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可惜夜(あたらよ)に君を想う  作者: ウエハース
第二章 自失と再認識
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これぞ青春ってやつですよね

その後の体育祭はこれといって話題となるようなことは無く終わった。仕方ないじゃん午後は3年中心なんだから。

そしてお決まりの結果発表。一進一退の攻防を繰り広げてたからどこが勝ったかなんてみんな予測出来なかった。結果は350対352対353で1位だった。僅差にも程がある。一進一退とはいえさすがにこれは点数配分ミスだろ運営。

で、現在帰路についてる所ってわけ。

「この後どうする?」

「どうするって?」

「わかってないなぁ遥。こういう時は打ち上げでしょ!」

「いいね〜渚っち。やろうやろう!」

「そうだぞ一ノ瀬。それともなんだ金欠か?」

「喜野まで……別に行かないと行ってないだろ」

「なら決まりだ。行こうか。いつもの場所でいいかい?」

「いいんじゃない?」






なぜ俺はこうなる可能性を考えなかったのだろうか。俺たち5人のうち4人の顔面偏差値の高さを忘れていた。学校の3大アイドルと男達の憧れたるイケメンだぞ?そんな奴らが談笑してるんだ。それだけで絵になる。他にも打ち上げに来てる生徒たちがいるらしく、色々聞こえてくる。

そう。圧倒的アウェイ!!

「どうしたの?遥」

「いや、ちょっと……アウェイだなって……」

「もうそろ慣れてもらわないと困るよ」

「まぁそれはそうなんだけど……」

慣れる慣れないの問題じゃないんだよなぁ……。

「ほら一ノ瀬、決めなよメニュー」

「お、おう。……これにするわ」

「なら私これ」

「俺はこれかな」

「私はこれにしようか。優芽は?」

「私これ〜」

「すみませーん!」








「遥っちリレーの最後めちゃくちゃカッコよかったよね〜」

「いやぁあれは痺れたなぁ。クラスのヤツらも盛り上がってたぞ」

「恥ずかしいからやめて欲しいんだが」

「あの瞬間だけは一ノ瀬が主人公だったな」

「うぅ………」

「あとあの笑顔見た?もう凄かったよ」

「え、何それ俺知らない」

「あれ、喜野っち見てないの?これこれ」

「うっわなにこの満面の笑み。見てるこっちが笑顔になるレベルじゃん」

「もーおしまいおしまい!恥ずかしいってば!」

「素直じゃないなぁ遥」

「お前アイスの金額上げるぞ」

「マジすみませんでした許してください」

さっきからずっとこんな感じで俺のリレーのことを掘り返してくる。恥ずかしいったらありゃしない。まぁ嬉しいんだけどね?

「そういやもう七夕かぁ」

そういった渚の視線の先を見ると短冊がかかった竹が置いてあった。

「そうだな、そして期末テストだな」

「うっ……」

「おいおい一ノ瀬、そう言うのはなしだろ〜」

「そうそう」

「全くだ」

まさかの大バッシング。

「おうそっちまで飛び火するとは思わなんだ。渚からかうつもりだったのにそっちも刺さるんかい」

「そういやさ、七夕と言えば天の川じゃん?」

「おう」

「みんなの好きな夜の空模様を教えてくださいな」

「おう?」

話題の転換が過ぎる。

どこをどうしたら天の川からそうなる?というかなぜ気になる。いやほんとになんで気になるんだよ。

「そうだなぁ、やっぱ私は満天の星空かな」

「ほうほう、優芽は星空と」

「俺は星座とかとは違うパターンの星があるんだけど。確かアステリズムとか言ったかな。空模様とはちょっと違うかもだけど」

「喜野はアステリズムと」

「私は満月かな。満月は綺麗で好きだな」

「湊は満月と……なんか湊、告白する時に『月が綺麗ですね』とか言いそう」

「さすがにそんなキザなことは言わないさ。多分ストレートに言うだろうね」

「で、渚は?」

「そんなすぐ出て来ねぇよちょっと待って」

なんでみんなそんなポンポン出てくるんだよ。事前に打ち合わせでもしてただろ。えーっとねぇ……

「……夜の虹って知ってる?」

「「「「夜の虹?」」」」

「ムーンボウって言われてたりするんだけど。普通の虹ってさ、雨上がりとかに太陽光が反射してできるじゃん?」

「ああそうだな」

「それが夜にも起きるんだよ、月の光で。月光は太陽光の反射だから小雨の時とかに見られるんだってさ。」

「え〜凄!なにそれ見てみたい!」

「俺も見た事はないんだよな。ハワイとかで見られるらしい」

「一ノ瀬って思ったよりロマンチスト?」

「全然リアリスト。でも面白そうじゃん?」

「それはそう」

このあとも他愛のない世間話をしながら料理を食べて、解散した。学校のイベント終わりに友達と打ち上げをする……うんうん青春だ。中学校の時とは大違いだ。そうそうこれでいいんだよこれで。これ以上は高望みってやつだ。

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