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『家柄を競う速記シャープ』

作者: 成城速記部

 安物速記シャープが、道々、プレスマンに、家柄を競うことを提案しました。プレスマンは、気が進みませんでしたが、プラチナ万年筆の出身だと名乗ると、安物プレスマンは、話題を変えました。安物速記シャープが、プレスマンに、どんな芯たちを従えてきたのか尋ねますと、プレスマンは、プラチナ万年筆のプレスマン専用芯だと答えました。

 それを聞くと、急に安物速記シャープが、地べたにへたり込みましたので、プレスマンが心配して、どうしたのか尋ねますと、安物速記シャープは、私は多くの芯たちを従えてきたが、悲しいことに、皆、私のために、命を落としていった。そのことを急に思い出したのです、と答えました。

 プレスマンは、命を落とした者は口がきけないのをいいことに、自慢をなさっているのでなければいいのですが、と少しあきれて言いました。



教訓:死人に口なしとはよく言ったものです。


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