群る。
空間と遮られてから気づくのだ
溢れる音が隙間から漏れ零れるが、隙間もすぐに閉じられ、向こうの軽快な音が僅かに聞こえるばかり
その音は上へ上へ流れてゆくのに、流れているのはわたしで、わたしがおちてゆくのに、彼の音は昇ってゆく
下降はすぐにやむ、さきとは違うかろやかな音が、ふたたび開く隙間から世界を満たした
なにごともなく隙間は消え、音も向こうがわへ、上へ流れてゆく
わたしがおちきると、しかたなしにわたしは、音楽のない空間へ踏み出した
いれかわるようにしてなにやつかがボックスにはいるのに、わたしはおりる
わたしはおちてここまできたのに、彼の人は昇ってゆくのだ
さきとは違う、そうぞうしく落ち着く音が、広がって、いたるところからはっせられていた
わたしはそうぼうを目深にかぶり、静かに、彼の人からしたどこともないところへ消えゆくのだ
目線も合わせずにいってしまった彼の人は、昇ってゆく