09 試合
老師からは、無事にOKをもらえましたよ。
素の状態の俺でも、まあ、大丈夫じゃろ、とのこと。
もちろん、免許皆伝とかでは無いし、これからも鍛錬を続けること、
と、バッチシ釘を刺されましたが。
で、いよいよアレですよ、老師のお楽しみタイム。
なんですかね、わざわざ人里離れた闘技場みたいなとこに連れてこられましたが。
「お師匠さまが本気で試合うに値するお相手のみを招く、武の聖地と呼ばれている場所なのです」
ちょっとマーリエラさんっ、
それ、ヤバいですからっ。
老師の本気って、俺、死んじゃいますからっ。
「大丈夫じゃろ、あんだけ鍛えたし」
ちょっと老師っ、
アレって基礎鍛錬ですよねっ。
型も奥義も、まだ何も教わってませんよねっ。
『スッゴいお高いポーション、いっぱい貰ってきたよっ』
ちょっと、アンチさんっ、
大ケガ確定の前振りはやめてっ。
ってか、司法省公認かよ、この試合。
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闘技場の中心に、老師とふたり。
もうここまできたら、どうにでもなーれ、ですわ。
ケガしても知りませんよ、主に俺が……
おっと、そうだ、
老師に注意しとかなきゃ。
俺の手のひらには、絶対に触れないでくださいねっ。
まかり間違って掴まれたりでもしたら、欠損じゃ済まないですよっ。
「ほう、生意気にも必殺技持ちじゃったかの」
「じゃがの、ダメと言われると尚更やりたくなるのが、武術家のサガ」
サガもシガも、絶対ダメですってば。
正直、勝ち負けは確定してるでしょうけど、
出来ればお互い五体満足で終わりたいですよねっ。
「言うねえ、ノアルちゃん」
「それはともかく、開始の合図は任せるぞい」
ホント、戦闘民族なんだから、歳甲斐も無く……
まあ、忠告はしましたからね。
ふーっ、
では、"スイッチ"モード、
いきますっ。