体育祭に向けて
「あーやっと終わった〜」
「いやー疲れたね〜」
「………………」
3人とも机に突っ伏してる……海瀬に至っては無言なんだが大丈夫かあいつ。
「見事に全員死んでんな。」
「そういう遥はどうなのさ、中間テストの手応え。」
「ハッハッハ、全部80はあるな。」
「「「うっそだぁ!」」」
3人とも綺麗にハモって抗議してきた。
「勉強してないのが悪い。渚と鈴名はまだしも海瀬もなのは驚いたけど。」
「うっ……恥ずかしながら勉強は苦手で……」
そう言って下を向く海瀬。
「まだしもって?????」
「おいおい遥かっち、それ私たちが馬鹿確定って言ってるのかい?」
他2名はどうやらご立腹のようだ。事実を述べたまでなのだが。
「いやー頭悪いと分かんないか日本語。」
「優芽、殺るか。」
「やろう渚っち。」
「いいだろう返り討ちにしてやる。」
「はいそこまで。2人とも落ち着け。」
「「はーい。」」
海瀬の制止に素直に従う鈴名と渚。海瀬はこいつらの保護者的立ち位置らしい。
「そろそろ体育祭だよ体育祭!」
すると、唐突に鈴名が興奮した様子で喋りだした。
「優芽体育祭好きだよね〜」
「何がそんなに好きなのさ体育祭の。」
「渚っちも遥っちもわかってないなぁ。みんなで汗を流しながら勝利に向かってひた走るのがいいのに。」
「スポーツ漫画の主人公かよ。」
「みんなこれどれにする〜?」
マイペースな鈴名が紙をヒラヒラとさせながら聞いてきた。持ってる紙には体育祭の競技種目が書かれている。m走からリレーなど結構あるな。
「全く決めてない。」
「俺は対人……というか誰かと接触するような競技はやだなぁ。」
鈴名の質問に遠い目をしてそう答えた。
「なんで?」
「敵味方関係なくボコボコにされる未来が見えるから、俺の今の立ち位置的に。」
「「「あぁ……」」」
3人とも納得したのか、哀れみの目を向けてくる。誰のせいだと思っているんだこいつら。
「誰のせいだと????」
「……あれ?」
1人紙を見ていた渚が疑問の声を上げた。
「どうした?渚。」
「いや、ここになんか書いてない?」
「どれどれ……。『今年から体育祭の種目決めは完全ランダムで。公平性なんて知ったこっちゃないね!』…………はい?」
「……海瀬、流石に冗談だよな?」
「流石に…ねぇ?」
「ああ、さすがにないだろう……ないよね?」
フラグが建った気がする。
「もし本当にランダムだったとしても、変な競技を引く可能性は低いから多分大丈夫だと思うけど。」
「だよな……うん。」
「男女混合にこの4人がぶち込まれたりして。」
「まっさかぁ。」
「ないない流石に天文学的確率すぎるって。」
完全にフラグ建ったなこれ。ああ神よ、頼むから渚が言った事が現実にならないでください……もしなったら俺死ぬんで……!




