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可惜夜(あたらよ)に君を想う  作者: ウエハース
第一章 一ノ瀬遥と愉快な仲間たち
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「知ってる天井だ……」

そりゃそうだ。ここ俺の家だしな。あの後、結局次の日発熱し、見事に即病院からの即帰宅を果たした。昼頃に家に着いてベットでぶっ倒れて、そのまま寝てたらしい。

「いまなんじだ?」

まだ動きが鈍い身体を震わせて、枕元に置いといたスマホを手に取る。朝の9時か。20時間くらい寝てたのか……

「ん?メッセージ?誰からだ?」

俺が寝ている間に溜まっていたらしい。えーっと、送り主は、蒼野?なんで…ってそうか、あの時強制的に交換させられたんだったな。メッセージを開いて中を見る。写真?ソフトクリームとか友達とピースしてる。楽しそうだな。

『起きてるー?大丈夫そ?』

『今起きた。楽しそうでなにより』

『めちゃくちゃ楽しいよ。湊と優芽とまわってるよ』

湊と優芽…ああ、海瀬湊と鈴名優芽か。学校でもいつも蒼野と一緒に居るあの2人だ。中学校からの友達とか何とか。

海瀬湊は、紺色のウルフカットが特徴のクールな雰囲気を纏っている男顔負けのイケメン女子。うちの学校の校則がゆるゆるなのを海瀬を見て悟った。ウルフいいんだ……って。そのかっこよさのあまり、様付けされて呼ばれていたのを聞いたことがある。

鈴名優芽は、黄色いショートカットが特徴の元気はつらつな女子。いつも明るく、クラスのムードメーカー的存在。ちなみに海瀬が可愛さクラス2位、鈴名が3位らしい。というかクラス何位とか言ってるが他のクラスに可愛い子が居るとか聞いたことがないのでたぶん学年というか学校単位だろう。そんな3人が笑顔で話しているのは見てるだけで目の保養になると人気を博してる。いいなぁ友達。俺居な…いや1人出来たか。無理やりだけど。

『俺その街も毎年行ってるからなんかあったら聞いてくれ』

『りょーかい。頼もしいね、苦しゅうないぞ』

『何様だよお前…』

全く…。こいつってこんな性格だったんだな。もっと大人しいやつだと思ってた。まぁ変に大人しいよりはこっちの方が関わりやすいか。

ふと、これからのことを考えた。学校でも絡み始めたら学校1の人気の女子とよく分からん男が話してる状況が完成する。すると俺が周りに殺されるな。あれ?また通知だ。送り主を確認し……

「………………は?」

新たに来た2つの通知。表示されている送り主の名前は『湊』と『優芽』。なんで?いや、連絡先教えてないよな?いったい誰が教え………いるなぁ、教えそうなやつが。

『おいコラ蒼野、個人情報ってなんで法で守られてるか知ってるか。』

『いや〜ね?隠れて送ってたらバレちゃって…。助けてくれたこととか話したら「連絡先教えて」って言われてそのまま押し切られちゃった』

『押し切られちゃってんじゃねぇよ……』

『2人とも優しいから、大丈夫だってば』

『そうだけどそうじゃなくて…蒼野自分達の人気分かってる?3人全員の連絡先持ってるって知られたら即殺よ?俺』

『ははっ、頑張れ〜〜〜』

『元はと言えばお前のせいなんだが?』

えぇ…これ返信するの…?はぁーーーーーーーー、蒼野のやつ覚えてろよ。

『で、なんだよ』

『なんだって言われても、心配しているんだが?』

『おう、それは分かってるんだわ。なんで俺をってことだよ』

『友達を助けた人を気にかけるのは当然のことだろう?』

やだ何このイケメン…。さすがは王子と呼ばれているだけはあるな海瀬。男顔負けのセリフをこうも簡単に言うか。

『ねーねー、遥っち体調大丈夫ー?』

遥っち?あ、これあれか、鈴名か。にしてもなんで海瀬のスマホで…というかあいつ接点ないやつでもそんな風に言うのか。コミュ力お化けかな?

『すまないね。優芽が「私だけ返信来てなーい!湊だけずるいー!」ってスマホを取られてしまってね』

『3人一緒に居るんだろ?なら共有すればいいじゃん。あといちいち全員に返信するのめんどくさいんですけど……』

『確かに、それもそうだね』

『用件ってそれだけか?』

『あ、もうひとつ忘れていたよ。渚を助けてくれて、ありがとう』

ホントに仲良いんだなこの3人。ここまで言う奴は初めて見たな。

『たまたま気付いただけだよ。それだけだ』

『そうか。あと、この辺りにおすすめのお店はないかい?なかなかいい所が見つからなくてね。』

多分蒼野から聞いたんだろうな。

分かるぞ、あそこあんまいい店ないよな。

『わかった。毎年いきつけのところの写真送る。お店の外見はちょっとあれだけど、味は保証する。あと、俺の名前出したら多分なんかしてくれる。興味があったら試してみて』

『ありがとう。助かるよ』

『どういたしまして』

海瀬と同じようにほかの二人からも感謝の言葉が届いた。それじゃあ俺もおばさん達に連絡しとかないとな。

『おばさーん、これから女子3人組が来るんだけどさ〜俺の……友達だからサービスしといてくれない?』

『はるちゃんじゃない。近藤さんから聞いたわよ大変だったんだねぇ。分かったわ全力でおもてなししてあげる。にしても女の子3人ねぇ……モテモテじゃないの。大人になったわねぇ。』

クッ……!俺はこれをあと何回言われればいいんだ……。

『そういうのじゃないから!ただの友達だから!でもありがとう。また今度行った時は沢山食べてくからさ』

『いいのいいの。こっちこそ助かってるわ、ありがとう。お体は大事にね』

『分かってるよ』


「……………………ありがとう、か。」

他人の善意を素直に受け取れない自分が嫌になる。頭では分かりきっている。この人達はアイツらとは違うって。でも、どうしてもチラついてしまう。あの日々が。あの顔が。行き場のない自己嫌悪を感じながら、俺は起きた時と同じように、ただ見知った天井を見つめていた。

最近疲れすぎてぇ……

ちょくちょく更新しますわ

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