スライム治し
どうしましょう……。
スライムが、縮んでしまいました。
お城の手前の森で、商品の状態を見るために、革の道具袋から取り出してみたんです。そしたら、保存水入りの透明容器に浸かったスライムが豆粒ほどになっていて……。
人気の鑑賞用のスライムなんです。
このご時世、絶滅危惧種であるモンスターは貴重な存在。やっとのことで競り落したスライムでした。
貴族や王族に売れればいいなあ、と思っていたら、王様が買ってくれました。
これは一生遊んで暮らせる! そう思っていたのですが……。
あとは納品するだけという段階なのに、なんて不運なのでしょうか。
いや……まだです! 悩んでいても、何も解決しません。何とか元の大きさに戻さないと。
そうですね。もしかしたら、保存水が悪いのかもしれません。そう思い、全部流して、代わりに聖水を透明容器に流しこんでみました。
スライムから小さい泡が大量に噴き上がったかと思うと、だんだんと黒んずんでいきました。
やっちゃいました……。状況が悪化しています。
慌てました。どうしましょう! 右往左往しました。
ウサギがそんな私をしばらく見つめたあと、どこかに行きました。
そうだ栄養が足りないのかもしれない! 枯葉を数枚拾って、容器の中に入れてみました。
シーーン……。
特に変わりはありません。
次に拾った木の棒で、容器の中の聖水をかき混ぜてみました。
すると、ポン、ポンと音が立ち、豆粒ほどの黒ずんだスライムが分裂していきました。
「ちょ、ちょっと……なんですかコレは……!!」
そのままスライムは徐々に膨らみ、容器を圧迫していきます。ピキピキと音を立てて、容器が割れてしまいました。
飛び散るガラス片とともに、黒ずんだスライムたちが、でろんと流れ出ます。
奴らは「ミシュー、ミシュー」と鳴きながら、どんどん膨らんで大きくなり、ブラックスライムへと変貌しました。
「ひっ!」
十数体のブラックスライムは私ににじり寄り、その大きな口を一斉に開けました。奴らには、人間と同じような歯がありました。
私は食べられてしまいました……。
「がぁぁ〜」とゲップをしたあと、そのままブラックスライムたちは、城へと移動します。
平和ボケしながら何となく城を守っていた門番をまず殺し、次々と人を喰らいながら玉座へ。王様もあっという間に食い殺されていました。
ブラックスライムはさらに分裂を繰り返し、東西南北に分かれて移動していきました。
その後、世界が滅亡したのは言うまでもありません。
完




