第一話「空に吸れし居候」
正午を少し過ぎたところ。
俺は開けた草原で横になる。
空は黒くて、
海の底を見ているような感じ。
どこまでも、どこまでも広く、深い空に見とれていた。
俺は記憶喪失。
といっても、思い出せることはある。
綺麗な、女の人の笑いかけてくるような顔。
夢かもしれない。
あの中で見た、ただの幻かもしれない。
でも、絶対いる。と思う。
俺はそのまま寝てしまったのかもしれない。
周りは暗く、見渡しても、車どころか人すらも見当たらない。
俺は道を歩く。
ここは 空石都市。
地面からは切り離された場所。
ある時、どっかの人が見つけた都市。
俺は記憶喪失。
そんなことを言われても信じられるわけがない。
俺が、氷づけになっていたことも。
俺は長いあいだ眠っていた。
この、空石都市に。
理由、経路、方法不明。
人がここに来て、今まで俺は見つからなかった。
俺は洞窟の中で発見された。
そのまま、放置されていたらしい。
洞窟は比較的涼しかったが、氷の状態を保てるほどではなかったらしい。
そんな時、俺が入っていることが分かり、救出された。
氷を割って行って、俺を出した。
俺は奇跡的に生きていて、助かった。
俺はその、助けてくれた人の家に住まわせてもらっている。
いわば居候。
俺が記憶喪失なのはその後遺症の可能性が高いらしい。
俺は失った記憶を思い出す時がある。
その女の人。その人を初めに思い出した。
「・・・・・・・・・やっぱり好きだったのかな?」
俺はそんなことはわからない。
でも。 今 の俺はその人が好き。そう思っている。
そんなことを考えながら俺は、帰路をたどる。
俺は頭の回転が早い。と言われている。
俺は普通の顔だ。と言われている。
俺はだらしない。と言われている。
俺には、大した特技はない。
だが、ほかの人にできないことがひとつだけある。
空間操作。
例えばここから1km離れた場所を知っていたとする。
そこはある部屋。
俺が区切った空間のみ、その部屋とつながる。
そんな力。
そこまで便利ではない。
使うと頭が痛くなるし、ほかの人に見つかると色々とやばいからだ。
そんなわけで俺はその力はめったに使わない。
俺の前には豪邸があった。
この都市では、『 吸血鬼の館』なんて言われている。
んな非科学的な。なんて思うかもしれないが、この都市では一週間に一度、人が消えている。という噂。もある。
俺は反対を見る。小さなアパート。
ここが俺の家。
「・・・只今。戻った。」
「ん。これ鍵。」
「・・・あーがと」
俺はお礼 | (?)を言って、鍵を受け取る。
俺が住まわせてもらっているアパート。
家賃はいーよ!ガハハハハと管理人さん | (女)に言われ、遠慮なく住まわせてもらってる。
ただし、
「お帰りー」
同居人ありで。
( ノ゜Д゜)こんにちは白鴉です!
これからよろしくお願いします!