「ありがとう。真子ちゃんには仕事とプライベートで迷惑かけないようにするから。」
パパに連絡しなきゃね。 続く