つまりそれってそういうことですよね!?
「一ノ瀬君」
「なんだい近藤君」
「さっきのあれはどういうことかな?」
「悪いんだけど僕もよく分からないんだ」
「分からないじゃねぇんだよ教えろっつってんだよ。」
「知らねぇって言ってんだろ。そんなに気になるなら本人に聞けよ」
「聞けたらこんなことしてねぇんだよ」
「俺が一番知りたいんだよ。ほら帰った帰った」
案の定、テントに帰った途端に尋問が始まった。けど俺は全く知らないので答えようにも答えれないし、答える気もない。
「ちぇっ、まぁいいかこれからも楽しみだしな。」
「どういうことだ?」
えっなにそのニヤニヤしてる顔。まだなんかあんの!?嫌なんですけどもうお腹いっぱいなんですけど。
「蒼野さんとお前が仲良いのを知ってるのは俺たちだけだったんだよ」
「ほうほう」
「つまり他のクラスの奴らは全く知らなかったわけだ」
「え?そうなの?てっきり広まってるものかと」
ならあの噂はなんなのかと聞いてみたら、どうやら尾ひれがつきすぎてフィクション判定されたらしかった。
「で、さっきお前は全校生徒の前で学校一のマドンナの「仲のいい異性」として登場した訳だ」
……………それって、つまりそういうことだよな?
「お察しの通り、これから地獄が待ってるぞ☆」
「終わった………」
「じゃ、せいぜい頑張って絡まれるんだな。それ見ながら俺たち飯食うから」
「酒の肴みたいにしてんじゃねぇよ!」
▢
酷い目にあった。もう昼休みに絡まれるわ絡まれるわ。同級生から三年の先輩までそれはもうたくさんの人が詰め寄ってきて、「蒼野との関係はー」とか、「お前ら付き合ってんのかー」とか質問攻めにされた。おかげさまでね!昼飯食べる時間あとちょっとしかないんですよね!!それと飯食いながら俺に絡んできたやつは許さん。
「いや〜おつかれですなぁ遥っち」
そんな俺に労いの言葉をかけてくれる鈴名。
「ホントに疲れた。競技した時より疲れたわ」
「はいこれ」
「おにぎり…?どうしたんだよこれ」
「私のお昼」
「え?でもあんま食べてないんじゃ?」
目で見てもわかる。持ってる弁当の具材の多さはは一般の女子高校生にしてはさすがに少ない。まだ昼の競技だってあるのになんでだ?
「あれあれ」
「あれって……海瀬の手作り?」
親友の手作りを食べたくなるのは当然だろう。でもなんか……鈴名の顔を見るにそれだけじゃない気が…………待てよ?
ある可能性に行き着いて俺は鈴名の顔を見る。
「そうですつまりそういうことです」
「えっ……えっ!?」
「そんな驚く?今どきの多様性社会じゃ珍しくもないと思うんだけど」
「いや、そうじゃなくて………いややっぱいいわ。なんか変態みたいなこと言いかけた」
「えー?言いなよ遥かっち」
えっ言うの?言わなきゃダメ?
「あのー、俺個人としては片想いの百合が大好物でして………」
「ヘンタイ」
「だから言うのやめたんだよ!」
「フフっごめんごめんじょーだん」
「はぁ……にしても、ねぇ」
「なんだよ遥っち」
「あの鈴名が、海瀬をねぇ」
明るいムードメーカーの彼女が、1人の女性に対してモジモジしてるのは少しもの珍しかった。
「う〜やめてよ改めて言われると恥ずかしいって」
「ならこれはありがたく頂いておきます。それじゃイチャイチャしてこい」
「ありがと!」
いや〜〜〜いいっすね〜百合。両想いじゃなくて片想いなのがまたまた。これで海瀬まで鈴名のことが好きだとかいう両片想いになったらなおいい。いいものを見せて貰った。




