定められた未来という名のただのフラグ
体育祭の競技の割り当てが発表されたらしい。クラスのやつらが我先にと確認している。
「喜野はもう確認したのか?」
「まだ。一緒に見に行く?」
「そうだな、見てみようぜ。」
重い腰を上げて喜野と例のものを見に行く…………道が空いたが?すげぇな喜野お前神かなんかか?
「何したのさこれ。」
「え?これお前の威光とかじゃないの?」
「違うし俺にそんなのはないよ。なんかしたんじゃないの?」
「いや…心当たりは特にはないんだけど?」
心当たりは無いが、嫌な予感がする。
「とりあえず見てみようか。何となくこの後の展開が想像つくけど。」
「俺はどれだけ死ねばいいんだろうな……」
「諦めな。」
「はぁ……さてと、俺の名前はっと。」
はい知ってた。男女混合リレーに俺の名前がある。もちろんアイツら3人の名前も。
この前誰かさんがフラグ建ててくれたおかげでこうなったらしい。
「……………………」
「「「……………………………」」」
おうお前らだよ。顔を逸らすんじゃないよ。あと渚お前口笛吹けてないぞ。
「頑張れ。応援はしてる。応援は。」
「気休めにもならない言葉をどうもありがとう。面白がってるのバレバレだからな。」
「面白いものを面白がって何が悪いんだか。」
「出てるぞー」
「ほらほら行ってきなよ。」
□
「どうしたものか……」
「どうしよっかこれ……」
「一ノ瀬の死が確定したわけだが。」
「なんかもう慣れたよな。お前らと一緒にいるともはや日常。」
こんなことにいちいち文句を言ってたらキリがない。というか見て見ぬふりをしないとこっちが限界を迎える。
「遥っち〜」
「なに?」
「アンカー頑張ってね!」
「おう勝手に走順決めてんじゃねぇよ話し合いはどうした話し合いは。」
「他のクラスの子に聞いたらみんな男子アンカーにするんだって。」
「……マジか。」
男女混合リレーは普通男子2女子2なんだけど何故か、何故か女子3男子1らしい。貴重な足の速い男子をアンカーに置いているようだ。
つまり俺の逃げ道は無いということか。
「遥、お願いね?」
「……分かったよやるよ。でも条件が1つ。」
「それはなんだい?」
「第1走者、渚で。」
「やだよ!?」
渚は首をブンブン横に振って、絶対にやりたくないという意思を表している。
「逃げれるとでも思ったか?逃がさんよ。お前も道連れにしてやる!」
「え〜やなんだけど」
「お前女子の中だと早い方じゃん。なんなら上位層だろ。」
「緊張するじゃんか!」
アンカーを前に何を言っているのか。
「アンカーの方が緊張するが?こちとら走り終わったらもう終わりなんだよ。」
「それはそうだけどさ〜」
「幸いにも3人とも女子の中だと足速いから、そんな酷いものにはならないだろうしあわよくば勝てるし。」
そう言うと、不思議そうに海瀬が聞いてきた。
「一ノ瀬、勝つ気なのか?」
「そりゃ勝てるんだったら勝ちたいでしょ。勝てないメンバーじゃないんだし。」
「そうだったな。こういうのは全力でやらなくては面白くない」
そう言ってニヤリと笑う海瀬。何度も言うがかっこいいなこいつ。
そんな俺たちを見て、覚悟を決めたのか立ち上がった渚。
「あーもう分かったよやるよやればいいんでしょ!やってやるわよ!」
「2と3はいい感じに決めてくれ。」
「りょーかい」
「せっかくなんだし勝つよ!遥!」
「もちろん。」




