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可惜夜(あたらよ)に君を想う  作者: ウエハース
第一章 一ノ瀬遥と愉快な仲間たち
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ウワサ、コワイ

「ほれほれ〜、好きな物頼んでいいぞぉ〜」

メニューを叩きながら誇らしげに言う蒼野。

「ファミレスで言う言葉じゃねぇだろ。」

「いーじゃんいーじゃんほら頼んでよ。」

奢ってもらう立場なため、あまり強く言うわけにもいかず、言われた通りにメニューを見る。

「ファミレスなぁ…来るの久々だわ。」

「そうなの?普通友達と来たりしない?あっ、そういえばそうだったねごめんね」

何かに気づいたような反応を見せた。何に気づいたのかは100%わかるが。

「お?なんだ俺に言いたいことがあるなら言えよ?ほら言ってみろよ。」

「いやぁ……友達いな…」

「ん?」

口にしようとしたので、圧をかけて黙らせる。

「イヤナンデモナイデス。」

「よろしい。」

「目が笑ってない笑顔のお手本みたいな顔してた……」

なんか言ってる。それにしても本当に久々だ。ほんの数日前まで友達すら居なかったのにな。……どうして俺は学校1の人気者と2人きりで飯を食べに来てるんだ?やばい今更実感してきた。というか女子と2人でご飯食べることすら初めてだったな。

「何にしようかな〜〜」

……………顔良いなこいつ。いや顔良いな。え、なんで俺なんかがこんな美人と居るんだ?

「ほら!一ノ瀬もさっさと決めて!」

綺麗な顔を眺めていると、もう注文を決めた蒼野に急かされた。どうやらとても腹が減っているようで、「お腹空いてるから」とさらに急かされた。

「お、おう。なら……俺はこれにするかな。」

「おっけー。すみませーん!!」


  □




料理が届くまでの間に何故か俺と蒼野の会話は弾んでいた。

「一ノ瀬って頭良い?」

「良い…とは思うぞ。中学は模試の順位1桁だったしな。」

「いや普通に良いじゃん、良すぎるじゃん。そんなに頭いいんだぁ〜へ〜」

なんだその顔は。なにか企んでるなこのニヤつき具合は。

「だったらなんだよ。」

「そんな君には私に勉強を教える権利を授けよう。」

「お断りさせていただきます。」

「ジュースかなんか奢るからー!ホントにヤバいのピンチなの!」

おねがい!と手を合わせてお願いしてくる。

勉強教えるって言ったって俺人に教えた経験ないしなぁ。どうしようかなやってもいいよな。

うーーーーーーん。

「おーけー。やってやるよ。」

「ありがとう!!!神!!!!」

いつの間にか次の予定が決まってしまった。蒼野ほどの女子と2人きりになることなんて世の男子たちが渇望するシチュエーションだろう。これもほかの奴に知られたらただじゃすまないな。

「いらっしゃいませ〜。」

なんか人が増えてきた。もう13時過ぎになったため、お昼を食べに来たのだろうか。制服着てる人が多い。てかうちの制服じゃん。…………うちの制服!?

「……ねぇねぇ蒼野さんや。」

「ど、どうしましたか一ノ瀬さん。」

あっノってくれるのか。いやそうじゃなくて。

「今さ、1時過ぎじゃないですか。」

「う、うん。」

「大体の学校がもう部活終わってる時間じゃないですか。」

「はい。」

「ここうちの学校から結構近いじゃないですか。」

「あっ……」

蒼野も同じ結論に達したらしく、口を開けて固まった。

「絶対蒼野のこと知ってる人来るじゃん。学校1可愛いって評判だし。」

「いや、絶対来るって決まったわけじゃないじゃん!もしかしたら来ないかもしれないし!」

「残念ながらうちの制服着てる人を目視で確認しております。」

「……………………」

どうしようかと考えを巡らせていると、後ろから声が聞こえた。

(おい、あれって蒼野さんじゃないか?)

「「!!!!!」」

俺たちは目を合わせる。今ならフラグ回収全1名乗れる気がする。記録5秒。世界記録だな。

(ホントだ、一緒にいるやつって確か…)

(ああ、うちの学校の可愛さトップ3と仲良いとかいうハーレム気取り野郎だな。)

「ゴホッゴホッゴホ!」

「ふふっ……」

おいコラ何笑ってんだ。それよりも、え?何俺そんな風に言われてたの?ハーレム気取り……?

(しかももう3人とヤッてるらしいぞ。)

(おいおい4Pかよ。羨ま……最低だな。)

噂の尾ひれの付き方がエグい。ゲテモノ誕生するレベルの尾ひれ数。もう蒼野とか机に蹲って肩震わせて笑ってる。人の気も知らないで……

「お待たせしました。こちらご注文の料理でございます。それではごゆっくり。」

「よし蒼野、さっさと食べて出るぞ。羞恥心で俺が死ぬ。」

「ハーレム…気取り……4P……ふふっ。」

「あおのー?」

「はいすみませんさっさと食べます。」

その後は2人でご飯を腹にかき入れて逃げるようにお店を後にした。何が好きで自分の尾ひれ付きまくった噂聞かなきゃならんのだ。

「いやー、面白かった!尾ひれの付き方ヤバすぎ!」

いいもの見たと言わんばかりにひとしきり笑ってたのは、一発ぶん殴ってやろうかと思った。

「俺は全く面白くなかったけどな!てか俺あんなふうに言われてるの……?」

「言われてるらしいねぇ。」

他人事のような受け答え。

「誰の人気のせいだと思ってんだよ。」

「帰ってゴロゴロしようかな〜」

「話を聞け」

「何も聞こえませーん。じゃ私こっちだから。」

「あ、ちょ、おい!」

……行ってしまった。

あれほど噂されているのなら、もう友達を作るとかのレベルではない気がする。

あの3人の人気度を今一度再確認した日だった。

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