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可惜夜(あたらよ)に君を想う  作者: ウエハース
第一章 一ノ瀬遥と愉快な仲間たち
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暇な時間は終わりを告げる

「暇だなぁ……。」

暇だ。暇すぎる。スマホないから動画も見れないしゲームも出来ないし。携帯ゲーム機買っときゃよかった。

そうじゃん。取りに行けばいいじゃん。休みとはいえどっかの部活はやってんだろ。学校行くなら制服か。ササッと用意して行くか。

「えーっと、貴重品類持った。学生証持った。定期持った。よし行くか」

そうして駅へと行き、いつもと同じホームで電車に乗った。

スマホがなくてやることがないため、窓の外の景色を見る。いつも見ているからこれといって新しい発見はないが、仕方ない。

そうこうしているうちに駅に着いた。最寄りから学校まで10分くらいなのでぼーっと歩いているうちににもう着いていた。

「失礼しまーす。」

職員室に入ると、担任の姿が目に入った。

「あれ?一ノ瀬?どうした今日からGWで学校休みだぞ?」

「田村先生。教室にスマホ忘れたんですよ。だから取りに来ました。」

「お前もか。ほれ、教室の鍵。」

そう言って教室の鍵を投げてきたのを、何とかキャッチする。「ナイスキャッチ―」とか言うな普通に渡せよ!

というか『も』?俺より前に忘れ物取りに来たやつでもいたのか。

「ありがとうございまーす。」

「あ、ついでにゴミ捨てしといてくれる?多分してないから。」

「はーい」

なんかパシリみたいな仕事が増えた気がするが気のせいだろう。うん気のせいだ。

渡された鍵で教室に入る。

「お、あったあった。うわ通知すご。」

ゲームのスタミナ系通知に親からの連絡。椿さんからだったり蒼野達からも来てるな。えーっと『学校にスマホ忘れてたから今見た。』と。こういう時の一斉送信はとても助かる。

ゴミ捨てて、鍵閉めて、よし帰ろう。帰ってゴロゴロしよう。

「あれ?一ノ瀬?何してんのこんなところで?」

聞き覚えのある声に呼ばれて振り返ると、そこには蒼野がいた。

「蒼野?忘れ物取りに来たんだよ。そっちは?」

「私も忘れ物。取ったあとに少しブラブラしてた。」

ああ先生が「お前も」って言ってたっけ。

「へー、何忘れたんだよ。」

「課題。さすがにまずいと思って取りに来た。一ノ瀬は?」

「スマホ。忘れて昨日はめちゃくちゃ大変だった。」

「スマホかー。スマホはないと不便過ぎるよね。」

うんうんと腕を組みながら共感している蒼野。

「あと暇過ぎたってのもあるけど。スマホに全部入ってるからマジでやること無かった。」

「暇なら課題しなよ〜。どうせギリギリになってやるタイプでしょ一ノ瀬。」

やれやれといった感じで頭を振っている。凄い決めつけだ……。

フッ、だが相手が悪かったな!

「残念だったな。既に課題は終わっている。」

「はぁ!?まだ初日の午後でしょ?絶対嘘でしょ!」

「GW開始前に終わらせたんだよ。配布自体は少し前にされてるんだし。」

休みは怠惰な生活をしたいから、課題はなるべく早く終わらせるようにしている。

「は〜なるほどなるほど。真面目だねぇ。」

「課題は早めに終わらせてゴロゴロするタイプなんでね。その代わり暇な時間ができる。」

「……駄目じゃん。」

「うっせ。」

感心した顔から一転、呆れ顔になった蒼野に突っこまれた。

「あ、そうだ暇ならファミレス行かない?この近くにあるじゃん?」

「……………………は?2人で?」

思いがけない提案をされて思わず固まる。

「2人で。」

Please Wait。待て待て待て待て!なんで?どうして?俺と?2人で?

いや、まぁ人付き合いが良い人ってこんな感じなのか。ならお言葉に甘えてもいいのか……?

「おーけー。いいよ行こう。」

「へぇ…」

「ん?なんだよ。」

なにか感心したような声が聞こえた気がするが、気のせいだろう。

「いーや別に。行こう行こう。あ、私の奢りでいいからね。」

「え?いや流石にそれは、」

「いーのいーの。助けてくれたお礼まだだったし。お礼させてよ。」

そう言って財布を取り出して見せつけてくる蒼野。

……その理由なら、仕方ないか。

「分かった。それならよろしく頼む。」

お礼……か。別にいいんだけどな。

にしても女子と2人でご飯なんて初めての経験だ。

え?椿さんはカウントしないのかだって?アレは蛮族の類だから大丈夫。

不安はあるが、そこまで悲惨なことにはならないだろうと思い、蒼野とファミレスへと向かった。

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