ホントの気持ち
今までと何ら変わらない月曜日。これからいつもの一週間が始まる。
「おはよー遥。」
「お、おはよう…渚。」
そういやそうでしたねぇ!
昨日のアレから下の名前で呼び合うようになったんだけど、皆さんご存知の通りクラスメイトもいた訳で。
いやーまぁ出ますよね、交際疑惑。あいつら付き合ってんじゃないのかって。なんて事ない普通の俺と蒼野が?ないないないない。
「遥っちオハヨー。」
「おはよう一ノ瀬。」
「おはよう2人とも。」
「……渚となんかあった?」
「あったと言えばあった……んじゃない?多分。」
「なんで遥っちがあやふやなのさ。」
「だってさぁかくかくしかじかで」
「なんというか……渚だな。」
「うんうん渚っぽいよね〜」
「二人にそう言われるあいつって……」
「私がなんだって〜〜〜?」
「遥っちが悪口言ってました!」
「はぁ!?」
「へぇ……」
「誤解だって!」
「ほらお前ら席つけよー」
「遥さんや、また詳しく聞かせてもらおうか。」
「今日昼は喜野と飯食うし放課後は予定あるんでパスでー」
いつも通りの学校生活。朝、四時間授業を受けて、お昼を食べて、二時間授業を受けて、そして放課後。
友達とくだらない話をする、こんな日々も悪くはないな……
まぁ蒼野っていうイレギュラーがいるけども。
「さてと遥、尋問の時間だ。」
「残念だったな渚、俺はこれからバイトだ。」
「何……!?」
「こういうのは逃げたもん勝ちなんだよ、じゃあな!」
「あ、ちょっと!」
「行ってしまったな、渚。」
「それじゃ、私達も帰ろっか。」
「むー」
「それにしても渚があんなに一ノ瀬に絡みまくるとは思わなかったな。」
「私もー。」
長年の付き合いである海瀬と鈴名から見ても、それは意外なことだったのだろう。
昔から可愛くてみんなの人気者で、だからこそ誰かと親密になったりはせずに全員と広く浅く付き合ってきた。そんな蒼野が一ノ瀬遥という普通の高校生とあそこまで仲良くなったのは疑問を感じても仕方ないだろう。
「あー、まぁ面白いし?反応からかいがいあるし。」
「……本当にそれだけか?」
「…………!」
深く聞かれないと思っていたのか海瀬の問いに少し驚いたようだ。けれど、すぐにいつもの蒼野の笑顔に戻った。それを見逃すほど二人は甘くはない。
「ほんとのところはどうなんです〜?」
鈴名のそんな揶揄う様な質問に対して、クラスの男子に見せるような表面だけの笑顔ではなく、かと言って二人の前で見せるような年相応の笑顔でもなく──
「──────秘密。」
夕日でごまかせないほど頬を赤らめて、少し恥ずかしそうに、はにかみながら、そう答えた。




