第2話 大仕事
「ママ、もしかして知っているの?」
何かを知っているような表情をしていた。
「真子が言わないと分からないわよ。」
「今は聞かないで。パパがいるから。」
パパには聞かれたくなかった。
「はいはい。」
次の日、私は仕事だった。休憩中に涼子さんとスケジュール調整をしていた。
「真子ちゃん、お疲れ様。そういえばね、映画決まったよ。」
「主演ですか?」
「ううん、主演の恋人役。」
おしい...。
「チャンス生かしなよ。」
「分かっています。パパが怒るから。そういう涼子さんは結婚とかしないんですか?」
「いいの。私は真子ちゃんのマネージャーをしているだけで幸せなの。」
「35歳で独身は流石に引くなー。」
そう言いながら私は水を飲んだ。
「とりあえず明後日がドラマの打ち合わせだから。はい台本。」
「ありがとうございます。」
モヤモヤするなー。
仕事が終わり、パパの所へ向かった。パパは小学校の教室にいた。
「お疲れ様。それより何故俺がここにいると分かったのだ?」
「月に1度は来ているんでしょ?誰もいないから入れるし。」
「明日香に聞いたのか?」
「いや。ママは何も言っていないけど、パパならいるだろうと思って。...ベニショウ。分かるよね?」
「話をすべて聞いたか?」
「高校の時の話だけね。」
パパが触れている机について尋ねた。
「明日3人で熊谷麻美の御墓に行かない?」
「行くか。所で話に触れなかったが何故ベニショウを知っている?」
私はベニショウの話を10分ほどしていた。
今日は熊谷麻美の御墓参り。3人で来た。御墓は3人分回った。
「パパ?熊谷麻美だけじゃないの?」
「ああ。麻美だけではない。俺の幼馴染の凛とベニショウ。」
え?
「何で?」
心の整理がつかない。ママが話を続けた。
「2人とも何故か行方不明のまま遺体が見つかったの。」
「そんな。ベニショウさんは良い人なのに…。」
「世の中はな、生きるべき人間が死んで、どうでもいい人間が生き残ってしまうんだよ。そうなってるんだ。2人とも生きるべき人間なのに…。」
「真子。真子は2人のために素敵な女優になりなさい。2人の思いも詰まっているから。」
パパとママは悲しそうだった。 続く