物好き1号、参上
「やぁ一ノ瀬君。」
「お、おはよう?どうした?」
びっくりした……。GW明けで憂鬱だったからボーッとしてたらすんごいイケメンに話しかけられた。
「いや、何やら面白い噂を聞いてね。」
「あぁ……あれか……」
「どうやら心当たりがあるようだね?」
「あって欲しくないんだけどなぁ…………。で、それがどうしたんだよ喜野。というか俺に話しかけたらお前も噂立つぞ。」
こいつは喜野隆人。さっきも言った通りイケメン。すんごいイケメン。人間国宝レベル。こいつの一挙手一投足に歓声が付くくらいには人気。
「別に冷やかしに来たという訳では無いよ。ここだけの話なんだが……僕ね、友達居ないんだよ……。」
「冗談だろ?お前が友達出来なかったら全国の陰キャ舌噛んで死ぬぞ。」
「本当なんだってば!一ノ瀬君も知っているとは思うが僕って、イケメンじゃん?」
あ〜こいつ自分の顔の良さ自覚してるタイプのイケメンか……ちょっとウザイな。
「おうそうだなイラつくほどには顔良いな。」
「そのせいでファンは出来るのに友達は出来ないんだよ。気付いたら周り全部ファンだった……」
「あっそういう……」
前言撤回。こいつとは仲良くなれそうな気がしなくもない。
「なので!今日は君と友達になりに来たのさ!」
「……………………なんで?」
「言っちゃ悪いが君も友達居ないだろ。男友達。」
「誰かさんたちのせいで居ませんね。」
おいそこの3人。言った途端に顔を逸らすんじゃない。お前らだよ。噂どれだけ肥大化してるか知ってんのか。もう手に負えねぇよ。
「なら!僕と友達になってくれないか?君も僕もwin-winだろう?」
「まぁ確かにそうだな。別になってもいいけど……」
「よし決定だね!なら、これからよろしく頼むよ遥君。」
いきなり名前呼び…だと……!?陽キャ怖い距離の詰め方エグい。あと『僕が名前で呼んだんだから君も呼ぶだろう?』って顔やめてください。圧すごいんで。いやほんとに圧すごいんで!
「よろしく頼む、隆人。」
圧に負けてしまった……うわすんごい満足そうな顔してる。
「こちらこそよろしく。」
うーん無邪気な笑顔。眩しすぎる。でも、やったよ……やっと、高校で男友達が出来たよ。こんな友達になりたい物好きって居たんだな……




